心が満ちる山歩き

美しい自然と、山に登れる健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山・街歩き・温泉・クラシック音楽‥‥

鳥海山(4) ブロッケン現象

2015年05月28日 | 東北の山


鳥海山(2,236m) (つづき)

 午後2時半を過ぎ、人も少なくなってきました。冷たい風の吹く中簡単に昼食を済ませ、登りの象潟口とは違い、より距離の短い矢島口へ下ることにしました。神社近くは道標も少なく迷いましたが、残雪を横切ってまずはもう一つのピーク・七高山(しちこうさん)へ向かいます。さっき登った最高地点の新山より7mだけ低い地点ですが、立派な石碑と三角点があり、よりピークらしい雰囲気です。外輪山の稜線が続いているのが見え、岩峰の逞しさが伝わってきます。



 遠くの山は、雲に覆われてまったく見えませんでした。しかし視線の向こうに円形がまぶしく光っています。ブロッケン現象にまぎれもありません。ここで繰り広げられている世界は、虹よりも小さいこと以外、虹とまったく変わりなく見えます。驚いたのは、円形の真ん中に二人で歩く姿が見えていたことでした。うつし出されているのは、絶対自分たち二人の姿に違いありません。
 感激です。

 矢島口(祓川)ルートは、すごい下り坂から始まります。立っているだけで転げ落ちてしまいそうな急坂です。その後は次第に普通の道になってきますが、楽ではありません。手持ちの地図では、九合目(氷ノ薬師)から康ケルンまで下り30分とあります。どうやってもこの速さでは歩けないと思います。


 故佐藤康氏は祓川ヒュッテの管理人を長く務められた方で、自ら拓いた鳥海山へのルート「康新道」にも名前が残ります。
 ケルンの手前で携帯電話の電波が通じたので、タクシーを呼びました。



 かなり下ったころ、残雪が再び現れました。

 最後は、懐中電灯で足もとを照らして、階段を注意深く歩きます。タクシーの待つ登山口に着いた時には6時半を過ぎ、辺りは真っ暗でした。全体的に時間が多くかかってしまいました。二日分を一気に一日で歩いたと思うほど、二人ともヘトヘトでした。二座か三座を一気に登ったのと同じくらい、様々な景色を見ることのできた一日でした。

 (登頂:2014年9月下旬) 翌日→大潟富士 翌々日→八甲田大岳 



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