![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/bd/a620c0af0110da742f0259a0976a4761.jpg)
鳥海山(2,236m) (つづき)
午後2時半を過ぎ、人も少なくなってきました。冷たい風の吹く中簡単に昼食を済ませ、登りの象潟口とは違い、より距離の短い矢島口へ下ることにしました。神社近くは道標も少なく迷いましたが、残雪を横切ってまずはもう一つのピーク・七高山(しちこうさん)へ向かいます。さっき登った最高地点の新山より7mだけ低い地点ですが、立派な石碑と三角点があり、よりピークらしい雰囲気です。外輪山の稜線が続いているのが見え、岩峰の逞しさが伝わってきます。
遠くの山は、雲に覆われてまったく見えませんでした。しかし視線の向こうに円形がまぶしく光っています。ブロッケン現象にまぎれもありません。ここで繰り広げられている世界は、虹よりも小さいこと以外、虹とまったく変わりなく見えます。驚いたのは、円形の真ん中に二人で歩く姿が見えていたことでした。うつし出されているのは、絶対自分たち二人の姿に違いありません。
感激です。
矢島口(祓川)ルートは、すごい下り坂から始まります。立っているだけで転げ落ちてしまいそうな急坂です。その後は次第に普通の道になってきますが、楽ではありません。手持ちの地図では、九合目(氷ノ薬師)から康ケルンまで下り30分とあります。どうやってもこの速さでは歩けないと思います。
故佐藤康氏は祓川ヒュッテの管理人を長く務められた方で、自ら拓いた鳥海山へのルート「康新道」にも名前が残ります。
ケルンの手前で携帯電話の電波が通じたので、タクシーを呼びました。
かなり下ったころ、残雪が再び現れました。
最後は、懐中電灯で足もとを照らして、階段を注意深く歩きます。タクシーの待つ登山口に着いた時には6時半を過ぎ、辺りは真っ暗でした。全体的に時間が多くかかってしまいました。二日分を一気に一日で歩いたと思うほど、二人ともヘトヘトでした。二座か三座を一気に登ったのと同じくらい、様々な景色を見ることのできた一日でした。
(登頂:2014年9月下旬) 翌日→大潟富士 翌々日→八甲田大岳