トムラウシ(2,141m) ((1)のつづき)
翌年の夏、再びトムラウシに来ました。天気予報はまあまあでしたが、雨が降らず、風が強くなければそれだけで十分だと思わせます。関東から北海道は遠く、明日天気が良さそうだから出発しようというわけにはいきません。
新千歳空港に着くと、JR石勝線が不通と分かりました。札幌から帯広行きの高速バスも考えましたが、そのバスも満席でした。JRが運転再開するまで、札幌で「しょうがラーメン」を食べ、北海道大学の中を歩いて過ごしました。高木と緑の芝生を、小川が流れているキャンパスは、いつ来ても素晴らしいと思います。
北海道大学
予定より3時間遅れで着いた新得はとても涼しく、タクシーの運転手さんは、8月でも今朝はストーブを点けたと話していました。
翌日は暗いうちから歩き始め、4時前に懐中電灯はいらなくなりました。昨日より暖かく、青空も出ています。
傾斜の緩い道が続き、山頂に近づく気がしません。別の山を歩いている雰囲気がするほどです。
尾根歩きが終わると急な下りが現れます。標高差100mほどを下り切って、沢沿いに少し歩いた場所が「コマドリ沢分岐」です。先へ進む登りも急です。ここから、やっとトムラウシに入った感じがしてきます。
ナキウサギが食事をしている場面に出くわしました。遠くから、足音も立てずにじっと見つめます。ナキウサギの食事も一心不乱です。食べ終わると、こちらの存在に気付きすぐ岩陰に隠れていきました。野生であることを一瞬忘れてしまう出来事でした。
高い木はなくなり、黒々とした岩の道を登ります。
小さな集落が見えました。新得駅から北上し、大きなダム湖の東大雪湖を越え、いよいよ山深くなろうとする場所に、富村牛小中学校が建っています。見えているのは、そのあたりの場所だと思います。離島以外の学校では唯一、「へき地等級」が一番高い5級であるといいます。
(登頂:2018年8月中旬) (つづく)