心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

南アルプス 北岳・間ノ岳(1)

2017年10月15日 | 中央アルプス・南アルプス


北岳(3,193m)・間ノ岳(3,190m)


 日本で一番高い山は当然富士山です。5番目の槍ヶ岳にも登り、第3位の奥穂高岳にも今年ついに登りました。そうなると、2番目の北岳・4番目の間ノ岳にも登りたくなるというものです。
 間ノ岳の標高は3,190mです。
 しかし、2014年3月までは3,189mでした。国土地理院は2014年4月1日に、日本の主な山岳標高を改定し、87座の標高が変更となると発表しました。最高峰の富士山の標高は、15cm低くなったとはいえ、メートル単位で変更はありませんでした。変更された山々の中で最も高いのが間ノ岳でした。
 これによって、間ノ岳の標高は全国4位から、奥穂高岳と並んで3位タイになりました。
 しかし、2位も3位も南アルプスの山というのはまったく公平な感じがしません。さらに言うと、全国1位~3位までの山が山梨県にそびえています(3位間ノ岳の山頂は、山梨と静岡の県境)。
 間ノ岳の標高は、小数点まで表記すれば「3189.5m」だそうなので、奥穂高岳の方が辛うじて高いかもしれません。自分の中では、2位と4位が南アルプスの北岳・間ノ岳、3位と5位は北アルプスの奥穂高岳・槍ヶ岳ということにしておきたいと思います。
 それにしても、変更された87の山々の内訳は、48座でプラス1m・39座でマイナス1mでした。つまり、2m以上高さの変わった山はありませんでした。日本の測量技術は大変正確なものだということが示されたのです。


 9月下旬の平日、早朝に登山口の広河原まで送ってもらいました。登山口への県営林道南アルプス線はマイカー規制が敷かれ、朝5時半にならないとゲートは開きません。通るのは4年ぶりです。細くて運転するのが難しそうなのは変わりませんが、ワイルドさが薄まった雰囲気がします。素掘りのトンネルがもっと多かった記憶があるのですが。しかし、山深い場所の道路を整備するのがとても大変なことなのは間違いありません。車を降りると、早くも今日の目標、北岳が姿を現しました。



 登山道は大きな吊り橋から始まります。下を流れる野呂川ではイワナが泳いでいるといいます。やがて、大樺沢の流れに沿って登るようになります。右岸から左岸へ、あるいはその逆へ、何回か渡渉がありますが、危ないところはありません。清涼感のある道です。水の流れとあいまって、緑も美しいです。意外なのは、9月でもミヤマナデシコやホタルブクロなど、花が多かったことです。
 ”オヒョウ”の名札が掛けられた倒木があります。オヒョウはニレ科の木で、アイヌはこの樹の繊維でアットゥシという服を織りました。
 このオヒョウは木ですが、オヒョウの名前を見て思い出すのは木ではなく魚です。絶対に思い出すのが植村直己の本です。植村直己が極地グリーンランドでエスキモーと同じ生活を送り、10カ月を過ごした記録『極北に駆ける』(文藝春秋)の中に、カレイに似たこの魚を釣って食べ、あるいは橇をひく犬に与える話が出てくるからです。面白くて一体何度読んだか分からないこの本のことを、北岳で思い出すとは思ってもみませんでした。



 大樺沢二俣で、コースは沢をそのまま遡る大樺沢コースと、右折して北岳肩ノ小屋へ向かうコースに分かれます。少し休憩し、大樺沢コースの方を選んでさらに登ります。9月下旬とは思えないほど残雪があります。同じ南アルプスの仙丈ヶ岳にも沢沿いのコース(藪沢コース)があり、雰囲気が似ています。しかし、スケールはこちらの方がずっと豪快です。

 (登頂:2017年9月下旬) (つづく)



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。