やがて、学校に着きました。六小は開校して41年たち、そうとう貫禄がついて
いました。夢は、その貫禄のすごさに、年月の長さを感じていました。自分の
中では、ついこの間、卒業したように感じるのに、実際の年月はなんと長くたって
いるのでしょう。周りの地域だけでなく、六小自身も変わった所が幾つかありました。
まず、夢が大好きだった時計台です。時計盤がなくなり、そこにかわりに校章を
描いた旗がかけてありました。校舎の色も塗り替えたのか、開校時の
ベージュ色から白色になっています。が、一番大きく変わっていた所は
なんといっても、あの、校舎と校庭の坂になっている境です。夢のいた頃、坂の
境には植木が植わっているだけでしたが、今は、そこにフェンスが張られて
いました。おそらく、あぶないということで張られたのでしょう。夢の頃から、境の
坂をすべりおりて遊んでいた子がいましたから。さらに、メインは体育館と
増築校舎です。夢は、当時、小山のあった場所に建つ体育館を見て、『ああ、今の
子はめぐまれているな。わたしも体育館でいろいろやってみたかったな。』と、
ちょっぴりジェラシーを感じていました。そうそう、あの日、「立派ぁー。」と眼を
みはったあの大きな校門、これだけは少し小さくなっていて、正直、夢はちょっと
がっかりしてしまいました。と、こんなふうに夢が思いをめぐらしていると、突然
大きな光で周囲が包まれ、
「キャー、夢ちゃん、夢ちゃん、夢ちゃん!」
と、あの騒々しい声が聞こえてきました。
「あー、まただ。やっぱり昔のまんまだなぁ、六小さんは。」
夢は、六小があいかわらずなのを知ってうれしくなるのでした。