気の向くままに

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神の怒り

2014-09-29 12:32:21 | 日記

 

 〈木曽のナァーなかのりさん 木曽のおんたけナンチャラホーイ 夏でも寒いヨイヨイヨイ〉。大正時代に作られたという民謡の「木曽節」の影響だろうか。長野県と岐阜県にまたがる御嶽山には、なんとなく親しみを感じてきた。

 ▼実際、3千メートル峰のなかでも、比較的登りやすく、登山者にとって人気の高い山のひとつだという。もっとも、本来は信仰の山である。とりわけ濃尾平野に住む人たちにとって、この地方を潤す木曽川の水源をもつこともあって、毎朝、手を合わせる霊山であった。

 ▼愛知県出身の横井庄一さんも、母親から「お前は御嶽山の申し子」とよく言って聞かされたという。「生き抜けたのは精神力ではなく、御嶽山のおかげ」。昭和47年、グアム島で28年間の洞窟生活から救出された時、現地記者団にこう語ったものだ。

 ▼その御嶽山が先週末、突然牙をむいた。狙われたのは、好天と紅葉に誘われて訪れていた登山客だ。噴火の規模は、昭和54年に有史以来初めて発生を記録して以来、最大とみられる。灰色の噴煙が、空を埋め尽くさんばかりに広がっていく。降り注ぐ噴石は、避難小屋の屋根を突き破る。登山者が山頂付近で撮影した映像は、地獄絵図さながらだった。救助活動も難航しているようだ。

 ▼御嶽山では、24時間体制の観測が行われ、噴火の約2週間前から、地震活動が活発化していた。それでも噴火が起こるまで、気象庁が設定した警戒レベルは、5段階中もっとも低い、平常の1のままだった。専門家は、予知の限界を指摘する。

 ▼とはいえ、神の怒りに恐れおののき、ひれ伏してばかりもいられない。人知の限りを尽くして、そのメカニズムの解明を急ぐのは、火山大国に生きる日本人の責務である。

 2014.9.29 00:28 msn産経

 <memo>

 ・ 臨時国会、29日召集 11月30日まで


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