西山孝四郎氏のセミナーのユニークなところは、彼が現役投資家としてヘッジファンドという特殊投資(投機)集団に身を置いていることに起因しているようだ。毎回、一般の投資情報メディアでは知りえない内外のプロ投資家たちの動向に目を向けさせてくれている。ファンダメンタルとは一種異なる投機資金の流れや投資行動を知ることにより、FXその他の値動きもより深く理解できるようになる。
一方、実際の取引においては投資情報を含むファンダメンタルで行動を起こすことはないという。トリガーとなるのは、あくまでテクニカル分析であり、テクニカルがファンダメンタルと合致した時に限り市場に参入するということである。そのテクニカル分析手法とは、ほぼ毎回のセミナーで説明される順張り手法だ。
テクニカルのセットアップはよく知られている3個のテクニカル指標、それらは、ボリンジャーバンド、標準偏差(Standard Deviation)そしてADXの3個である。いずれも、メタトレーダー(MT4)に標準搭載されているものだが、このうちADXはMT4の計算方式と異なる修正移動平均によるADXを採用されている。講師の手法に忠実に従うには、この点注意しておく必要がある。
3個のテクニカルの使いかたはいたって単純だ。まず、ボリンジャーバンド(BB期間21)であるが、終値ベースでローソク足が±σ1の外にあることが、相場がトレンド状態にあることを計る基準の一つとなる。次に標準偏差StdDev(期間26)とADX(期間14)がともに右肩上がりに上昇途上にあることが第二の条件である。それまでローソク足がBB±1の内側にあったものが、終値ベースでBB±1の外に飛び出し、且つStdDevとADXが右肩上がりであれば、買いまたは売り参入ということだ。
手法はいたって簡単だから、彼の周りの人達(ラジオ番組やセミナーのアシスタント等)もこの手法に従って好成績を残しているという。中には講師の成績を上回る人もいるというふれこみである。日足ではトレンドのない昨今では、4時間足以下の短期取引が多いということであった。
この手法、裁量だけでなくアルゴリズム化をして、自動取引をも行っているそうだ。ロジックはとても単純なので、MT4にて自動売買プログラム(EA)を作成することは難しくない。MetaGenicFXにて「西山孝四郎順張り・逆張りキット」を購入された方から、ぜひEAもという希望があるようなので、トライしてみることにした。裁量取引のサブとして使用していただく他、ストラテジーテスターで複雑なバックテストができるよう次のように種々工夫してみた。 このEA、裁量で時間を限って取引するデイトレにも有効に利用できる。例えば、トレンドの発生しやすいロンドンからニューヨーク時間帯にかけてのみ市場参入するデイトレーダーにとっては、その間このEAを作動させておけば、パソコンの前に常駐する必要はない。シグナルが出れば間髪を入れずに自動売買を行ってくれるからである。
仕掛けのシグナルはローソク足が終値ベースでBB+σ1の外に飛び出したら、次の足の始値で買いのシグナル、ローソク足が終値ベースで-σ1の外に飛び出したら、次の足で売りのシグナルとする。このシグナルをベースに次の8個の条件をフィルターとして設け、それぞれの条件での取引及びバックテストが行えるようにしている。(⑤以下は4時間足以下で取引を行う場合にのみ利用する、主にバックテスト用)
① 仕掛けシグナルに加えて、ADXのみが上昇していれば取引参入
② 仕掛けシグナルに加えて、StdDevのみが上昇していれば取引参入
③ 仕掛けシグナルに加えて、ADX又はStdDevの一方が上昇していれば取引参入
④ 仕掛けシグナルに加えて、ADXとStdDevの両方が上昇していれば取引参入
⑤ 仕掛けシグナルに加えて、日足のローソク足がBBσ±1の外にあれば取引参入。
⑥ 仕掛けシグナルに加えて、週足のローソク足がBBσ±1の外にあれば取引参入。
⑦ 仕掛けシグナルに加えて、日足のローソク足が陽線で買い、陰線で売り取引参入。
⑧ 仕掛けシグナルに加えて、週足のローソク足が陽線で買い、陰線で売り取引参入。
あくまで西山方式の原則はADXとStdDevの両方が上昇していなければならないから、デフォルトは④になっているが、通貨ペア等によっては原則通りにはいかない場合もあるので、多彩な分析ができるように配慮した。(プログラム上はゼロが先頭なので上記④はEAでは3として選択することになる)
手仕舞いシグナル
手仕舞いは上記いずれの場合も、ローソク足が終値ベースでBBσ±1内に戻った時にポジション決済(西山氏の原則通り)
オプショとして;
① 手仕舞いシグナルの他にStopLossをピップスで設定
② トレイリングストップを設定
することが可能となっている。
採用するインディケータの確認
ボリンジャーバンド、ADX、標準偏差(StdDev)の各パラメータはそれぞれ、21、14、26と西山講師の仕様通りをデフォルトとしているが、自由に変更することも可能、またADXも講師の勧める修正移動平均方式を採用している。
バックテスト
Strategy Testerを使って年初からのUSDJPYのバックテストを行ってみた。StdDevをフィルターとするテスト結果であるが、西山式戦略の原則である④によるテスト結果($179.72)を上回っていた。詳細下記参照
注)EAにご興味のある方は下記MT Studio21.comまで
https://mtstudio21.com/
注)このオリジナルEAは、全面改訂されTrendBlazer_MT4EA.ex4としてMT Studio21社にて再公開されています。