筆者の知人で大手外銀の為替部門トップを務めた人がいる。リタイアした後は、趣味でFXをやっているが、なかなか勝てないと いう。現役の終わりの部分は、為替部門を取り仕切るメネージメントを担っていたから、トレーダーとしての勘が鈍ってしまったのか、それとも実需筋や競合金融筋の動きが見えなくなってしまったからなのか、はたまた自身の資金を動かすことから来る心理的な影響なのかよく分からないという。
そんな彼が、MT4では先輩であった筆者に同システムの扱い方について教えてほしいとの依頼をしてきたのである。チャートの基本的な操作方法、各種テクニカル指標の表示及び自動売買プログラム(EA)の稼働方法等を一通り伝授するとともに、参考EAとして、一般に使われているトラリピの自動売買EAも渡しておいた。
それから約1年が経過した今月、彼と昼食を共にしたとき「いろいろの手法を試してきたが、勝てるのはトラリピEAだけであった」とのこと。当初は「こんなまだるっこい方法はとても」と歯牙にもかけなかった手法に最大の賛辞を送ってきたのである。長年、趣味の会等で同EAを推奨してきた自分にとっても、やっとプロにも一目置かれることになったことを知り、うれしく感じた次第である。
一 なぜトラリピで勝てるのか
① プロが真似できない手法であること
外国為替銀行のディーラーのほとんどは、1日のうちに取引を完結させ、ポジションは翌日に繰り越さないいわゆるデイトレーダーである。彼らの取引は1取引100万ドル単位で、日々の為替レート変動の範囲内で小さな利益を積み重ねていく。そんな彼らには、50ピップス置きに100万ドル単位の注文を20本だすなんて芸当はできない。そのような方法で日中利益を重ねることは不可能であるし、やった途端、銀行の管理規則違反に問われて、即刻首を言い渡されることであろう。
② 1000ドル単位、低レバレッジであること
買いのトラリピでは、1注文1000~3000(通貨単位)の買い待機注文を20本程度発注することになる。例えば、現値のドル円が113.00でれば、108.00から118円まで、トラップ幅を50銭の待機注文を20本出すといった具合である。利益幅は自由に設定できる。トラップ幅と同じ50銭とすることも自然な戦略である。戦略の裏には、108円まで下げても含み損に耐えられるだけの十分な証拠金を用意しているから大丈夫。「50銭 x リピート回数 > 含み損」は時間を掛ければきっと達成できるとの自信がある。
③ 綿密な相場分析は不要
ファンダメンタルやテクニカルの難しい分析抜きで、過去の大きな相場の展開を参考にしたシステム・トレードであるから精神的負担が少ない。ドル円でトラップ利益幅が40~50pips程度であれば、1日に2~3度チャートを見ることで済むので、手動ででも取引ができる。
④ トレードチャンスが多い
プロがしのぎを削っているデイトレで勝つのは容易ではない。週、月単位でゆったりした取引を低レバで行う方が勝てる確率が高い。過去1ケ月(6/1 ~6/30)のドル円の高値・安値の差は4.11円に過ぎないが、日々の高低差の積算は19.17円もあり、トラリピは同じトラップ幅をリピートして利確するので、この積算が全部ではないが,トレードチャンスとなる。
⑤ 間接証拠理由
トラリピの特許を有する某社での過去のセミナーでは、同社の7割以上が利益を上げているという。その内訳には含み損が含まれていないようであるから、数字をそのまま信じるわけにはいかないが、実際にセミナーに参加している人に訊くと、皆さんそれなりに満足されている様子であった。因みに同社のスプレッドはドル円4銭、豪ドル円8銭という広いもので、スプレッドに加えて手数料まで徴収するシステムとなっている。それでも顧客が集まるという事実は、それなりに評価しなければならない。
二 MT4を使おう、何も自動取引をすることはない
ここまで読んでいただいた方には、トラリピは素人にも勝ちやすい手法であることをおおよそ理解していただいたことであろう。MT4を使えば、広いスプレッドや手数料を支払う必要がない。また、逆指値方式(順張り)を使えば、相場が逆行した場合でも、ナンピン買い下がりや売り上がりが激減するので、その分含み損も極少化する。またMT4採用会社のほとんどは、IFD等の待機注文には証拠金を要求しないので、資金管理に余裕が出てくる。
ここから先は、トラリピに関する過去のブログ「トラリピは半自動(半手動)がお勧め」と「トラリピは逆指値がお得」でVPS(外部コンピュータレンタル)不要且つ順張り(トレンドフォロー)の逆指値手法を自らのパソコンから発注する方法をマスターしていただきたい。また、「トラリピの仕掛けどころ」も参考にされたい。
MetaGenic社開発のEA、TrapTradeSystemは詳しい説明書付です。順張り専用の逆指値注文が可能であるほか、個々のトラップに損切り注文も入れることもできます。また、VPSご利用の方向けに、希望の多いトレーリングストップを追加したTrapTradeSystem_TSも公開しております。
トラリピ関連EAは、こちらで公開中。
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(追記)
TarapTradeSystem最新更新版については、当ブログ「MT5版TrapRepeatIFD EAを開発しました」を参照ください。MT4版EAにMT5版EAを無償添付しております。