でも麻也さん…
諒は急に麻也に覆い被さり、
「全部俺のせいだけど、ごめんなさいなんだけど、麻也さん回復しててよかった」
と、耳元に囁いてくる。
麻也はまた悩む。
確かにその言葉は嬉しいけれど、でも、でも…
でも諒を失いたくなくて、麻也は諒を抱き締めた。
まだ不安定な二人の関係だから…するといつものように諒に唇を奪われる…
そこまでしておきながら、また急に、
「あ、疲れさせちゃうね、ごめんね…では今日のところは帰ります…」
と、はにかんだ表情で帰っていった。
また明日も来てほしいけど…
口に出しては言えなかった。
いや、もしかするとこれが諒の作戦かもしれないが…
でも、自分が諒たちメンバーのオフを奪ってしまったのは事実なわけで…
(…みんな何にも言わないけど、直人にもずいぶん迷惑かけてるんだろうな…)
それから一時間ほどして、鈴木と真樹がやって来た。
用事は携帯で済む訳だから、心配で様子を見に来たのだろう。
あいかわらず真樹は、いやさすがに鈴木も疲れた表情で、麻也は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
しかし、真樹は笑いながら、
「俺は今日は家族代表で来ただけだから」
と言い、
「母さんは明日は来れそうだって。親父がつきそってくると思うよ。」
親父、と聞いて、麻也は緊張してしまったが、
「真樹、ごめんね、せっかくの休暇なのに…ちゃんと寝てる? 」
うん、寝てるから大丈夫。
兄貴こそ心配しないでゆっくり休んで」
真樹の笑顔が嬉しかった。