BLロック王子小説「ディスティニーアンダー・グラウンド-ギターとスターに愛され過ぎた王子-」

 ★過去に傷を持つ美貌のロックギタリスト遠藤麻也(まや)。運命の恋人・日向 諒と東京ドームに立つが…

★BLロック王子小説23-16「ディスティニーアンダーグラウンド」

2020-12-20 21:08:00 | ★ディスティニー第23章

 でも麻也さん…

 諒は急に麻也に覆い被さり、

 「全部俺のせいだけど、ごめんなさいなんだけど、麻也さん回復しててよかった」

と、耳元に囁いてくる。

 麻也はまた悩む。

 確かにその言葉は嬉しいけれど、でも、でも…

 でも諒を失いたくなくて、麻也は諒を抱き締めた。

 まだ不安定な二人の関係だから…するといつものように諒に唇を奪われる…

 そこまでしておきながら、また急に、

「あ、疲れさせちゃうね、ごめんね…では今日のところは帰ります…」

 と、はにかんだ表情で帰っていった。

 また明日も来てほしいけど…

 口に出しては言えなかった。

 いや、もしかするとこれが諒の作戦かもしれないが…

 でも、自分が諒たちメンバーのオフを奪ってしまったのは事実なわけで…

(…みんな何にも言わないけど、直人にもずいぶん迷惑かけてるんだろうな…)


 それから一時間ほどして、鈴木と真樹がやって来た。

 用事は携帯で済む訳だから、心配で様子を見に来たのだろう。

 あいかわらず真樹は、いやさすがに鈴木も疲れた表情で、麻也は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

 しかし、真樹は笑いながら、

「俺は今日は家族代表で来ただけだから」

と言い、

「母さんは明日は来れそうだって。親父がつきそってくると思うよ。」

 親父、と聞いて、麻也は緊張してしまったが、

「真樹、ごめんね、せっかくの休暇なのに…ちゃんと寝てる? 」

うん、寝てるから大丈夫。

兄貴こそ心配しないでゆっくり休んで」

真樹の笑顔が嬉しかった。