らくがき帖

ノンジャンル心象風景

思い出のおままごと

2009年05月09日 | 子供
最近話題のRくん。
我が家の北隣に住む4年生だ。
うちの子供たちとは兄弟も同然に
よく遊んでいる彼には、
忘れられないままごとの思い出があるので
紹介しておきたい。



ところで、同じくこのブログでよく話題にしている
我が家の目の前の黒森山だが、
じつはここ、タヌキやイタチやカモシカとともに、
クマも棲んでいる。
噂ではなく、実際に我が町内に
出てきたこともあるのだから本当だ。

2年前の小学校の運動会の閉会式、
最後の校長先生の挨拶で
「…ただ今仙台市より緊急の連絡が入りました。
先ほど、町内の3丁目西側で大人のツキノワグマが
目撃されたとのことです。
お帰りの際は十分お気をつけ下さい…」
との話を聞いたときは、
恐怖と言うよりは唖然呆然としてしまった。
「3丁目の西側」とはまさに、
我が家がある場所なのだ。
帰ったら庭にクマがいるかもしれないのか…?
気をつけろとは一体どのように……!?

このときは市の広報車が午後じゅう
「クマにご注意下さい。
外出はできる限りお控え下さい」
と放送して回っていたし、
また別の町内にクマが出没したときには
学校の連絡網で
「○○町の××の近くに仔グマが現れ、
まだ母親が見つかっていないので
注意するようにと次の人へ回してください」
と電話連絡が入ったこともある。
つまり黒森山に隣接している我が家やご近所さんにとっては、
小さな谷一つ隔てた隣家はクマ家、
ぐらいクマは身近な存在なのだ。


さて、それを踏まえて、ままごとの話に戻ろう。
あれはヒメとRくんが1年生、
タローが年中のときのことだったと思う。
いつものように我が家の庭とRくん宅の庭を
行きつ戻りつしながら遊んでいた3人だが、
そのうち我が家の庭で
ままごと遊びをしよう、ということになった。
開いていたリビングの窓から私が聞いた
そのままごとの全容は以下の通りである。


ヒメ 「じゃあうちがお母さんの役やる!」

R 「じゃあオレがお父さんね」

タロー 「ぼく赤ちゃん!」

ヒメ 「じゃあ…朝みんなが起きたところからね。
    …お父さんの仕事何にする?」

R 「え~・・・なんかオレ・・・働きたくないな・・・」

ヒメ 「あ!じゃあ、このうちはお金がないのね!」

R 「うん!それでさ、すごく不幸なのね!」

ヒメ 「うん。食べ物もないのね!」

R 「うん。…あ、じゃあオレ猟師になる!
   黒森山にさ、クマを撃ちに行くのね」

ヒメ 「うんうん! そのクマの毛皮とかお肉とかを
    売らないとお金がないのね!」

R 「よし、決定~!! じゃあやろう!」
  『あ~朝だー 今日も黒森山に行かないとな…』

ヒメ 『おはよう、あなた。
    ごめんなさい。朝ごはんはパンしかないのよ。
    お金がないからおかずが買えなかったの。
    お米ももうなくなりそう…』

タロー 『えーん、えーん(>_<)』

ヒメ 『おはよう、赤ちゃん。
    もうあんまりミルクもないけど泣かないのよ』

タロー 『えーん、えーん(>_<)』

R 『そうか…じゃあオレが今日こそ絶対に
   クマを獲ってこなきゃダメだな…』

ヒメ 『そうよ。がんばってね、あなた』

R 『わかった、じゃあ行ってくる』

ヒメ 『気をつけてね! 反対にクマに襲われないようにね!』

(Rくん、黒森山の方角へ鉄砲を担いで出掛けていくマネ)

タロー 『えーん、えーん(>_<)』

ヒメ 『かわいそうに、赤ちゃん、お腹が空いているのね…
    でもうちにはお金がないからしょうがないのよ。
    きっとお父さんがクマを撃ってきてくれるから、
    それまでがまんしてね…』

タロー 『えーん、えーん(>_<)』

ヒメ 『そんなに泣いたって仕方がないじゃない!!
    私だって食べるものがないのよ
    がまんしなさいっ

タロー 『え・・・ぐっすん、ぐっすん』

ヒメ 『そうそう、いい子ねー
    きっともうすぐお父さんが帰ってくるわ』

(Rくん、黒森山の方角から戻ってくるマネ)

R 『ただいまー・・・ふぅ・・・疲れたー』

ヒメ 『おかえりなさい、あなた。
    どうだった? クマは?』

R 『ダメだ…今日も何も獲れなかった…』

ヒメ 『え!!・・・それじゃあお夕飯はどうするの!?
    もううちには食べるものがないのよ!!?』

R 『そんなこと分かってるよっ
   だけど捜しても全然いないんだから
   しょーがねぇーじゃねえかっ

タロー 『えーん、えーん(>_<)』

ヒメ 『大きな声出さないでよっ!
    赤ちゃんが泣いちゃうじゃない!
    私も赤ちゃんもお腹をすかせて待っていたのに…』

タロー 『えーん、えーん(>_<)』

R 『うるせえっっ。
   オレだって腹ぐらい減ってるよ!!
   黒森山でずっと歩いてクマを捜してたんだから…
   でもどこにもいなかったんだよっ』

ヒメ 『そんなこと言ったってどうするのよ?
    こんなに貧乏じゃあみんな死んでしまうわ…』

タロー 『えーん、えーん、えーん、えーーーん(>_<)』

R 『うるさいうるさいうるさい黙れ!
   オレはもう寝る!
   明日こそクマを獲るために…』

(Rくん寝るフリ)

タロー 『えーん、えーん(>_<)』

ヒメ 『ヒドイ…ヒドイわ…
    私、こんな生活もうイヤ…』
   「…じゃあ…この日はもうこれでみんな寝るのね。
    次の日はどういう不幸があることにする?」

R 「やっぱし次の日もクマが獲れなくて… 
   もっとケンカして…」

ヒメ 「あ家出

R 「うんうんうん

タロー 「ぼくはさっきみたいな感じでいいかな?」




こんな感じでもうしばらく続いていたように思うが、
残念ながら私にはこの辺りまでしか記憶にない。
確か、ツッコミどころが満載過ぎて
笑いを堪えることができず、
その場を去ってしまったような気がする。

だって、何ですか、コレ?
貧乏で不幸な家庭ごっこって、
今の子たちはけっこうやるものですかね…?
しかも、いくら土地柄があるとは言え、マタギ!!
マタギの不幸一家!!!
それを嬉々として演じる7歳&5歳…。

ちなみに、我が家もRくん宅も
ごく一般的なサラリーマン家庭で、
ここまで困窮して不幸だったことはない
……と、思います

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