マクミラは、明け方近く、堕天使ダニエルとの夜回りからヌーヴェルヴァーグタワーへ帰ってきた。
疲れているはずなのに、「恋する乙女」にはエネルギーがあふれていた。
だが、自分では信頼できる「パートナー」を得たがゆえに気力が充実しているのだと思いこんでいた。これまで恋愛とは縁遠い生活を冥界でも人間界でもずっと送ってきたため、ムリはないことだったが。
マクミラとダニエルの豪華な棺桶の置かれた寝室のドアを開けた瞬間だった。
「サプラーイズ!」
クラッカーの激しい音の向こうに、見知った顔が揃っていた。そこには、ナオミとジェフだけではなく、ミスティラ、アストロラーベ、スカルラーベまでがいた。
「なんで、あなたたちまで。まだ降臨していないはずなのに?」
「パラレルワールドってことで、今日はかたくるしいことを言うな。ナオミが声をかけてくれた。前回の神官殿との、ここではマクミラでよいか、パーティはずいぶんと楽しかったらしいな」アストロラーベが答える。
「そうよ。最近は私も出番が減って・・・・・・ううん、余計なこと言わせないで。ミスティラさんが、一度、出番前にダニエルと会っておきたいって。でもダニエルって、どこかで見たような気がするんだけど」ナオミが続ける。
「まあ、ここでいろいろ進めてしまうと、話がこんがらがるから」ダニエルが答える。
「あのお姉様、ハッピーバースデーでございます」ミスティラが、おずおずとしゃべる。
その言葉を聞いたとたん、マクミラの足下の3匹が急に吠え出す。
「キル、カル、ルル、いいのよ」マクミラに言われて、しぶしぶ3匹がおとなしくなる。
「今日は、最高級ワインと特別あつらえの人口血液を醸成してございます。『年に一度のめでたい日』です」ジェフが、その場をとりつくろうように言う。「マクミラ様がミスティラ様、アストロラーベ様、スカルラーベ様にストーリー中でお会いできるまでには、しばらくございます。今日は、心ゆくまでパーティをお楽しみください。もっとも昼間は美容のため十分睡眠を取っておかれた方がよいので、昼ふかしはほどほどに・・・・・・」
マクミラは思った。やれやれ、そそっかしいミスティラがたぶん誕生日を2月末日とでも勘違いしたのだろう。わたしは2月29日生まれだから、正式な誕生日はうるう年だけなのだが・・・・・・だが、今日は小さいことは気にせずに、わたしたちを待つ闘いにそなえて、つかの間の休息を皆と取るとしようか。
マクミラの六人と3匹とのパーティは、まだまだこれからが本番・・・・・・
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