明治座六月公演 五椿の椿を見に行って来た。
山本周五郎原作 主演は菊川怜さん。
名作なのに、原作は読んだ事が無いサスペンス時代劇。
ストーリーを知らないので、見逃さないよう真剣に観劇した。
むさし屋の一人娘おしのは、父・喜兵衛の愛を一身に受け素直な美しい娘へと成長した。
そんなある日、喜兵衛が病に倒れ息を引き取る。家に戻らない母・おそのに、せめて別れの言葉をと詰め寄るおしのに告げられたのは、出生の秘密だった。(喜兵衛は実の父では無く・・・)真実を知り、復讐を誓うおしの。
その夜むさし屋が燃え3人の焼死体が見つかる。三人は喜兵衛とおその、おしのとされる。(おしのと思われたのは、母おそのの遊び相手であったことが後で解る。)おしのが火を付けたのだった。連続殺人が起きる。(評判の悪い男ばかり)かんざしで一刺し、枕元にはいつも一枚の椿の花びらが残されていた。椿は喜兵衛の大好きな花であった。おしのも喜兵衛と同じ病で血を吐き、自分も長くないと悟る。(五枚目の花びら)実の父を殺すつもりであったが、自分が死ぬ事によって、父に一生苦しみを負わせようとする。
復讐が終わり、自分にも父と母の汚れた血が流れている事で苦しみ、早くこの血を絶やさなくてはならないと自害しようとするが、与力の青木千之助の心からの説得で、罪を償う為に思いとどまり、「貴方の手でお縄にして下さい。」と言う。
本当は心優しい娘であったのに、復讐の為に実母をも焼き殺してしまい、恨みのある男に素性を隠して近づき、次々殺人を犯す悲しい辛い話しであったが、復讐しても自分を育ててくれた養父(喜兵衛)は喜ばない事に気が付き、罪を償う気持ちになったのは千之助の愛の力・・・救いであった。
最後に菊川怜さんから、お芝居は初経験であるとの舞台挨拶があった。初々しい熱演で綺麗な着物姿が似合っていたと思う。
明治座の売店で実演販売していた出来立てのきんつばを夫に買って帰った。「甘さ控えめで美味しい。」と喜んでくれた。幕間のお弁当も美味しかった。これも楽しみの一つである。