シリアってどんな国?ニュースでは伝えない騒乱前の平和な国のエピソード
最近、世界遺産パルミラがISに破壊されたり、シリア難民の受け入れについてニュースになったりと、「怖い国」「危険な国」「治安が不安定な国」というイ メージがあるのではないでしょうか?実際に体験した、決してニュースでは伝えてくれない「シリアってこんな国だった」というエピソードがあります。
褒めるとプレゼントしてくれようとする
褒め上手というのは大切な資質だと思います。しかし、シリアで褒めてしまうと「良い? じゃあ、あげるね」なんて言われることもしばしば。「これ、どう?」と聞かれたので、「素敵だね~」と言っただけなのに!
バス代のときもそうですが、人にプレゼントすることが大好きなシリア人。お菓子屋さんや、マテ茶を初めて見たときに、「これ何?」と聞いたら「試し てみな」と飲み食いさせてくれます。しかも、「もう買わなくていいや」と思うくらいの量です。「おいしい!」と素直な感想を言うと、すごく嬉しそうにして くれます。そして、さらにくれようとしてくれます。
暑い日に雑貨屋さんに行ったのに、財布を忘れてしまったときはジュースをタダにしてもらったこともありますし、オーダーメイドで服を作ってもらっ て、代金を払おうとすると「お金はもらえないよ。日本から来てくれたのに」と断られたことも。旅である「くれくれ」攻撃ではなく、「あげるあげる」攻撃。 「どうやって恩返ししたらいいんだろう?」という幸せな悩みを抱く日々でした。

Photo credit: Nakano Takayuki「シリア図鑑 田舎生活編 〜協力隊で生活していた場所ってこんなところ〜」
遊びに行ったら、ご飯とパジャマがついてくる
僕が街中を歩いていると、呼び止められ、「こっちに来い!」と言われます。何の用かと思って行くと、「まぁ、座ってお茶でも飲んでいけ」と、甘い紅 茶が出てくるのが、シリアでの日常でした。ミニバスで、隣の席に座ったおばちゃんと話しているうちに、「ここで降りて、私の家で昼ご飯を食べて行きな!」 なんてことも。向かっている先があったので、丁重にお断りしましたが…。
ある日、仲良しの家族のところに行ったとき、お父さんに用事があったのですが、不在で、「待ってたらいいよ。すぐ帰ってくるから」とお茶と朝ご飯が 出されました。やがて、お父さんが帰ってきて、次は昼ご飯が出てきました。そして食後のお茶を飲んでいると、渡されたのがパジャマ! 「今日はここに泊ま るだろ?」と。まだ昼の2時なのに、その積極性に驚きました。
泊まった次の日の朝、僕が帰ろうとすると「なんで帰るんだ?」と止められます。「だって家があるから」と言うと、「ここもお前の家だ!」と言われ、 連泊することも何度となくありました。その理由を聞くと、イスラムの教えで「旅人は神様の遣い」という考え方が根付いていて、旅人へ親切にすることは天国 に近づく行為なのだそうです。一般的にイスラム教のイメージは本当にひどいこともありますが、僕が旅した中で親切を感じた国はどこもイスラム教の文化があ るところでした。

Photo credit: Nakano Takayuki「シリア図鑑 古代都市アレッポ編 〜シリアの大阪(商業都市)。破壊される前に訪れた美しい世界遺産の町〜」
「親切」「優しい」「安全」の国シリア
僕にとって「親切」「優しい」「安全」の国の代名詞だったのがシリアです。騒乱前の犯罪率、人口当たりの殺人件数が、日本より低いほどでした。今の シリア騒乱は、本当に信じ難く、また元のような国に戻ってもらうことを願ってやみません。僕は、今起こっているのは内戦ではなく、外部からの干渉で引き起 こされたものだと見ています。
もともと「怖い」「危険」「治安が不安定」な国が、今のような混乱状態になっているのではなく、日本以上に治安が良く、安定した生活をしていた、周 りへの愛に溢れた人たちが、巻き込まれている騒乱だとしたら、報道されているニュースの見方が変わるのではないでしょうか。この記事で、シリアへの見方が 少しでも変われば嬉しく思います。
ライター: へむり。
Photo by: Nakano Takayuki「今だから見て欲しい。破壊される前に訪れたシリアの世界遺産パルミラ」
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*Nakano Takayuki「今だから見て欲しい。破壊される前に訪れたシリアの世界遺産パルミラ」
*Nakano Takayuki「シリア図鑑 お店編 〜中東シリアでお世話になったお店〜」
*Nakano Takayuki「シリア図鑑 古代都市アレッポ編 〜シリアの大阪(商業都市)。破壊される前に訪れた美しい世界遺産の町〜」