血圧と血中酸素(SpO2)と心電図が測れるスマートバンドSPOVANを買って二ヶ月使ってみた
[写真]スマートバンドSPOVAN
忙しい人のための三行まとめ
■ 心拍、血圧、血中酸素(SpO2)、心電図と心率変動が測れる優秀なスマートバンドである
■ 送料込みで3600円で安く、ただ情報セキュリティ面では不安が残る
■ 一ヶ月使って不満がない、耐久性の問題を心配するならゴムバンドを一つ追加購入をお勧め
オーディオと無関係なレビューですが、コロナの時代だから少し有益な情報を共有できれば幸いです。
最近のスマートウォッチは心拍計の他に、SpO2が測れる機種も増えてきた。
例えばGPSウォッチの最大手のGarminはFenix 5X PlusからSpO2計測を提供し、
最近日本でもソフトウェアのアップデートによって日本モデルでも使えるようになった。
自分が持っているのは一世代前のFenix 5Xだから残念ながらハードウェア的にサポートされていません。
自分は去年(2020)の2月からコロナ疑似症で、一度SpO2が94%台まで下がったことがあった。
そのため早々医療機器のパルスオキシメーターを買ってました、実際、病気中は常に体調を客観的にモニタリングでき役立ちました。
当時は実際傷病手当を貰いながら病気が長引いた為当時勤めった会社からも退職させられ、今のフリーランスに転身する経緯でもあった。
しかし、パルスオキシメーターは指を挟む必要がある為、常時着用はできない(肺炎とか入院されたら常時着用させられますby自分の経験談)。
測る時はどうしても呼吸を意識してしまい、通常生活での血中酸素値はやはり誤差が出る。
特に、睡眠中の血中酸素の変化はどうしても気になって、記録できるデバイスが欲しかった。
[写真]パルスオキシメーター
[写真]手持ちのSamsung Galaxy S6もSpO2計測機能があるが、やはり常時計測は難しい
Garminの新しい腕時計を買う手もあるが、Fenix 5Xを持っているのでエントリークラスの物は正直買いたくない、それなりの値段もするし。
この時Aliexpressを覗いてみたら、タイトル通り、心拍とSpO2に限らず、血圧と心電図も測れるスマートバンドSPOVANを発見できた。
値段は送料込みで約3600円、この値段ではGarminのエントリークラスのスマートバンドすら買えない。
[写真]正面のディスプレイはIPS液晶を採用、解像度は240x135だが必要な情報を表示するには十分足りている
[写真]裏面には二つの電極(ECG心電図測定用)と4つのLED(心拍測定用とSpO2測定用が二つずつ)と受光センサー
[写真]緑のLEDは心拍センサー用
[写真]裏面からバッテリーマークがついてる片方のゴムバンドを外すとUSB充電端子が出てくる、ちなみに充電だけで通信はできない
[写真]USB充電端子とゴムバンドはきちんと嵌る構造になっているが、バンドの経年劣化を考慮すると追加バンドも一緒に購入する方が良いかもしれない
|中華デバイスの情報セキュリティ問題
先に述べさせていただきますが、僕は中国性の情報通信機器を一切信用しません。
個人情報が悪用され、場合によってはバックドアを仕込み、犯罪の踏み台にされるリスクもあります。
私自身はDAP(デジタルオーディオプレーヤー)はFiio X5 IIIも愛用しているが、普段はWiFiオフの状態でオフライン利用しています。
スマートバンドは本来、身体情報の計測以外に色々な連携機能があって、電話とメールとメッセージの通知と表示は当たり前である。
こういう通知系の機能はFenix 5Xに任せたいから、今回購入したスマートバンド自体は「完全オフライン利用」としてのレビューになる。
スマホにアプリをインストールせずにスマートバンド単体でもある程度の機能は利用できるが、最大の目玉の心電図機能は測量できるが表示はできない。
アプリはH-Bandという怪しさ満点の中華アプリ(一応Google Playの審査を通してダウンロードできている)を使っている。
少し調べたらH BandはSPOVANの専用アプリではなく、中華系のスマートバンドの共通連携アプリだそうです。
Google Play からインストールしたH Band アプリ
中国ではありがちなことで、大元(ソリューション、モジュール)はみんな同じなので、アプリも製品ごと別々に作るよりも開発キットとセットでメーカーに提供する体制になっていた。
つまり、大元を作る裏の会社があって(OEM/ODMからのパクリか、自力開発する可能性もある)、
彼らはベースとなるモジュールを作るが自らからは顧客に売らない。
そので沢山の無名メーカーがそれをを仕入れて、外観の設計と製造等をして商品として売る。
機能とソフトウェアは類似しているけれども、外観が少し違う商品が沢山出てくる原因はこれである。
良くも悪くも中国製造モデルなので、細分化と合理化はそれなりにされている。
とりあえずH-Bandをインストールして起動すると、案の定、色んな権限を要求してくる。
ここはできるだけ拒否してください。
僕の場合は、最終的にストレージのアクセス(計測データを保存するため)と現在地情報(これは一番与えたくないが、後述)を付与している。
SPOBANはペアリング不要のBLE通信を使っているようで、現在地情報のアクセス権を与えないとBLEビーコンとしてアクセスできなくなると推測。
しかし、身体健康データが保存される状態で位置情報を与えると、悪用されれば最悪なので(自分は要人ではないが、どうしても気に入らない)
H Bandにストレージ(データの保存に必要)と位置情報(後述)の権限を与えている
通知へのアクセス権は与えない
自分の対策としては
1、メインのスマホではなく、SIMカードを刺さっていない予備スマホを使う
2、位置情報はGPSだけにして、さらにFake GPSなどの位置情報偽装アプリを使う
3、アプリを起動している(同期等)時はWiFiをオフにする
個人情報が中国に漏れても気にしなければ、ここまでの対策は全部やらなくても大丈夫かも( ´∀` )。
|機能レビュー
ここからようやく本題に入る。
本題の写真を撮影する時は一ヶ月程使用した後だから、多少の汚れはご容赦してくれ。
SPOVANが採用しているHRMセンサーはSILABSのSI1182という型番であった
メーカーの製品ページ
https://jp.silabs.com/sensors/biometric/si118x/device.si1182-gm
データシート
https://www.silabs.com/documents/public/data-shorts/Si1182-short.pdf
SI1182は心拍(Heart Rate)と心電図(ECG)と光電式容積脈波記録法(PPG)が記載されているが、血中酸素(SpO2)と血圧については書かれてなかった。
よって、血圧とSpO2は別センサーを使っているか、独自のソフトウェア実装によって実現したかもしれない。
血圧測定機能
一般的な家庭用血圧が採用される「空気で加圧してから徐々に圧迫を緩め、この間のカフ圧の変化を通して血圧を測定するオシロメトリック法」と違って、スマートバンド・スマートウォッチは緑色と赤色のLEDで心拍と血流濃度(流速)をベースで血圧の推定を行う。
しかし仕組みとその原理から誤差が大きく、医療機器として認定されたものは少ない。
実際、家にあるオムロンの血圧計で測ったら138/95の所、SPOVANは130/90と表示される(どうやら収縮圧130が限界らしい?)
自分は太くて高血圧も25年近く持っているため、体感的にはSPOVANの血圧は低めに表示されている。
ただ、血圧がやや高いと体感した時は128~130くらい張り付くので、目安として見るのは一応使える。
[写真]スマートバンド単体で血圧を測定できる
H-Bandアプリのホーム画面から、血圧の変化グラフを確認できる
血圧の詳細をクリックすると、スマートバンドは5分毎に血圧を自動測定していたのを確認できた
血中酸素(SpO2)測定機能
SpO2の測定精度は割と正確である、手持ちの医療機器のパルスオキシメーターとほぼ同じ数値が出てくる。
ただ、スマートバンドは常時着用するため、SpO2の変化を記録できるメリットがある。
意図的に呼吸をしない時と睡眠中のSpO2遷移を記録すること自体は、このスマートバンドを買う理由でもある。
お陰て自分は睡眠中の無呼吸症候群ではないことを確認できた(よかった)。
僕の場合、睡眠中の血中酸素は常に97%~98%台を維持しており、
15年前マイコプラズマ肺炎になった時は88%~91%しかなかったので、完全に回復されていることを確認できた。
[写真]SPOVANの血中酸素(SpO2)測定機能、精度は医療機器のパルスオキシメーターとあまり差はない
H-Bandアプリのホームからは睡眠中(0-7AM)の血中酸素(SpO2)変化を確認できる
詳細を見ると、睡眠中の平均酸素濃度、呼吸数と心臓負荷を確認できる
心拍計機能(Heart Rate)
これはスマートバンドの基本中の基本、枯れた技術なので難しいことはやってない。
手持ちのGarmin Fenix 5Xと両手で常時に測ってみたらほぼ同じ数値が出ていた、Fenix 5Xの方は多少タイムラグがある感じだけど。
ただ、運動中腕が汗で濡れた状態ではSPOVANの方が体感的に合ってる気がした。
[写真]SPOVANの心拍測定機能、最近のスマートバンドとスマートウォッチは標準搭載されている
H-Bandアプリのホームからは心拍の推移グラフを確認できる
運動した後で、心拍ゾーンごとの分配時間を確認できて、運動の量と強さを調整する目安にもなる
心電図(ECG)測定機能
[写真]SPOVANの心電図(ECG)測定画面、長押しすると測定が開始される
SPOVANのECG測定機能は四肢誘導(Finger-based lead)を使っており、医療機器としては既に確立てきている技術である。
測定の仕方はスマートバンド単体でもできる(ECGの画面に切り替えから金属部のタッチセンサーを長押し)、しかしグラフを閲覧するのは連携アプリが必要。
アプリからも心電図測定を行える。
心電図は誘導が必要のため手動で測定する
計測できたら、基本的な分析レポートが出される
波形レポートはGoogle Driveなどのクラウドに保存できるので、医者さんに見せたい時は便利です
測定時は指先をスマートバンド正面の金属部を押さえ続けることが必要。
スマートバンドの裏面は二つの電極があるので、腕と逆側の指との間に電気を流れることで抵抗と電圧の変化を測れる仕組みである。
説明書では腕を潤う状態を保つと書かれましたが、しかし実際に水とジェル等を塗った状態で測ってみたらグラフが乱れやすくあまり正確に測定できなかった。
よって、僕の場合は特に何も塗らずに測定するようになった。
実際に測定された心電図、精度の検証は個人レベルでは難しいが波形を見る限りセンシングデータの処理は綺麗
心電図の見方については、以下のサイトが詳しく説明してあるのでお勧め
https://med.toaeiyo.co.jp/contents/ecg/index.html
心拍変動(HRV)測定機能
HRVは心臓の健康指標の一つになるデータであって、
H-Bandアプリの中ではグラフの見方のチュートリアルと自動診断機能が搭載されている。
ただ、アルゴリズムによる自動判定なのであくまでも参考として見た方が良いです。
心拍変動値はデフォルトでは夜0時から朝7時の睡眠中のデータを使っている、
もし睡眠時間は違うであればH Bandアプリでは変更できると思う。
H-Bandアプリのホーム画面からは心拍数変化(HRV)を確認できる
睡眠中の心拍データの推移から心臓の健康指標が算出される、自分の場合は大体73-82の間で推移している感じ
一応心拍変化(HRV)データから分析レポートも出てくる、アルゴリズムの基準は不明なのであくまで参考程度
HRVグラフの見方のチュートリアルもついている、これは少し嬉しい機能である
参考資料
https://medi-core.com/jp/technology/hrv.html?ckattempt=1
睡眠データ測定機能
多分ですが心拍と時間と加速度センサ(本当に寝ているかを判定)から成人の標準睡眠モデルを使って推定した結果であるかもしれない。
少なくても加速度センサで夜中に何回起きたくらいは正確に判定できると思う。
睡眠データの分析レポート
操作、ディスプレイとバッテリーの持ち
ディスプレイの明るさを自動調整、30秒後自動オフに設定し、
毎日約1時間程運動し、1回の心電図(ECG)測定を行いと十数回各機能を使った場合は二日半くらい持ちました。
ディスプレイのデフォルト自動オフ時間は3秒であまりにも短くて不便を感じて最大にしました。
10秒後自動オフにすればもうちょっと伸びると思う。
ただ、ディスプレイの明るさの自動調整はあまり役に立たなくて、寝るときは明るすぎて晴れの屋外が暗くて見にくかった。
室内だったら視認性は良好でまあ許容範囲であった。
流石に屋外でも視認性抜群のMIP反射型液晶を採用するGarmin Fenixシリーズの方と泥雲の差があった。
操作は正面の静電気タッチボタンの一つだけ、触ると次の機能に進み、長押しするとその機能を起動する感じ。
[写真]SPOVANのホーム画面、試してないけどH-Bandアプリから他のスタイルに変更できる
ホーム画面は6種類のスタイルから選択できる
画面点灯時間は3秒から30秒まで選択できる、デフォルト設定の3秒は短すぎたので10秒以上がお勧め
計測データの同期とその他の機能
SPOVANはスポーツ用のスマートバンドという側面もあり、スマホと接続してなくても常に人体のデータを観測している。
特に心拍変動(HRV)と血中酸素(SpO2)の変化は0時から朝7時の睡眠中のデータを使っているので、朝起きてデータが同期でき次第レポートが見えるようになる。
例えば運動中と睡眠中はスマホとの接続が切れても、再接続され次第自動的にデータが同期され、常にペアリングされたスマホを携行する必要はない。
この前に述べたセキュリティ対策もあり、個人的にはSPOVANをオフラインでスタンドアロン的に使い、ペアリングされたスマホは詳しいレポートを見る時だけ使うことになる。
[写真]カロリー計算機能
[写真]歩いた距離の計算、SPOVAN本体にはGPSが搭載されていないので多分加速度センサーからの推定である
[写真]正直、何の機能が分からない
[写真]ランニング測定機能
[写真]この画面で長押しすると電源オフできる
|まとめ:価格と機能的にはお勧め、情報セキュリティ対策は留意しなければならない
医療機器ではないものの、正直ここまでの計測機能で送料込み3600円とは破格の値段だと思う。
血圧計測の精度はいまいちで参考程度でしかならないが、SpO2と心拍数は医療機器の結果と比べても違いがあまりなく、心電図測定などではきちんとした波形が取れたように見える(検証する手段がないので仕方ない)。
ただ、SPOVANは中国メーカーによる発売された通信デバイスと、H-Bandという中国製のペアリングアプリを使っていることから、
自分のプライベートデータ(住所、活動履歴、電話番号とSMS内容)を守るために、利用の仕方は注意した方が良いと考えている。
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