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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

僕はビートルズ  by 原作:藤井哲夫 作画:かわぐちかいじ

2010年09月21日 | 漫画・アニメ、そして特撮

今現在、私にとって一番続きが気になるコミックが、これ。

なんてったって、発想が凄い。

このコミックは、賛否両論あるようだが、それはうなずける。
問題作であることは間違いないと思う。

ビートルズを崇拝する20代前半の今の若者のビートルズバンドが、ビートルズがデビューする少し前の時代にタイムスリップしてしまう。

で、まだ世界の誰も知らないビートルズの名曲群・・例えば「イエスタデイ」「アイソーハースタンディングゼア」「オールマイラビング」などの曲を、ビートルズがそれらの曲をまだ作っていない&発表していない時代に、演奏してしまう。

で、それを自分らのオリジナルということにして世界のヒットチャートに登れば、その曲に刺激を受けたレノン&マッカートニーは、それ以上の曲を作るだろう、それが聞きたい・・とする真琴。
一方、そんなことは許されない・・とか、「俺は違うやり方でビートルズを目指す」というレイ。

こんな発想で、この漫画はグイグイ進んでゆく。

このコミックは、音楽系のタイムスリップもの・・なのだ。
タイムスリップの方法は、少し無理があるような気もするが(少なくても4人全員が劇中のような方法でタイムスリップするというのは・・)(笑)。



もしも自分がビートルズと同じ才能があり、ビートルズの名曲が自分が作った曲だったとしたら・・とか、ビートルズに負けない曲を作れたら・・とか、そんな妄想遊びを若い頃にしたことがある人は、私以外にもいるのではないだろうか。

仮に、自分に、ビートルズの才能に勝るとも劣らぬ才能があったとしたら、音楽をやる人は、どうするだろうか。
しかも、自分がビートルズの音楽が大好きだったとしたら。

もしくは、ビートルズの曲を、自分が作った・・ということにできるのであれば、どうするだろうか。


人それぞれだろう。

もしも、ビートルズの曲をビートルズよりも先に自分が作ってしまう・・そんなことになったら、まだその曲を、ビートルズがひらめく前の段階であれば、自分が作ったことにしたビートルズ曲をビートルズのメンバーは大好きになるだろう。
彼らの音楽的趣味に合致するのは明白だからだ。
また嫉妬もするかもしれない。
それはビートルズがビートルズに嫉妬することになる。

もしくは、レノンやマッカートニーの頭の中に、曲の断片が浮かんでいる段階で、いちはやくその曲の完成形が発表されてしまったら、頭の中を盗まれてるようで怒り心頭になったり、ショックを受けるだろう。

で、その先の展開としては、ビートルズが音楽活動をするパッションをなくしてしまうか、もしくは張り合うか。



張り合うことになった場合、かつてビートルズがディランやビーチボーイズと張り合ったように、自分のバンドとも張り合って、刺激を受けあい、いい音楽を作ることになるかもしれじゃい。
この場合、ビートルズ対ディラン、ビートルズ対ビーチボーイズのライバル関係と違うのは、実質的には「ビートルズ対ビートルズ」になるということだ。

まさに、ビートルズにとっては、最強のライバルだろう。


となれば・・いずれ、その「自分」は、遅かれ早かれビートルズのメンバーと会う機会があるだろう。
少なくても、ビートルズのメンバーがこちらを放っておかないだろうから。
その時、自分はビートルズとどんな会話をするだろう。

そんな色んな「IF」を考えてしまう。



仮に、私がそういう状況におかれたら、どうするだろう。
私なら・・きっと、自分らのオリジナルを作りたい、そしてビートルズの楽曲群と勝負したい・・と思うだろう。

ビートルズの曲をビートルズよりも先に自分が作ったことにできて、その曲やサウンドを世界に発表していっても、自分の中では「自分(たちのバンド)は、所詮コピーバンドでしかない」というジレンマであふれると思う。

いくら世界の人が、その曲の本当の作者はビートルズであるということを知らなかったとしても、自分の中にある真実・・この曲の本当の作者はビートルズであるという真実が、自分の本当の才能を否定してくるだろう。


で、現実と真実、そして罪悪感で押しつぶされてしまうかもしれない。




まだこのコミックは、始まってからそんなに月日がたってない。
物語はこれからどんどん奥に入ってゆくのだろう。

設定が設定だけに、色んな展開が考えられる。

始まってからそんなにたっていないにもかかわらず、色んなことを考えさせられるテーマだ。
特に、趣味であれ、音楽をやる人にとっては。

音楽をやることの意義、意味、欲望や野望、あり方、罪、リスペクトするアーティストへの姿勢、そして自分のアイデンティティに迫ってくる。
そして、オリジナリティとは、なんぞや。
音楽を作るということのあり方とは?



この先、この物語はどうなっていくのだろう。


まだ、まだ展開はこれから・・という感じがするので、今の時点ではこの作品についてここで書くのは、これぐらいにしておいて、今後も見守っていきたい作品だ。
で、どんな結末を迎えるのか。
どんな終わり方をするのかが、気になる。



ちなみに、時空ものというジャンルでは、タイムスリップという概念以外にも、タイムマシンやタイムパトロールなどの設定が、よく出てくる。

時空を利用した犯罪を取り締まるタイムパトロールがもしも存在したら、このコミックのメンバー・・特に真琴のやろうとしてることは、立派な犯罪になるだろう。
極限の著作権侵害として。

また、それによって、世界の歴史の一部を変えてしまう時空犯罪になるから。

そういう意味でも、この「僕はビートルズ」は、何やら危険な香りのする作品でもある。



P.S. 写真は、この作品中にも出てくるギター、ギブソンL-50。
たまたま私も所有してるギターなので、このコミックの単行本とツーショット(?)で紹介。


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