たいがいのシリーズ番組では、番組の最後に次回予告がある。
ドラマもそうだし、アニメもそうだ。
通常は「次回予告」は、ある意味番組の「おまけ」みたいなものだと思う。
だが、中には「おまけ」であるはずの次回予告が、とんでもなく存在感があり、しまいにはその次回予告が見たいがために番組を見るようになったりする場合もある。
ある意味、その次回予告は、その番組の「売り」のひとつにまでなってしまうことがあった。
その例として私があげたいのはアニメ版「北斗の拳」の次回予告であった。
私はアニメ「北斗の拳」の次回予告ほど、次回予告が楽しみだった作品は、他に思い浮かばない(まあ、「鬼滅の刃」の次回予告も個性的でよかったけど)。
それほど「北斗の拳」の次回予告は傑出していた。
本編が面白かったのはもちろんだが、本編を見終わった後には次回予告が見れるという楽しみがあった。
本編だけ見て他のチャンネルに変わるだなんて、こと「北斗の拳」に限ってはありえなかった。
番組の最初の頃は、さほどでもなかったのだが、放送回数が増えるにつれ、その次回予告のナレーションのテンションはどんどんヒートアップしていった。
しまいには、次回予告単体でも楽しめるような内容になっていった。
この予告のナレーションを担当されていたのは、千葉繁さん。
この次回予告を見るようになって、「このナレーションの千葉繁さん、すげえ!」と思って、頭の中に深くその名前をインプットしなおした覚えがある。
さらに、この予告で、千葉さんのファンになった覚えがある。
割と声質に特徴がある方なので、その後は千葉さんが出てる作品を見ると「お、千葉さんだ」などと思って気になるようになった。
なんでも、千葉さんはこのナレーションでは、命を削るような思いで取り組んでいたらしい。
そりゃそうかもね、あのテンションだもの。
ともかく、只者ではない!という感じだった。
この予告は次第に評判を呼び、千葉さんはこのテンションを下げるわけにはいかなくなり、それどころか回を重ねるごとにテンションを上げていったものだから、ある意味自身の首をしめるような感じになったとか。
なんでも1回このナレーションを読みあげるたびに、倒れそうになっていたらしい。
このテンションマックスの予告には、実は別のバージョンもあった。
それは、講談調に読みあげるやりかただった。
いつもテンションマックスの読みあげ方だとさすがにきつくなってきて、講談調のパターンもやっていたらしい。
講談調の予告ナレーションも私は「北斗」で見た覚えがある。
なるほど講談調のパターンなら、いつものテンションマックス調よりは体力消費は抑えられるかもしれない。
講談調のパターンも私は嫌いじゃなかったし、面白いとは思った。
ただ、いつものテンションマックス調に慣れてしまって、しかもそれを楽しみにしていた視聴者にとっては、講談調スタイルは物足りなく聞こえたのかもしれない。
しまいには、テンションマックス風の予告じゃないとクレームを入れてくる視聴者もいたらしい。
こんなことがあって、また現場のプロデューサーなどからの意向もあり、テンションマックス風をやめるわけにいかなくなってしまったらしい。
ともかく「北斗」の次回予告の千葉さんのテンションマックスタイプは評判になり、その後マニアの中では語り継がれる予告編になっていった。
今では、「北斗」の次回予告は、ちょっとしたレジェンド的な予告になっているように思える。
一度、「北斗」の次回予告だけを集めた映像なんてのも見てみたい。
しかも、ちゃんと1回目から放送回数順に並べた予告を。
それを見たら、最初はおとなしめだったのに、回を重ねるごとにテンションがあがっていく様を、レベルアップでもしていくかのように楽しめると思う。
ともあれ、北斗の拳の次回予告の千葉繁さんのナレーションは、終盤になっていくにつれ、ある意味「神がかって」いたと思う。
マックステンションの神様の「神がかり」で。
一度も「北斗の拳」の終盤での次回予告を見たことがない方は、一度ご覧になっていただきたい。
ともかく「凄い」としか言えないから。
なお、その物まねは、普段の血圧が高い人は、やめておいたほうが無難かも。
私に言わせれば、アニメ史上最強クラスの「次回予告」だったと思う。
「北斗の拳」のアニメを作っていた現場の人たちも、あの予告を見たらテンションあがったんじゃないかなあ。
千葉繁さん。
やはり只者の声優ではなかった。
そういえば、北斗の拳の舞台は、核戦争後の荒廃した世界だったと思う。
そんな世界が現実化しないことを今は願わずにいられない。
そんな世界や時代は、決して来てはならない。
そんな世界になってしまうことを阻止できる人、そんな世界にさせない人こそ、現実世界の救世主であり、本当のヒーローであろう。
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