学生も戦争に動員されることになり、その前に何とか早慶戦を実現させようとする人々の物語。(以下、少々ネタバレしています)
価値観の狂った軍人が主人公達にとっては悪人でしかないということや、人の戦死の知らせなど、戦争の悲惨さの描写に既視感があったこと。またどうしても早慶戦をやりたいというのが、学生当人達より指導者の柄本明や石坂浩二の方に見えてしまったのが期待と違ったせいもあって、何だかあまり引き込まれずに中盤へ。
そのせいか、途中悪い癖が。うとうとと居眠りしているうちに、いつのまにか全ての障害が取り除かれ、早慶戦が実現してしまった……。ああ、そこが見所だったろうし、見たかったのに……私のバカ。
ただ、最後の応援団達のお互いへのリスペクトは、とても胸を打つものがあった。子供の頃、東大VS早大の六大学を見に行ったことがあるが、応援団同士のやり合いというのはプロ野球にはないものなので、面白かった覚えがある。
ただ、リスペクトと言っても、柄本明の「控えを出すのは相手に失礼だ」というのには、「ひゃくはち」の補欠達の切なさを見ているせいか(参:胸が詰まった「ひゃくはち」)、共感できなかった。だって控えの人達だって死んでしまうかも知れない出征の前に試合に出たい気持ちは痛い程あったはずだと思うから。
劇場は空いていたが、年齢70~80と見られる方が多かった。その方々は、終盤から鼻をすすり、涙を拭いていた様子。その重さを、あの時代を知らない私にもズッシリ実感できる作りだったらな、と、少し残念に思った。