眼を磨くんだよ。毎朝、歯を磨くみたいに
アラーキーこと、写真家荒木経惟が若者たちに語る。生い立ち、学生時代、映画、書物、一番大切なこと、好きなカメラ、気になる写真家―。ちょっと真面目な、アラーキー的ひと言。
荒木経惟は「毎朝、青空を撮れ」という、やってみよう
(以下、青空の写真と天才アラーキーのひと言を抜粋)
「白い空間には無情がある」
「ポートレートとは、向こうが表現しているものを複写すること」
「写真とはモノではなくコトを撮ること」
「デジタルカメラはよくない。水を使わないとダメ。乾いていっちゃって。脳味噌が砂だらけになる。いま失われているのは色気というより水気がなくなってること」
「メールもダメ。叩くのではなく、文字は書けって言いたい」
「カメラマンは指の思想家=指想家。指で思想を表す」
「写真は顔に始まって顔に終わる」
「写真家とは三途の川、川みたいなもの。彼岸と此岸があって、その両側を往還する。生から死へ、死から生の写真に戻ってくる。だから写真家は絶対に狂わない。自殺しない」
「好きなカメラマンはロバート・フランク」
「気になるカメラマンは木村伊兵衛。ブレッソンより木村伊兵衛の方が情が入っているから」
「いい写真を撮るコツは知性が先走らぬこと」
「日付けがあると、写真でも芸術でもないって言われるけれど、日付けのない写真って写真じゃない。写真って俗なことだから。それに気づいたのは、結婚式の写真に日付けをつけて撮った時だね」
「写真には情が写る。被写体に対する思いやりと慈しみ、つまり情を写してあげる気持が必要」
「いまの写真家って、妙にものわかりがよくて主張がない」
「俺自身のお薦め写真集は『センチメンタルな旅・冬の旅』『東京物語』、肖像画を撮るためのお薦めの一冊は、アウグスト・ザンダー」
「お薦めの映画は『裁かるるジャンヌ』『東京物語』『道』かな」
「読書はあまりしないけど、敢えて挙げれば国木田独歩『武蔵野』、志賀直哉『焚火』、幸田文『夾竹桃』、谷崎潤一郎『陰翳礼讃』」「好きな画家はピカソ。いい意味での我儘な生き方、生の楽しみを知っているところが好き。最晩年の『エロチカ』がいいね。北斎も好きだな」
毎朝、眼を磨けとは、自身の感性を磨くこと。以上、眼磨き 終了。