朝の連ドラを見ていたら、
私の横にそっと娘が座ってきた。
あれ?このドラマに興味持った?
なんて思いながら、
私は、彼女の顔を見ることもなく、大きな勘違いをしていたのだった。
その時私が考えていたことは、
彼のことだった。
今朝は、一回だけしか、LINEのやり取りをしていない。
彼は、これから娘さんを病院に連れて行くと言っていた。
このドラマをいつも、彼と一緒に見てるのに、今日は、それどころじゃないんだろうな〜。
あらすじだけでも、教えてあげようかな?
私の心は、まさにここに有らず。だった。
登校の時間。
車に乗り込むと、娘は、普通に助手席に乗ってきた。
私はまだ、彼女の心の変化に気付いていない。
昨日は、たくさん歩いたわりに、足はどうもないよね⁉️
なんて、声をかけたけど、大した返事は返ってこなかった。
踏切を過ぎて、カーブを曲がる時、
視界に入った彼女の動作に、違和感を感じた。
もしかして、泣いてるの?
娘は、ハンカチを持っていて、そのハンカチが濡れていた。
そうか…。
今日は、行けない日だったんだね。気がつくのが遅過ぎて、ごめん。
思えばあの時、私の隣に寄り添ってきた時、
彼女は、何かを言いたかったんだ。
いつもなら、気が付いてあげれたのに。
母親失格。
今日もちゃんと父親をしている彼の後ろ姿が目に浮かんだ。
なのに私は…。
校門前に車を止めて、ようやく、欠席の電話を入れた。
彼のことを心配しても、
彼の家族のことを心配しても、
私にはどうすることもできない。
そのことで、私の娘の変化に気が付かずにいるなんて、娘が不幸すぎる。
私は、一人の女になり過ぎている。