久しぶりに大阪の実家に行くと、
ものごっついたくさんの用事が溜まっていた。
これも息子の役割と、一つずつ丁寧に終わらせる。
自分らでできないことをきちんと全てメモして、置いているのがかわいらしい。
とは言え、全部終わらせた時、けっこう時間が経っていた。
「さて、やっと一服!」とは行かず、
今度は、近況報告が始まる。
子供の頃は、僕の報告を親が聞いてくれてたんだが、
今は、僕が親の報告を聞くことになっている。
「人生はそんなに長くない。」最近、ひしひしと感じる。
お袋の報告。
お袋の唯一の趣味は園芸。
「種から育てて花を咲かせる。」
手間に思えるのだが、愛情をそそぎこんで花をつけさせるのが、
楽しいらしい。
花が咲くと、まあるい鉢にきれいに並べる。
今度はそれを玄関の前に置いて、道行く人がきれいだと思ってくれるとうれしいらしい。
楽しみを共有しているつもりなんだろう。
そんなお袋の趣味のおかげで、玄関付近はきれいな花でいっぱいだ。
家族にとって、いつのまにか、この季節の楽しみになってしまっている。
そんなお袋に事件が起こった。
秋に撒いたストック(9月20日購入)がやっと花をつけた(3月10日開花)のだが、
その花が黄色い菜の花だったのだ。
この花の開花を半年間待ち望んでいたお袋のショックは大きく、
「なんで、こんなことが???」
気持ちの収めようもないお袋は、花を持って、このタネを買った天王寺の赤松種苗に行った。
「ストックが咲かなかった。タネが違っていたよ!」半泣きでお袋が言うと、
店の人間の答えは、「土が悪いと、そうなります。」
「私はずっと育ててるので、そんなことはありません。」と、お袋が言ったが、まったく取り合ってもらえなかった。
親父の話では、「行った時よりさらにがっかりして帰って来た。」とのことだった。
それでも、お袋は頑張った。
サカタのタネに電話したのだった。
返って来た答えは、「そんなことはありません!」
けんもほろろだった。
その話を聞いて、「証拠のタネとか、袋とか残してないか?」って聞いたら、
「全部植えた。袋も赤松で渡した。」とのこと。
ま、そらそうやろ。
そんなことあるとは思ってないから、全部植えるわな。
それにしても。キッツイ対応やな。
年寄りの唯一の楽しみを無残に打ち砕くなんて!
今回のことに対して、きちんとした対応をしたところで、
タネを売った店や、タネを作った会社が大きな損害にはなることはないやろうに。。。
一生懸命に育ててるお袋の気持ちを考えると、何か言ってやりたくなった。
「サカタのタネは今後買うのは止めて、タキイの種にしとき!」
それから、
「そんな店で種買うたらあかんで!なんぼ老舗でも、対応がひどすぎる!」
お袋は
「ありがとう!ちょっとだけスッキリしたわ!」
顔の表情もそんな感じだった。