今日の若い作家達の教養の貧弱さは覆うべからざるものだ。 然し被等が教養の摂取を怠っている訳ではあるまい。 彼等の教養には、 教養を円熟させる何物かが欠けているのである。 例えば一時代前の作家が持っていた古典的趣味という様なものは、 作家の教養を成熟させる或る何物かであった。 以て教養を蓄積し、 以て蓄積された教養の開花を期するという、 言わば教養の根を、 今日の若い作家達は失って了ったのである。
「 若き文学者の教養 」 7 - 一五一 小林秀雄 (人生の鍛錬 P.53)
「 若き文学者の教養 」 7 - 一五一 小林秀雄 (人生の鍛錬 P.53)
藤 原 : ( 前略 )
子どもに漢字が難しいというのは大きな誤解で、 子どもにとってもはた迷惑な話です。 国語語教育では、 配当表に基づいて、学年ごとに習うべき漢字が決められています。 その基準画数で、 画数が多ければ高学年で学ぶことになります。 ところが幼稚園の子供などは、
「 鳩 」 「 鳥 」 「 九 」 の三つの漢字の中で、 一番 「 鳩 」 が覚えやすいというんです。 次が鳥で最後が九。 抽象度が高い漢字ほど難しい。 文科省の考え方とまったく逆で、 子どもにとって画数なんて関係ない、 私も長男が幼い時だけは 「 教育パパ 」 だったので、 「 石井式漢字カード 」 というのを買ってきて練習させました。 すると 「豆腐 」 「 葡萄 」 「 林檎 」 「麒麟」 と、 私の書けない感じを四歳の息子が一度か二度で全て読めるようになりました。
宮城谷 : よくわかりますね。 イメージで覚える、 すっと頭に入る。
藤 原 : そうなんです。 それを見てうちの息子は天才だと狂喜乱舞しましたが、 そのあと、
「 右 」 「 左 」 「 上 」 「 下 」 と いうカードを見せたら、十回見せても覚えられない。 女房の血をひいていることを思い出しました ( 笑 ) 。 ですから小学生にも、 ルビを振ってどんどん漢字を読ませればいい。 それこそ、 宮城谷さんの作品はうってつけです。
宮城谷 : たまに私のところに読者からの手紙がきますが、 小学四年生や五年生のものもあ
ります。
藤 原 : えっ? 小学生ですか。 よく難解な漢字が・・・・・。
「 三国志読本 」 宮城谷昌光 藤原正彦氏との対談より 328頁
子どもに漢字が難しいというのは大きな誤解で、 子どもにとってもはた迷惑な話です。 国語語教育では、 配当表に基づいて、学年ごとに習うべき漢字が決められています。 その基準画数で、 画数が多ければ高学年で学ぶことになります。 ところが幼稚園の子供などは、
「 鳩 」 「 鳥 」 「 九 」 の三つの漢字の中で、 一番 「 鳩 」 が覚えやすいというんです。 次が鳥で最後が九。 抽象度が高い漢字ほど難しい。 文科省の考え方とまったく逆で、 子どもにとって画数なんて関係ない、 私も長男が幼い時だけは 「 教育パパ 」 だったので、 「 石井式漢字カード 」 というのを買ってきて練習させました。 すると 「豆腐 」 「 葡萄 」 「 林檎 」 「麒麟」 と、 私の書けない感じを四歳の息子が一度か二度で全て読めるようになりました。
宮城谷 : よくわかりますね。 イメージで覚える、 すっと頭に入る。
藤 原 : そうなんです。 それを見てうちの息子は天才だと狂喜乱舞しましたが、 そのあと、
「 右 」 「 左 」 「 上 」 「 下 」 と いうカードを見せたら、十回見せても覚えられない。 女房の血をひいていることを思い出しました ( 笑 ) 。 ですから小学生にも、 ルビを振ってどんどん漢字を読ませればいい。 それこそ、 宮城谷さんの作品はうってつけです。
宮城谷 : たまに私のところに読者からの手紙がきますが、 小学四年生や五年生のものもあ
ります。
藤 原 : えっ? 小学生ですか。 よく難解な漢字が・・・・・。
「 三国志読本 」 宮城谷昌光 藤原正彦氏との対談より 328頁
僕の接する学生諸君に、 愛読書は何かと聞いて、 はっきりした答えを得た事がありません。 愛読書を持つという事が大変困難になって来ています。 様々な傾向の本が周囲にあんまり多すぎる。 愛読書を持っていて、 これを溺読するという事は、 なかなか馬鹿にならない事で、 広く浅く読書して得られないものが、 深く狭い読書から得られるというのが、 通則なのであります。
「現代の学生層」 7 - 一四四 小林秀雄 (人生の鍛錬 P.52)
「現代の学生層」 7 - 一四四 小林秀雄 (人生の鍛錬 P.52)