先日の投稿でもふれたのだが、やはり、春は逝ってしまう方が多い季節なのだろうか。
sanspo.com より
「高校卒業の男女飛び降り・・・「目的失った」とメール」
高校を卒業したばかりの男性と女性が、「将来の目的がなくなった」 と、飛び降り自殺した。
いったい、なぜなのだろう。 この、鼻先をくすぐるような春風が、人のこころをうららかにもし、憂鬱にもするのだろうか。
ひとびとが、花だ、団子だとうかれていることに、むなしさをおぼえるのだろうか?
在原業平の短歌で、
月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして
というものがある。
とりわけ難解な歌でさまざまな解釈がなされているが、直訳すると、
今宵、月は出ていないのか?
この春は、昔の春ではないのか?
わたしのこの身だけがなにも変わっていなくて ... ?
となるようだ。
この歌は、かつての恋人と時間をすごした場所にやって来たときに、もうそこにはいない人をなつかしんで詠まれたものなので、死とは直接関係ないが、ふと、この歌を思い出してしまった。
人のこころは、わからない。 本人にさえ。 この世にとどまることにも理由があるが、あえて去ることを選ぶことにも、ふかい理由があるのかもしれない。
しかし、このようなやりきれぬ空虚感をおいて去っていくのがいやだから、私は死にたくない。 生きていたいと思う。 生きていなければならない、と思う。
在原業平がかなしみを乗り越えるかのようにして その思いを力強く歌に託したように、残されたわたしたちも、さまざまな、喪失と再生をくりかえしていかなくてはならないのだろうか。
最後に、在原業平の短歌をもうひとつ。
世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし
東京のほとんどの場所では、今日明日が見納めだろうか。 今年も桜のためにはらはらと乱された心も、いざ散ってしまうとなると、さみしいもの ... 。 明日、思う存分、たのしんできたいと思う。
参考:
「業平の名歌」
BGM:
Patti Smith “Gone Again”
(revised 13 May, 2004) (CD ジャケット画像削除)
sanspo.com より
「高校卒業の男女飛び降り・・・「目的失った」とメール」
高校を卒業したばかりの男性と女性が、「将来の目的がなくなった」 と、飛び降り自殺した。
いったい、なぜなのだろう。 この、鼻先をくすぐるような春風が、人のこころをうららかにもし、憂鬱にもするのだろうか。
ひとびとが、花だ、団子だとうかれていることに、むなしさをおぼえるのだろうか?
在原業平の短歌で、
月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして
というものがある。
とりわけ難解な歌でさまざまな解釈がなされているが、直訳すると、
今宵、月は出ていないのか?
この春は、昔の春ではないのか?
わたしのこの身だけがなにも変わっていなくて ... ?
となるようだ。
この歌は、かつての恋人と時間をすごした場所にやって来たときに、もうそこにはいない人をなつかしんで詠まれたものなので、死とは直接関係ないが、ふと、この歌を思い出してしまった。
人のこころは、わからない。 本人にさえ。 この世にとどまることにも理由があるが、あえて去ることを選ぶことにも、ふかい理由があるのかもしれない。
しかし、このようなやりきれぬ空虚感をおいて去っていくのがいやだから、私は死にたくない。 生きていたいと思う。 生きていなければならない、と思う。
在原業平がかなしみを乗り越えるかのようにして その思いを力強く歌に託したように、残されたわたしたちも、さまざまな、喪失と再生をくりかえしていかなくてはならないのだろうか。
最後に、在原業平の短歌をもうひとつ。
世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし
東京のほとんどの場所では、今日明日が見納めだろうか。 今年も桜のためにはらはらと乱された心も、いざ散ってしまうとなると、さみしいもの ... 。 明日、思う存分、たのしんできたいと思う。
参考:
「業平の名歌」
BGM:
Patti Smith “Gone Again”
(revised 13 May, 2004) (CD ジャケット画像削除)