昨夜、彼女が借りてきた映画の video を観に、彼は、彼女の住む部屋へやって来た。
夜勤ではなかったのが、救いだ。
すでにその映画を観たことのある彼女も、いっしょに画面に観入った。
映画を観終わると、彼はベッドへもぐりこみ、すぐに寝息を立てた。 仕事で疲れているのだろう。
彼が眠ったのを見計らうと、彼女は、となりの部屋で、三時過ぎまでキーボードをカタカタとたたきつづけた。 彼には教えていないが、彼女は blog を開設しているのである。
午前七時。 目覚ましが鳴った。 彼女はもそもそと起き出して、朝食の支度をはじめた。
ここ十年以上、朝食を食べない生活をしている彼女であるが、彼のために、一食分だけ用意するのだ。
ごはん、味噌汁、焼き魚、おひたし ... 。 彼の好きそうな menu.
朝食をかきこむ彼に、彼女は訊いた。 「今日の天気はどう?」
彼は、「今日は雨だね」 とすぐさま答えた。 「鳥が鳴いてない」
彼は、湿度とか、風の吹き方とか、雲の状態とか、動物のうごきなどで、翌日または当日の天気をよく予測するのだ。
いつもは、出かけるときに雨が降っていなければ、傘を持ち歩いたりしない彼女であるが、彼の予測には素直に従い、折りたたみの傘を鞄に入れた。 そして、ふたりは、晴れわたる空のもとに躍り出て、それぞれの仕事場へ向かった。
午後八時。 会社を出るときに空を見上げ、彼女は、ふっと北叟(ほくそ)笑んだ。
大粒の雨が、あたり一面を濡らしていた。
夜勤ではなかったのが、救いだ。
すでにその映画を観たことのある彼女も、いっしょに画面に観入った。
映画を観終わると、彼はベッドへもぐりこみ、すぐに寝息を立てた。 仕事で疲れているのだろう。
彼が眠ったのを見計らうと、彼女は、となりの部屋で、三時過ぎまでキーボードをカタカタとたたきつづけた。 彼には教えていないが、彼女は blog を開設しているのである。
午前七時。 目覚ましが鳴った。 彼女はもそもそと起き出して、朝食の支度をはじめた。
ここ十年以上、朝食を食べない生活をしている彼女であるが、彼のために、一食分だけ用意するのだ。
ごはん、味噌汁、焼き魚、おひたし ... 。 彼の好きそうな menu.
朝食をかきこむ彼に、彼女は訊いた。 「今日の天気はどう?」
彼は、「今日は雨だね」 とすぐさま答えた。 「鳥が鳴いてない」
彼は、湿度とか、風の吹き方とか、雲の状態とか、動物のうごきなどで、翌日または当日の天気をよく予測するのだ。
いつもは、出かけるときに雨が降っていなければ、傘を持ち歩いたりしない彼女であるが、彼の予測には素直に従い、折りたたみの傘を鞄に入れた。 そして、ふたりは、晴れわたる空のもとに躍り出て、それぞれの仕事場へ向かった。
午後八時。 会社を出るときに空を見上げ、彼女は、ふっと北叟(ほくそ)笑んだ。
大粒の雨が、あたり一面を濡らしていた。