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軟派で難破 / 週末の恋人

2004年07月08日 23時13分46秒 | 現実と虚構のあいだに
 前回のエントリー、「軟派なキューピッド」 で、「ナンパ」 話について、書いたのだが。

 友人の何人かで、じぶんの 「ナンパ」 話を暴露していたとき、私の友人 (というか彼) も、その話題に混ざっていた。

 じぶんの好きなひとの、じぶんと出会うまえの 「なんじゃあかんじゃあ」 な話は、興味がある反面、ちょっと聞きたくないような気もする。 (それはお互いさまか ... )

 彼は、私を気遣ってか、こんな話をしていた。



 彼がまだ高校生だったころ ―― 十五年くらいまえの話だが。 まさに、『下妻物語』 のような 「ど田舎」 に住んでいたとかで、おもしろいものがなにもなかったらしい。

 で、退屈を紛らわせるために、近隣に唯一あったという 「ディスコ」 (* 注 「クラブ」 ではない) へ、毎週末のように、みんなで大挙して押しかけていたとか。

 しかし、なにぶんまだ高校生。 じぶんの車など持っているわけがないから、家の車を勝手に乗って行くのだけど、それが、農業用(?)のトラックだったりなんかして、ディスコのまえの道路に、トラックがぶわぁ~っと立ち並ぶことになったとか。 ほかの流行りの車を押しのけて。 (時代的に言うと、「フェアレディ Z」 とか 「ソアラ」 などであろうか ? )

 そして、じつは、ディスコに入るお金がないので、店のなかには入らなかったそうなのである。 店に入らずになにをしていたか、というと、そのディスコのまんまえに たむろして、ディスコに遊びに来ている女の子たちを張っていたのだとか。

 なるほど。 「出待ち」 である。

 で、トラックの窓から、「ヨーヨー、ねえちゃ~ん」 と、かたっぱしから声をかけるのだけど、いかんせん、トラックだし、高校生だからお金もないしで、ナンパの成功率は、散々なものだったとか ... 。

 ナンパに行くときは、お父さんのオーデコロン (* 注 「オー・ドゥ・コローニュ」 ではない) を勝手に借りて、一張羅を着て、いつもはショートホープという国産の煙草を吸っているのに、外国の煙草 (「洋モク」 というらしい) なんか吸っちゃって、なけなしのお金を持って 「ディスコ」 に繰り出す ... それが、土曜日の夜のたのしみだったとか。

 そのくせ、ぜんぜんモテなくて、それでも、「ナンパ」 はやめなくて。

 「ナンパ」 に行く、という行為そのものに、トキメキがあったのだと言う。

 ふぅん。 なるほどねえ。 彼も、オトコノコしていたのだ。

 ところで。

 いまどきの 「ナンパ」 というのは、どうしているのだろう?

 そもそも、「ナンパ」 という行為が、むかしと同じように行われているのだろうか?? ここ数年、若者文化に飛び込むことがなくなってしまったので、ほんとうに、素でわからない。

 いまでは、「出会い系サイト」 とかいうのがあって、かんたんに 「出会い」 を求めることができるのだろうか。 まずは、「メール友だち(メル友?)」 などの、仮想現実での知り合いとなって、それから現実に出会うのだろうか。

 彼の話のような、地道で けなげで 古風な 「ナンパ」 は、もはや廃れている??? だとしたら、彼の話、なんだか、イトオシく思える。

 私の知り合いで、Yahoo! にプロフィールを公開して(?)、いろいろ女の子と会っているとかいう男の子がいるのだが。 いまだに彼女が出来ていない。

 いっしょうけんめいがんばっているのは、わかるのだけど。

 仮想現実での 「ナンパ」 に励むその男の子よりも、現実世界での 「ナンパ」 に励んでいた 彼のほうに、親近感を憶える、そうよ、ワタシは、精神年齢三十六歳。 (でも、ほんとはそれよりずっと下)



 BGM:
 Tom Waits “土曜日の夜 / The Heart of Saturday Night”
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軟派なキューピッド

2004年07月08日 19時51分06秒 | 現実と虚構のあいだに
 小暑をすぎて、暑気に入り、これから暑さが 日を追うごとに増すようだが。

 今日は、七月八日。 「ナンパの日」 とのこと。

 「見知らぬ異性を誘っても良い日」 とのことだが ... 。 ほんとにいいの? 誘っちゃって?



 さて。 ちょっとまえに、友人たちと、なぜか、ナンパの話になったことがあった。 こんなナンパしたとか、されたとか。

 私にも、ナンパ話がいくつかある。 そのときにみなに披露した話をここに記しておこう。



 いまから四年くらいまえ。 まだ私が、お酒をがんがんに飲めて、ぎんぎんに踊ったりしていたころ、友人と連れ立って、青山の某クラブへ行ったことがあった。

 とにかく人が多いのと、それほど好きではない種類の音楽が、ものすごい大音量でかかっていたのと、眠いのとで、早く帰りたいなあ~なんて思っていたのだけど、もう電車がない時間だったため、友人の車に乗せてもらうしか帰る方法はなく、「眠い目をこすりながら」 というわけではないけれど、どうにかこうにか がまんして、その場にとどまっていた。 どうやら友人は 「朝までコース」 のつもりらしかったので、内心、ああ~、はやく朝にならないだろうか、と思っていた。

 そのうち、友人がトイレに行ってしまい、しばらく戻ってこなかったので、すぐ近くにいた男の子に、「いま、何時ですか ? 」 と時間をたずねた。 わたしは、アクセサリーがあまり好きではないので、時計をつけていなかったのだ。

 で、二時うんちゃらですよ~、と、時間を教えてもらったのだが、どうやら、その彼は、私がナンパしたと思ったらしく、その後、いろいろ話しかけてきた。

 名まえなんていうの~? いくつ~? なにやってる人~? なんて感じに。

 私が、てきとうに受け答えしていたところへ、友人が戻ってきた。 私が見知らぬ男の子と話していたので、さいしょはいぶかしがっていたが、なんというのだろう、そのとき、きっと、彼女と彼のあいだには、「恋の火花」 が弾け飛んだのだろうか。 お互い、なにか、感ずるところがあり、すっかり意気投合してしまったのである。

 そして、その男の子と、その友だちと、私と、私の友人、四人で、そのまま談話して過ごしたのだが、その男の子 と 私の友人は、朝が来るころには、携帯電話の番号交換なんか当たり前のように済ませ、次に会う約束までしていた。

 私のほうも、その男の子の友だちと、同じように電話番号の交換をしたのだが ... なにせ、ナンパだしねえ、ということで、その後 実際に会うことはなかった。

 私の友人とその男の子は、というと、しっかりデートをして、しっかり付き合うことになって、しっかり付き合って ... そして、一年後、結婚した。

 結婚するときに、

 「***ちゃん (筆者の名まえ) があのとき、○○くんをナンパしてくれなかったら、この結婚はなかったよね。 ごめんね。 あのとき、○○くんをうばっちゃって。 ***ちゃんは、あたしたちのキューピッドだよ。 ほんとうにありがとう」

 と言われた。

 いやあ、ほんとは、ナンパしたわけじゃないんだけど。 そういうことにしておこうかな。 と思い、そのまま黙っていることにした。

 そうさ、ワタシは、ちょっぴりせつない、恋のキューピッド、ということにしておいてあげよう。 と。

 その後、彼女が子育てに追われてしまい、なかなか会えなくなってしまったけれど、年に二度、家族の写真入りのポストカードが届く。 年賀状と、暑中見舞いとが。

 ああ、そういえば、そろそろ、暑中見舞いが届くころか。

 双子の女の子たち、きっと、また大きくなっただろう ... 。



 BGM:
 The Drifters ‘Cupid’
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