命のカウントダウン2(健康余命913日)

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平均寿命と健康余命と患者さんの人権

2024-07-06 22:33:45 | 医療
平均寿命とは「0歳における平均余命」のことで、2019(令和元)年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳です。一方、健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことをいい、2019(令和元)年の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳となっています
男性の健康寿命をもとに、命のカウントダウンの日数掲載しています。
 
私、1954年5月生まれの70歳男性です。
厚生労働省の「主な年齢の平均余命」によりますと、平成22年で残り15.08年なのだそうです。平成21年だと残り15.10年だったので、1年で0,02年ほぼ1週間ほど短縮しちゃったのですね。
平均余命が短くなったというと、悪い事の様に思えますが、そうとは限らないです。日本人の平均寿命は男女ともに世界有数に長いですが、「延命が過ぎる」とも言われています。「無用な延命」の結果での寿命の延伸はほんと、無駄です。税金の無駄遣いでもあり、人権蹂躙に当たるとも思えます。

私、昭和の終わりに医師免許を得たのですが、その頃の大学病院では、がん末期の患者さんが息を引き取られる際ほぼ全員に延命処置を施していました。がん末期で静かに息を引き取ろうとしている患者さんに、人工呼吸やボスミン(強心剤)の心臓への直接注射をすることが、半ば儀式化していました。

とても印象深かった症例。吉野の田舎の本当に人の良い老夫婦。ご主人が肺癌、手術を受けられたのですが、数年後に再発。通院治療から入院治療へと移行、3か月ほどの入院加療の後、万策尽きて亡くなりました。

当時の事ですので、心停止と同時に主治医と新米医者全員集合!!心肺蘇生を開始、人工呼吸施行の上、カテラン針という長ーい針で心臓に直接ボスミン(強心剤)を主治医が注射、なんだかんだ30分ほど格闘しましたが、筋書き通り亡くなりました。

そのあとで、おばあさんが当時私の上司であった主治医に言った言葉が未だに耳に残っています。

「先生、本当にありがとうございました。信頼する先生に最後にはトドメまで打っていただいて・・・・主人は思い残すことなく旅立って行きました。本当に最後まで・・ありがとうございました。」

「あの、いや、私、トドメを打ったわけではないです。蘇生しようとしたのですよ。」

「分かっております。分かっております。先生には本当に最後までお世話になって、トドメまで・・・」

と言うような会話でした。

時代は移ろい、現在ではがん末期の方の最後に居合わせても医療行為は見合わせることが多いです。苦痛があればそれを除去する努力はしますが、延命には注力しません。

上記のような経緯で平均寿命が短縮したとしたら、それは悪い事ではないでしょ?

問題は、平均寿命と、健康寿命の差すなわち、何らかの介護が必要な年数です。
男性8.73年、女性、12.06年 この年数を短縮するには、健康寿命の延伸、平均寿命の短縮の2つしか選択肢が無いのです。
平均寿命の短縮が目標なんて厚労省では口が裂けても言えませんから、健康寿命の延伸をいろいろなプランで推し進めてはいます。

でも、西欧の医療を見習えというのなら、口から食べられなくなったなら、枯れるような死に向けて苦痛除去の保存的治療に留まるべきなのです。食べられなくなった方に胃婁だの点滴だのしている現在の日本の医療は、20年後には笑い話になっていると思います。20年前には列車、バス、飛行機の中で、自由にタバコが吸えたのだよ という話のようにね!!

私個人としては、西欧の医療に比べて日本の医療が決して後れを取っていると思っていないので・・・西欧の医療を見習う気なんてかけらもないです。ですが、日本の現在の医療は患者さんの人権を軽視し過ぎています。本人が望んでもいないのに延命医療を勝手に開始して、「これをやめたら死んでしまいますけど良いのすか?」などと家族を脅して治療を継続する。これ、本当に人権軽視だと思います。

この点は改善するべきです。その意味だけであれば、欧米の医療を見習ってもいいとは思います。でも、その点以外は殆どの点で、日本の医療の方が、平均レベルでは西欧各国よりも上だと感じています。国民皆保険の保険制度も世界に類を見ない成功例で、世界が真似をしたいと思っています。何でもかんでも、自国を貶める論理を展開するおバカ左翼には辟易です。私は愛国者です。でも、右翼ではないのですけどね。私は、日本国の伝統文化を愛するごく普通の日本国民だと思っています。

日本の医療レベルが高いことを実証したのが、新型インフルエンザ、新型コロナなどの新興感染症に対する死亡率です。いずれも世界最低レベルです。これで、日本の医療は世界最高レベルにあることが証明されたと私は思っています。

端折って言ってしまうと、日本の医療は延命に重きを置きすぎて患者さんの人権を軽視してきてしまったのです。延命の技術は世界一かもしれないけれど、患者さんの人権を軽視した医療なんて不要ですよね。そのあたりの是正が必要なのです。

今後の日本の医療の課題は、患者さんの人権を大切にすること、そしてそのためにも在宅医療を普通に誰でも受けることのできる医療の一分野にまで普及させること
その2つが喫緊の日本の医療のテーマだと強く思っています。

今夜も、平均寿命と健康寿命の話から、患者さんの人権にまで話はぶっ飛んでしまいました。もう少しまとめるよう、次からは努力したいと・・・思ってはおります。



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2 コメント

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Unknown (uparin)
2024-07-07 10:21:17
癌末期の人に人工呼吸器、ボスミン心注
やってました、やってましたー!!
『トドメ』には思わず笑っちゃいました!!

今でも癌末期の患者に高カロリー輸液やってる医者、いますしね、何とかならないかと…。

老衰で食べられなくなった人に胃瘻や点滴をやらずにそのまま看取るのが当たり前の世の中に、早くなって欲しいです。
いつかそうなるでしょうね。
だって確かに30年前の常識(癌末期の延命治療)が今は非常識になってるのですから。
何十年後かは分からないけど。
早くそうならないと。このままでは日本の未来が、医療費が…

毎日毎日、何だかなぁ…と思いながら働いています。
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時代の流れの中で (camper)
2024-07-07 14:34:20
がん末期の方に人工呼吸、ボスミン心注、
万が一CPR(心肺蘇生)が成功してしまったら、本格的に人工呼吸にに乗せて短期間の誰も望まない生命の延長に医療費・人的資源を浪費する。
そんなことが全国的に当たり前の様に行われていたのですね。奈良県だけではなかったのですねぇ。

トドメを刺していただいて には苦笑せざるを得ませんでしたが。おばあさんは本当に真剣に謝意から述べておられました。

当時は嘘八百のムンテラも当たり前でした。これ、次に取り上げたいと思います。

苦痛など不快なものは取り去って、あとは静かに見守る。医療を施さない勇気も必要だなぁと思っています。
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