カトリック情報 Catholics in Japan

スマホからアクセスの方は、画面やや下までスクロールし、「カテゴリ」からコンテンツを読んで下さい。目次として機能します。

副反応経験者に3回目接種を促すことは、今までよりきっと難しい(日経メディカル)

2021-11-13 14:33:31 | 医療
結局、私は3回目どころか初回接種もまだしていませんが。既往症再発の恐れ、親類に心筋梗塞や脳梗塞で亡くなっている人が多いこと、服用している薬が副反応を強める可能性(しかも、そう日経メディカルに載っている)、生活習慣、等々を総合的に勘案して、私にはワクチン接種は向かないと思ったためです。この記事では、ワクチンは本人の希望の下に行われねばならない、ワクチン接種者に副反応のリスクに対する休業手当としてお金を配ってはどうか、と提案しています。私はそんなやり方は嫌いですが、給付金10万円とワクチン接種をリンクしてしまえば、接種率は上がるでしょうね。


副反応経験者に3回目接種を促すことは、今までよりきっと難しい 2021/10/04 安藤 亮=日経メディカル

 いよいよ日本でも、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種(ブースター接種)を行う方向性が固まってきました。2021年9月17日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会では、ワクチンの3回目接種を実施する方針が示され、了承されました(外部リンク:3回目接種実施決定「間隔8カ月以上」 医師らに年内にも)。田村憲久厚生労働大臣は9月21日の記者会見で、年内にも3回目接種を開始できる体制整備の必要性を示しています(外部リンク:3回目接種「年内にも体制整備を」 厚労相)。

 記者として情報を収集している限りは、2回目接種から一定期間経過後にワクチンの有効性が低下する、3回目接種後に中和抗体価が増加する──など、3回目接種の実施を後押しする要素は多いと見ています。しかし、2回目接種で発熱の副反応を経験した一市民としては、3回目接種を多くの人に受けてもらうことは、これまでより格段に難しいのではないかと感じます。その理由を端的に言えば、3回目接種の対象者には、多くの「副反応を経験した人」が含まれるからです。

「発熱して寝込む注射」だと感じてしまう人もいる
 私はワクチンの2回接種を完了し、ごくありふれた副反応を経験しました。1回目接種の後は腕に強い痛みが出ましたが、発熱はなかったため心には余裕があり、2回目接種をためらう気持ちは生じませんでした。ですが2回目の接種後、同日夜に強い寒気を感じました。体温は38℃を超えており、翌日には最高で39.3℃に達しました。アセトアミノフェンを複数回服用し、38℃前後の熱が続いた後、接種3日後に平熱に戻りました。意識は比較的はっきりしていましたが、普段発熱する機会がほとんどない私にとっては、負担の大きい副反応でした。この時感じたことを正直に吐露するならば、「できればもう二度と、副反応を経験したくない」。

 私自身はもともと、ワクチン接種を受けることにためらいはありませんでした。今も接種したことに全く後悔はありませんが、「何のためらいもない」状態には戻れなくなりました。どうしても「接種を受ければ、また発熱して寝込む羽目になる」と思ってしまうのです。接種のメリットが上回ると頭では理解していても、好き好んで「発熱して寝込む注射」を打ちたいなどとは思えません。それでも私は、気が進まないながらも3回目接種を受けるでしょう。しかし、誰もが同じような判断をするでしょうか。


 厚生労働省のウェブサイト(新型コロナワクチンの接種後の健康状況調査)では、ファイザー社および武田/モデルナ社のワクチンについて、医療従事者や自衛隊員への接種後の副反応について調査結果をまとめています。これによると、2回目接種後の発熱(37.5℃以上)の発生率は、ファイザー社製ワクチンでは38.1%、武田/モデルナ社製ワクチンでは78.9%となっています。

 ちなみに、私の知人(20~30歳代、首都圏在住)に話を聞いた限りでは、ほぼ全員が2回目接種後に発熱していました。知人はほとんどが武田/モデルナ社ワクチンを接種しており(ワクチン接種済みの知人は、ほぼ全員が職域か大規模接種会場で接種したため。この世代では、9月以前には自治体での接種予約は取れない状態でした)、ごく限られたサンプルの情報ですが、発熱の発生率が約8割というデータは肌感覚に近い印象です。

 「(経験していないが)発熱が心配」というのと、「実際に経験した発熱を、もう経験したくない」のとでは心持ちが大きく異なります。そして、3回目接種の対象者には、私のように「発熱を経験した人」が多数含まれるはずです。副反応を経験していない人々に行ってきた1~2回目接種と同じやり方では、3回目接種を広げるには不十分だと感じます。ここで必要になると考えられるのが、丁寧な「コミュニケーション」と、積極的な接種を促す「インセンティブ」です。

実体験を伴う「副反応への不安」を否定しない
 哲学者の岸見一郎氏は、日経メディカル Onlineでの連載(岸見一郎の「患者と共に歩む心構え」)で、副反応を恐れる人への説明として「大切なのは、不安を否定しないことです」と指摘しています(関連記事:「ワクチンを打ちたくない」人に何を伝えるか)。3回目接種でこの姿勢の重要性は増していると思われます。

 というのも「副反応への不安」は、副反応経験者の中では、実体験を伴う具体的な恐怖や嫌悪感に姿を変えている可能性があるからです。もし「その程度の副反応は大したことない」と言われたら、かえって接種を受ける気をそがれるかもしれません。自身が抱える不安、経験した痛みを「否定」されたも同然だからです。その人にとって接種するメリットの方が大きいのだと伝える必要があるとしても、その人が経験した副反応の大変さ、それをもう一度経験することへの忌避感を、決して否定しないコミュニケーションの形が求められるのではないでしょうか。

 米国でナースプラクティショナーとして勤務する緒方さやか氏は、自身の連載(緒方さやかの「米国NPの診察日記」)である知人の例を挙げています。ワクチン接種を拒否し続けていたこの知人は、周囲からの説得に折れてようやく接種を受けましたが、ありふれた副反応を経験した後、その後悔と恨みをSNSに投稿して波乱を引き起こしました。緒方氏は「嫌でたまらなかったワクチンを、恐怖に凝り固まりながら接種したからこそ、もともとあった被害者意識が、副反応を経験したことでさらに増幅されてしまったのだろう」と分析しています(関連記事:「無理に説得してワクチン接種」ではダメな理由)。

 緒方氏はこの経験を、「何かを強く勧めて同意させることは、後悔を生む。最終的には、本人自身の判断に委ねなければならないのだ」と振り返っています。この視点も、3回目接種で忘れてはならない点だと感じます。接種率を向上した方がよいと考えるならば、「発熱をもう経験したくない」と思っている人にも、心から納得して接種を受けてもらわなければなりません。その人の不安や経験を否定せず、メリット・デメリットを丁寧に説明し、自身の行動に納得してもらうこと。これらが今後のコミュニケーションにおいて重要性を増していると感じます。

「副反応休業手当」というインセンティブ

 もう一つの観点が、進んでワクチンを接種してもらうためのインセンティブを設けることです。その方法として最もシンプル(捉え方によっては安直)で、手っ取り早く効果が得られそうなのが「お金」です。

 米国では2021年7月、国民へのワクチン接種を促す施策として、ワクチン接種者に100ドルの報奨金を与える制度を設けるよう、バイデン政権が各地方政府に要請しました(外部リンク:米、ワクチン接種で100ドル配布を 政府職員にも要請)。国内でも9月ごろから、ポイントなどによるインセンティブを設ける動きがあります。奈良県では、ワクチン2回接種済みの県民に対して、飲食店などで利用できるクーポン券3000円分を配布する方針を盛り込んだ補正予算案が、県議会に提出されました。兵庫県知事の齋藤元彦氏は、県の公式オンラインショップで利用できる2000円相当分のポイントを、ワクチン接種済みの県民に付与する方針に言及しています。

 こうしたインセンティブは、早期に2回接種を促すことに一定の効果があると期待されます。また、副反応を経験した人に3回目接種を促す上では、「副反応休業手当」としても機能すると感じています。発熱の副反応が出ると、程度の差こそあれ丸一日は日常生活が大きく制限されます。寝込むほどの発熱なら仕事は休まざるを得ず、家事などにも影響します。「発熱して寝込む注射」とも思えるワクチンを接種するなら、失われる1日分の手当を受け取りたいと考えるのは、決して傲慢なことではないと私は思います(個人的には、1日分の手当という意味を持たせるなら数千円では見合わない印象で、米国の施策にある100ドル[約1万1000円]程度の支給があってもよいのではないかと感じます)。

 「ワクチンを打ちたくても打てない人がいるのに、接種できた人にだけ税金を使うのは不公平だ」という批判も当然出るでしょう。この不公平感を完全に解消することは不可能ですが、「接種できた人にお金を出す」のではなく、「副反応で失われる1日分の手当として支給する」のであれば、不公平感は一段階軽減されるのではないかと感じます。「副反応が出なかった人は丸もうけになる」という指摘もあり得ます。ただ、前述のデータに基づいて、接種した国民の半数前後が発熱を経験したと考えると、もし国として3回目も十分な接種率を達成したいのであれば、発熱しなかった人の分くらいは目をつむっても致し方ないのではないでしょうか。

 もちろん、財源の問題もありますし、医療体制の拡充に予算を使うべきだという考え方もあるでしょう。3回目接種でどの程度副反応が発生するのか、データも十分ではありません。ましてや、副反応を経験した人が皆「手当」を必要と考えているはずもありません。しかし、2回目接種で発熱がありふれた副反応であった以上、どんな形であれ何らかのインセンティブがない限り、3回目接種では1~2回目よりも接種率が下がる可能性を否定できないと思います。経験は我々の思考にある種の不可逆的な変化をもたらすからです。

 コロナ禍全体が世界に及ぼした影響と比べれば、一人の人間が発熱して寝込むことなど、些末なことかもしれません。しかしその一人にとって、発熱の副反応を「経験した」ことはやはり不可逆的な変化をもたらします。コミュニケーションやインセンティブの形態は、いくらでも議論の余地があると思います。しかし、「3回目接種の対象者には、発熱の副反応を『経験した』人が多く含まれる」という事実だけは、その議論の中で決して忘れてはならないと強く感じます。

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/202110/572197.html


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。