M.シュナウザー・チェルト君のパパ、「てつんどの独り言」 

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アメリカでの運転(その1)

2014-10-15 | エッセイ

 僕はアメリカには住んだことはない。
 でも長期出張や、個人的なワークショップの参加などの期間を含めると、トータルで一年半位はUSに滞在したことになる。

 最初の出張は、ニューヨーク州の3か月。ニューヨークと聞くと、マンハッタン島のイメージが強いと思う。しかし、ニューヨーク州は広く、北は国境を接してカナダ。カナダの首都、モントリオールはすぐそば。

 僕がウロウロしていたのは、ニューヨーク州ウエストチェスター郡とロックランド郡。そして、隣接するニュージャージー州の田舎だ。


<ホワイトプレーン>

 町の名前で言うとホワイトプレーン、もっと北に行くとポキープシイ、さらに北上するとエンディコットなど。ハドソン川を3マイルのタッパンジー橋を渡ってスプリングバレー、スターリングフォレスト、隣接のニュージャージーで仕事をしていた。アメリカI社とのジョイントシステム開発で、アメリカのエンジニアと共にプロジェクトを進めていた頃だ。

 一番長く継続して滞在したモーテルは、スプリングバレーだった。ここには2か月は滞在したと思う。
インターステート287のすぐそばで、ニューヨークからのアクセスも、ウエストチェスターのオフイスへも、プロジェクトオフイスの置かれたスターリングフォレストにも近かった。


<スターリングフォレスト>

 その頃は若かったから、JFKに着いてすぐレンタカーを借りて、そのまま突っ走ったりした。ヴァンウイック・エクスプレスウエイ(R678)を走って、ホワイトストーン・ブリッジを渡り、ブロンクスでハッチンソン・パークウエイに入り、ホワイトプレーンまで50kmを駆け抜けた。

 今から考えると、12時間位のフライトの直後に慣れない道を、左ハンドル車で高速を走ったのだから感心する。車だって、日本車に比べたらデカさが違う。馬力も違う。しかも片側5車線もある高速を走っていると、グランドを走っているみたいで、どこから車が現れるか分からない。視野が広く要求され、とても怖かった記憶がある。

 日本ではブルーバードを運転していたけれど、6000㏄もあるOHVの車の力強さには圧倒された。そして、全体的にスピードが速く、130㎞位で走っている。時差ボケの頭には酷だったはずだ。でも、そんなことが出来る若さだった。

 スプリングバレーのモーテルから、スターリングフォレストのオフイスまで片道30kmを通った。冬は雪で峠を越えるのに苦労した。オフイスは山の中にあるのだ。

 僕のニューヨーク州での主なドライブはこんな感じだ。

 JFK→ホワイトプレーン:50Km JFK→スターリングフォレスト:90Km

 そのころのI社はコンピューター・メーカーで、世界中で活動をしていた。今では、業種もソフトウエアとコンサルタントに集約されている。結果として、僕が走ったハドソン川の近くの事業所はみんな売却されてしまって、今や存在しない。
キングストン、ポキープシイ、イーストフィッシュキルなど、I社の中心的存在だったサイトたちはもうない。

 最初はハーツのレンタカーだったから、結構、料金が高かった。勧められて、月極め契約での地元のレンタカーに変えた。そこで借り出したのが、クライスラーの小型のスポーツタイプの車。名前はもう覚えていない。かなりじゃじゃ馬で、でかいエンジンにバン広のタイヤを履いた車だった。

 この車で仲間と一緒に、北のエンディコットに行ったドライブは忘れられない。インターステートハイウエイではなくて、ルート17を走った。スプリングバレーから、片道270kmくらいのドライブだった。この17号線が曲者だった。ガスステーションが道には隣接してなくて、一度Exitを下りて、近くの村まで下りないとガスも入れられない山の中の道だった。


<ルート17>

 中間点くらいまで走っただろうか、車の水温計がどんどん上昇し始めた。普通の高速道路だったら、ちょっと沿線のガスステーションに入ればいいのだが、17号ではそうはいかない。どの出口を出れば、ガスステーションがあるか分からない。オーバーヒートしては困るので、えいやっと、17号を下りて、ガスを探した。

 あった。良かった。早速状況を説明して点検してもらった。すると、オジサンは、水が入っていないよと言って、ラジエーターに水を補給してくれた。その車を借り出して、まだ一週間にもならない時だった。十分メインテナンスされていない車を借りたのだ。怒ってみたって仕方がない。水を補給されて、車は順調に走り始めた。本当の冷や汗ものだった。安かろう、危険だろうだった。

 帰りは、もっと怖かった。ニューヨーク州の北部に雪が降り始めた。僕の車は夏タイヤ。雪から逃げながら南下して、やっと雪から逃げきった時は、本当に冷や汗が出た、冬の迫る11月だった。