M.シュナウザー・チェルト君のパパ、「てつんどの独り言」 

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共済病院12月13日 午後3時

2015-03-25 | エッセイ

 同じ病院でも診療科によって雰囲気が違う。循環器内科と消化器内科とは明らかに違うようだ。僕は循環器内科でカテーテルアブレーション手術の為に3度ほどこの病院に入院したから、循環器内科には慣れている。心臓だから、どちらかというと、答えは早い。治るものも、治らないものも、早くくたばるものも、答えは明快だ。

 一方、消化器内科は、病気の進行がジワリとやってくる。だからなんだか、暗い雰囲気だ。大部屋のベッドごとのカーテンだって、全て閉ざされている。僕は消化器科は初めてだ。でも、僕の場合はラッキーだった。僕の担当が循環器の経験のある看護師さんだったから、循環器の常識が通じる。

 入院するには、いろいろやることがあった。

 一番は何と言っても、ガラケーをスマートフォンに変えることだった。もうせん、入院した時、ネットが見られなくて、つらかった思い出があるからだ。グーグルも使えないし、オンラインでたくさんの新聞を読むこともできない。



 <iPhone6>

 大枚をはたいて、iphone6を購入。使えるようになる独学・自習をやるのがたいへんだった。今は、ほとんど使える。

 なぜ、消化器内科に入院することになったのかというと、横浜市健康診断の大腸がん検診で、血潜便検査結果がプラスに出たからだ。予想して無なかったから、ちょっと驚いた。過去に大腸のポリープは確認されていたが、要経過観察といわれて5年が経っていた。ちょっと遅かったかと思った。

 普通の人の大腸のポリープ摘出は、日帰りで簡単。しかし、僕の場合はそうはいかない。それは僕が慢性心不全、肥大型心筋症で、心房細動の発作を持っているからだ。

 心房細動が起きると24時間以内に心房内に血栓が出来る。その血栓が脳とか心臓に飛び込めば、脳こうそくなどを引き起こす厄介なもの。それを避けるために、血栓が出来ないように、抗凝血剤のワルファリンを常用している。これが、問題だった。

 手術の時に出血すると、血は停まらない。だから、大腸のポリープもそのまま摘出すると、大腸からの出血が止まらなくなるわけだ。大腸のポリープを摘出するには、このワルファリン効果を失くしておかなくてはならない。ただ、薬を止めればいいというわけにはいかない。心房細動が起きたら、即、即効性のある抗凝血剤、ヘパリン注射を打てる環境にいなくてはならないのだ。つまり病院に入院が必要。

 大腸の内視鏡で、まずポリープがあるかどうかを目視で観察する。そして、ポリープが摘出しなくてもいいような小さなものだったら、要観察になる。10月の内視鏡検査で、沢山のポリープが出来ているのが発見された。しかし、病理検査は出来なかった。サンプルをカテーテルの先端で、ちぎって持って帰ることが出来なかったからだ。他に手がないから本番で摘出が必要だと判断された。入院して、薬を抜くことから始めなくてはならなかったのだ。

 ワルファリンを抜くための入院だから、特にやることはない。時間はいっぱいある。今もディルームで、キーボードをたたいている。誰もいない。

 大腸のポリープには、良性のものから癌まで、いろいろあるらしい。事前の病理検査はできなかったから、全て本番で判断してもらって、必要に応じて摘出となる。

 癌の危険があるかは、形態と大きさによって判断されるようだ。僕の一番大きな物は3cmもあった。その他にも5mm以上の多数のポリープあるということで、K先生は、その大きなポリープと、比較的大きな4つを選び摘出することを決断された。僕もライブ・モニターでその様子を見ながらの摘出手術だった。約1時間半はかかった。

 癌か、癌に進化する可能性のあるものか、良性のものかは、摘出したポリープの病理検査で最終の判断がされる。それにはけっこう日数がかかるから、出血の状態や、ワルファリンが効き始めるまでの間、とにかく10日間入院したのだ。



<病院からの眺め>

 入院中には時間もあるのだから、ついでに2~3年来、苦しめられていた臀部のオデキの摘出も皮膚科でやってもらうことにした。美女の先生にお尻を出して、大きく根を張ったオデキを切開して、その根っこの組織を手術ハサミで、チョキチョキと切ってもらって、7針の縫合をした。これも予想を超えて、1時間以上かかった。

このオデキは、1年に一回ぐらいの頻度で、腫れあがり、「切開できれば簡単になおるのだけど…」と、かかりつけの皮膚科の先生に言われていたものだった。やっと、これで根治と、嬉しくなった。

 病院でやれることは、ディルームにメモ専用のワープロ、ポメラを持ち込んでエッセイの原稿を書くことが唯一。なぜか原則禁止のパソコンを持ち込んでいる人もいたが、僕は小さなキーボードで、文章を書いていく。



<ポメラ>

 ポリープの病理検査の結果が出たのは、正月が開けてからだった。

 幸い大腸のポリープは、癌ではなかった。しかし、腫瘍の一種、腺腫に区分けされるものがあった。前がん状態といわれるもので、大きいものなら30%は癌化するというデータが出ているようだ。僕のは、前がん状態だったのかもしれない。どちらにしても、全部取ったから大丈夫と先生。

 結果が出るまでの気がかりな年越しとなった。

 癌だったら他の臓器への転移だとか、厳しい心配もおきただろうけれど、まあ、癌ではなくて、結果として良かった。一年後の定期観察が必要だと言われた。来年も検査の前のおいしくない液体を2リットルも飲むのかとおもうと、今から気が重い。

 それだけ、年齢と共に体のいろんなところにガタがきている。優しく使ってやらなくては…と思った越年だった。




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