M.シュナウザー・チェルト君のパパ、「てつんどの独り言」 

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53年も続く読書会

2016-02-14 | エッセイ

 大学の先輩たちが中心になって、1963年から続けられている読書会に、本当に久しぶり、おそらく40年ぶりくらいの久しぶりに参加してみた。



 <神島:国土地理院による>

 動機は、棺桶リストの一項目、「くたばるまでに、大学の先輩たちに会う」に完了の ○ マークをつけたかったからだ。僕も含めて、もうみんな75近くになって、二度と会えない確率も高くなってきたから、一度は会っておきたかった。

 この読書会は、大学時代、学部を問わず、本好きが集まって、何でもかんでも自由に、自分たちで本を選び、読んで、それをもとに自分の読後感や解釈を交換するための会だった。もちろん、その会の流れは大体、飲み会に続いた。青春のスナップショットでもある。



 <読書会案内>

 案内を見ていると、大体年に4回ぐらい開いているようだ。今回で184回目とか聞いた。昔、僕もレポーターになって、イタリアの作家、モラヴィアの「軽蔑」なんかを読んだ覚えがある。しかし、その後は、ご無沙汰している。

 今回は、三島由紀夫の「潮騒」が俎上にあがった。いつも横目で見ていた難しい本たちとは違って、これなら僕でも読めると思った。年取ってからもう一度読んでみるのはいいだろうと、読んでみた。そして同時に、長く訪れていない大学も見て見たかった。



 <潮騒>

 「潮騒」の読書会には、16人もの人が集まった。野郎は6人、あとは見知らぬ女性陣。

 レポーターが決まっていて、一応その会を仕切ることになっている。今回は、僕の知らない女性の方だった。この小説と三島について、参加者が自分の意見を自由に言う。だから、いろんな意見が、脈絡もなく飛び出してくる。

 例えば、

 ・倫理的な作品だ、三島に美学の表れだ
 ・三島は嫌いだが、この作品は好きだ
 ・作風が他の三島の作品とは全く違う
 ・三島の代表作だと言える
 ・プラトニックラブって、なんか汚らしい
 ・ギリシャの種本「ダフニスとクロエ」を読む機会になった
 ・神島は、登場人物が活躍できる、素晴らしい舞台だ
 ・登場人物の構成がよく考えられている
 ・三島の作品は全部を読んだが、これは一番いい作品だ
 ・これだけ島のことを描くには、住みこんだのではないか
 ・文章が簡潔で読みやすい
 ・朗読に適した作品だ
 ・本を1ページずつバラバラにして、付箋とマークをつけながら読んだ
 ・自分の幼い日々、青春を思い出した
 ・潮騒以外の三島の作品だったら、参加しなかっただろう

 などなど。

 またこの読書会はみんなにとって、こんな場所に見えた。

 ・今の自分をみんなに伝えたい
 ・共通の思い出を語りたい
 ・普段は聞けない他の人の話を聞く機会
 ・53年もの継続の素晴らしさの証明とその体感、誇らしさ
 ・母校を訪れるいい機会
 ・こんな人がいるんだと、いまさら新発見をする
 ・他の人との接点を持てる場
 ・懐かしい仲間に会う機会
 ・友達と、波長の同期を感じることのできる機会
 ・上京の機会
 ・同窓会、いや、飲み会



 <大学から見た外堀>

 体調が許せば、二次会の飲み会にも参加したかったが、残念。一人、皆の輪から離れて、市ヶ谷駅まで歩き、電車で横浜まで戻ってきた。

 一日に6,000歩も歩いたことになる。疲れたけれど、この世界を楽しんだ自分がいるのを感じていた。

 次はいつになるかはわからない。もう、これが最後の参加のような気もする。

 懐かしい先輩6人ほどに会えたが、会っておきたかったYさんは欠席だった。さてどうしたものか。○は、棺桶リストには付いたことにしよう。


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