とあるドラマで「月は人を狂わせる」という台詞がありました。
満月は人を狂わせる…だったと思います。
その瞬間、満月には恋の熱情が宿っていて、
蔵馬が飛影のことを
想って気持ちを滾らせた瞬間に月が形を変えて満月になる…
そんなイメージがわいてきました。
なので、月に3回くらい、満月になる日があって、魔界の空でも突然燃えるような
満月が見える日があって…。
飛影も同じ瞬間に蔵馬への気持ちを滾らせて…
飛影に会いたくて
魔界に降り立った蔵馬。
その乾いた土の中に、しなやかな黒髪がふわりと靡いた。
はっと、蔵馬は後ろを見た…知っている、この温かい腕。
飛影。
「待って…た」
ずっと、会いたくてその心が膨らんで。
だから、蔵馬のこの気配を感じて飛んだ。走ったのでは無く…跳んだ。跳んで飛んだ。
会えば…なぜこんなに会いたいのかと思い、会わなければそばにいないと足りないと想う。
想えば触れたくなる。
少し高い声が恋しくなる…何故だろう。
時々想う…なぜ、恋はこんなに恋しさを募らせる。
「どうして…」
会いたいと思う瞬間が、同じなの。
腕を、飛影の背に回し蔵馬は呟いた。くすぐったさと…弾ける幸せ。
満ちていく、胸の奥からじわりと広がる甘さに…素直になることが出来なかった自分より、
今は心地よく浸っていける。
飛影…小さく蔵馬が囁いた。
満月が揺れた。赤く、光る月。そして薄らと白の光が、月を囲うようにたゆとっていた。
飛影も、あいたいと言う気持ちが強くなって、それも
段々強く…って言う感じで募っていく気がします。
蔵馬は、ふと思い出してその一瞬で ガーッと、波が強くなるように大きくなる感じ。
疲れて思い出さないときもあるし、
飛影元気かな…くらいのときもある。でもいきなり凄く空いたくなっていく、そんな日がくる。
違うけどお互い引き合っている引力。
そんな感じです。
強く抱きしめあった二人は、指を重ねて「この感じ、やっぱり傍に温もりが無いとだめだ」って
感じ会うのです。
いつか…人間界を離れる日が来たら迎えに来て…という願いを込めて、強請る気持ちを込めて
飛影の背に縋る蔵馬。
迎えに…行く…わかってると、黙って蔵馬の首筋にキスをする飛影。
そんな感じの夜。

