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蔵馬ウケネタ、日常のことなど思った事を綴る。

真冬を、そばで✿観覧車✿

2019年12月25日 00時35分49秒 | 蔵馬受けblog内小説

そう言えば

クリスマス近いので、
ちょっとでかけてきました。

そのときの写真で、飛蔵プチ小説を書いてみました。
ただし
捏造部分がありますので、広い心で読んでくださると嬉しいです。

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冷たい風が、その人の黒髪を靡かせた。
はしゃいだ人々が行き交う街の喧騒から少し離れて、
ふたりは観覧車を見ていた。薄い赤のマフラーの端に、グレーの龍の柄が描かれていた。
それは小さく、目に飛び込んでも一つの風景のように、マフラーに溶け込んでいた。
風は冷たい筈なのに、蔵馬の頬は僅かに紅潮していた。
この小さな街のイルミネーションを、見たいと言ったその睦言を覚えていた
飛影が「行くぞ」と言ったのは数時間前のこと。
揉まれる、と言ってもおかしくない人混みを、
飛影は好きではない筈なのに、何も言わなかった。ただ、周りと
肩がぶつかりそうな蔵馬を庇うようにそばに立っていた。
観覧車は、この街で一番大きな公園の入り口にあった。
光を描くように、観覧車は色を変えていた。
観覧車の真ん中の時計が、数分ずつ区切るたびに、色を変えていく…重なり合う、白や青。
「飛影」
ふと、立ち止まった蔵馬の声が、小さかった。
「覚えてる?」
そっと、白い指が観覧車の時計を指した。
夕方より少し遅い時刻を指した、観覧車の時計。夜と言うにはまだ早く、夕方の橙の空よりは、
紺を帯びた空が観覧車を包んでいた。
「今更、だけど」
あの時間…。
「何だ」
「あなたがあのとき、俺を刺した時間と、同じ
苦しそうではなく、ただ淡々と…そうともとれる、蔵馬の静かな声が聞こえた。
はあ、と白い息が浮かんだ。
「…何が、言いたい」
不機嫌ではなく…不思議なほど穏やかに飛影は訊いた。
「あのとき、あなたが裏切り者って
言ったのが…」
まだ覚えてる。
振り向いて、蔵馬は小さく笑った。黒髪が、紺を帯びた空に溶けそうだ。
「それが、あのとき本当は嬉しかった」
「蔵馬…?」
蔵馬の指が、飛影の指に重なった。
「それほどあなたに信用されていたなんて」
初めて会ったとき、誰も信じていない瞳をしていたと、蔵馬は続けた。
「良かった…今こうやって、あなたと来られて」
人間を殺らなくて、良かった。
「蔵馬」
「また、来年も、そばで、連れてきてほしい」


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たまにはシリアステイストで、昨日アップした小説とは違う感じの話を
作ってみてもいいなと思ったのです。

飛影にも、蔵馬にも、葛藤と言うものは存在していて、どこがで、
ふたりで話をする場面あっても良いなと思うのです。




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