8/26 口だけ上等。 / テマヒマ展



最終日に間に合いました。21_21 Design Sightで開催中の「テマヒマ展」。

東北地方の食と住、それに付随した生活の品や工芸品などの「ものづくり」「手しごと」を、デザインの視点から取り上げたユニークな企画展は、大好きな深澤さんがディレクションを務めるだけあって、多くの人で賑わっていました。

館内は、大きく手しごとを動画で見せる映像スペースと、実際の手仕事の品々を展示するスペースからなっていて、どちらも興味津々。
きりたんぽや笹まき、油麩など、実際の食「品」を加工する様や、りんご剪定鋏やりんご箱、染物や織物、竹細工などの仕事道具や工芸品が出来る工程が繰り返し映し出されてました。作業する人たちは、あくまで淡々と毎日その作業を繰り返す。仕事だからといえば、そこまでなのかもしれないけど、その様子は実にリズミカルで手際よく、コツコツと繰り返され、「手」から「物」が生まれる魔法を目の前に、いつまで見ていても飽きないほどでした。
手仕事の品々を展示するスペースは圧巻。広いフロアに、東北の食と道具がずらりと展示され、訪れた人はみなワクワクしているように見えました。庄内麩や油麩、干し柿、棒だら、いわしの焼き干し、干し餅に染み豆腐、大根干しにいぶりがっこ。飴や煎餅などの駄菓子がずらりと並んでたかと思えば、横には食べなれた「三五八漬け」の漬ける工程が展示されていて、食べなれたものをこういう形で目にすることがとても新鮮でした。
食だけではなく、「手仕事」ももちろん。臼や杵、天童木工の椅子、焼き物や曲げわっぱに箒、竹や弦の籠やお弁当箱、南部鉄瓶や山形鋳物もずらりと展示されていて、1フロアにこれだけ東北の品々が勢ぞろいすることなんて、後にも先にもないんじゃないかと思いました。


寒さの厳しい土地では、黙々と作業をこなす「手しごと」の文化が育まれやすい。温暖な土地でだってものづくりや手しごとはもちろんあるけれど、特に東北ではそれが強く、そういったものを自然なもの、当たり前の日常として育ってきた者としては、幸せな環境で育ったんだと改めて感じさせられました。
「手しごと」には、その工程が「無駄」とまではいかなくても、もっとオートメーション化出来る部分があるのに…という点を合理化すれば、人件費や労務費を削減できてコストを抑えて経営がもっと…なんていうところがきっとたくさんあるのでしょう。
でも、そういったことを敢えてしない。
和菓子職人が完成した作品を通して「手仕事の成果を伝えたい」と言ったように、合理化に走らなくても伝えたい文化、手間暇かける「プロセスの重要性」が何よりも大切なのでしょう。
もしかすると、うちのばあちゃんがそうだったように、手間隙かけることについて、人々はあまり深く考えていないのかもしれません。先代から受け継がれてきた文化を次世代に紡ぐことは、自分たちが生きる上では当然のことで、毎日繰り返し作業することは、つまり生きることそのものなのだから、とか。


だから、東北の人は粘り強くてかっこよく見えるのかもしれません。



21_21 DESIGN SIGHT 企画展
テマヒマ展〈東北の食と住〉
TEMA HIMA : the Art of Living in Tohoku
2012.4.27-8.26





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