私的音楽雑記帳
FOLK ETYMOLOGY
5/30 Niklas Winter & Jukka Eskola @ PIT INN
バンド編成でのライヴって、何だかマラソンみたいだなぁ、と思いました。編成はエレクトリック・ギターにベース、ドラム、ピアノ。それぞれベースとして支える部分はしっかり持っていて、更に自分のソロの部分では、まるでマラソン競技の中でのドラマ。たとえば抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げて観客を楽しませてくれるのです。長いライヴという競技の中で変幻自在にポジションを変える事の出来るパート、基本のバンドスタイルがそれなんだと思ったのです。今日の二クラスとユッカのスペシャルセッションを見て。
二クラスはギタリスト。ライヴという長距離走の中でジワジワと走って場を盛り上げたり、時には抑揚のあるソロで他のメンバーと熱いデッドヒートを繰り広げたりもするのです。サポートするメンバーも彼のポジションと同じでした。
で、ユッカはというと。・・・瞬間トップの短距離走者。トランペット(フリューゲルホルン)という楽器の特性もあるのですが、ライヴというマラソン競技の中で、時々スパートをかけたりして場を熱く盛り上げるものの、競技全体のドラマ性を支えられる持久力は持ちえていないので、ソロが終わると袖に引っ込んでしまうのです。彼の曲も三曲(KULO,1974!,Buttercupでしたか)ほど演ってくれたのですが、他のメンバーのソロがふんだんで、自分のパートが終わると控えめなほどあっさり袖に・・・。
いつもの純粋なクインテットであったのなら、隣にサックス(のティモ・ラッシー)が立ち、がっちり二人でフロントを決めてくれるので、瞬間トップ的な面でさえ互いに入れ替わりの妙を見せてくれ、演出としてとても華やかに見えるのです。さらにサポートが気心の知れたメンバーであったのなら、メンバーそれぞれのソロでさえも余裕を持って聴き入ることもできたのでしょう。
だから今回のイヴェントでは、明らかに二クラス(のバンドではないけど)のバンドにゲストとして招待されてしまったような雰囲気が見て取れたのでした。ソロや自分のパートはがっちりしびれるくらいに決めてくれるのに、その場面が終わると、たちまち所在ない感じになって、バンドの雰囲気に丸呑みにされてしまうようでした。初日だったということもあるのでしょうが・・・。
というライヴの印象はこのへんにしておいて、自身のクインテットでは二年ぶり(FCQだと一年ちょっとぶり)のユッカのパフォーマンス。とてもとても素晴らしかったのです!!
彼のプレイは一音一音の完成度がとても高く、実際、吐く一息まで細心の注意を払って発しているように感じるのです。その一音が一つのつながったフレーズになると、その圧倒的完成度の高さに観客全てが一気に引き込まれてしまうのです。息継ぎはいつするんだ?と思うほどに長いフレーズも一気に吹ききってしまい、そのあまりの軽やかな妙に、聴く側は呆気にとられてしまうほど。ものすごい吸引力なのに、見事なまでの鮮やかな引き際。ものすごい事をやってのけるのに、クールにこなせる。決して無理してない自然体の印象を聴き手に与えてくれる彼なのです。でも、だからこそ、彼はどんな場面においても底知れない自分の力を最大限に出し切ることができるのかもしれません。
・・・と、あくまでこれは推測。実際はものすごく努力しているのかもしれません。だとすれば、それを表面に出さないって、シャイなフィンランド人らしくって、すごいと思いません?
という本日のユッカと是非話がしたくて、ライヴ後少しねばってみました。インパートメントさんにご迷惑をおかけしてしまったのですが・・・。
目の前に現れたユッカに今日の感想と質問を少し。
トランペットとフリューゲルホルン、今はどっちが好き?と。
やっぱりフリューゲルホルンでした。ちょっと疲れるけど、音色が好きなんだと。君はどう思う?と返されたので、私もフリューゲルホルンの方が好きだと答えてみました。柔らかいのですよね、音色が。彼の柔らかなイメージにもどちらかというと合うような気がします。手も大きいので、トランペットよりも安定感がありそうですし。そういえば、今回のライヴでは、自分の曲は全てフリューゲルホルン、Niklasの曲はトランペットというふうに使い分けていました。アルバムではトランペットで演っていた曲も、フリューゲルホルンだと一味、というか曲自体の鋭さも和らぐような印象でした。Niklasの曲では、逆に自分をアピールしようと試みたのかもしれませんね。
というJukka。来月からアルバムのレコーディングもスタートするようです。FCQの再来日公演も、もしかすると年末(彼は early next yearと言ってましたが、maybe だそうです)に実現するかも?
二年前は英語が話せないから・・・とびびって何も聞けず、目の前にいるのにさっさと素通りしてしまったのですが・・・、図々しくなったのか何なのか普通に話せるようになって、調子に乗ってしまいました。結果、返ってきた答えの多さとそのスピードに、やはり完全には内容を把握できず。最後は愛想笑いでその場を立ち去ってしまいました。
でも、明日も行きますよー
Thanks: T.Sunaga 昨年の暴挙を謝罪できてよかったです。FCQ来日期待してます!
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