10/15 味覚を考える。

 フードの学校で同級生だったIさんのNPOが企画・運営する、葛飾区の某小学校で行われた味覚の授業のお手伝いをしてきました。

 栄養士歴十うん年の私。とはいえ、病院や福祉施設の経験ばかりで、子どもの栄養管理経験はゼロだったので、これはいい機会とばかりに声をかけられるままに手伝いに参上したわけです。

 それは、味について考える授業。

 I先生が子どもたちに尋ねる。どんな味がある?
 甘い、しょっぱい、酸っぱい、苦い、辛い。
 その味がする料理について尋ねると・・・
 甘いは、いちご。しょっぱいは、「塩!!」教室の裏にある作業室で
 その答えを聞いたときには、大笑いしてしまいました。

 日本には、それらの味のほかに、「旨味」という味の感覚があります。
 その答えを引き出そうと、Iさんが他には??と尋ねると、
 「あまじょっぱい!」という答え。
 さらにその「あまじょっぱい」味の料理について尋ねると、
 「ハッピーターン!!」という答え。

 なるほど~と思いつつ、子どもの感覚って、
 私たち大人が思う常識というか、感覚からすると、ものすごく
 ストレートで、かなり面白い。

 結局、「旨味」という答えは出なかったわけですが、
 答えを示しつつ、授業は「味」について、どんどん真剣に考えていくわけです。

 それらの味がついた「水」を配り、子どもたちは、コップに入った水を
 真剣に飲み比べ、どんな味がするかを考えます。
 水を配りつつ、様子を見てみると、首をかしげていたり、
 「おえ~っ」という顔をしながら水と格闘していたり、
 配った先から机にこぼしてしまい、ぞうきんを取りに行く子がいたり・・・。
 一人として同じ子はいなくて、みんなそれぞれいろんなことを考えて
 課題に取り組んでいる様子が見てとれたのです。

 私は、それまで子どもと向き合った経験がなかったので、いまどきの
 特に今回のような小学校高学年の子どもたちは、きっと生意気で、
 ファストフードやインスタント食品も結構食べなれていて、
 味の感覚だって、どこまでしっかり取り組めるか微妙だ・・・
 なんて思っていたのです。

 でも、実際にIさんの授業風景を見ながら、そのお手伝いを通して
 見た子どもたちは、目の前に出された数種類の水や、数種類のぶどうを
 目をキラキラ輝かせて、真剣に味わって、自分の言葉でそれを
 表現しようとしていました。

 思い込みってよくないなぁ・・・とつくづく思いました。

 食べることは、生きること。

 味わうこと、味を感じることは、生きることを考えること。

 旨味を知り、いろんな味のぶどうがあることを知った子どもたちは、
 これからもっともっといろんなことを学んで、いろんなことを
 考えていくんだろうなぁ・・・と思ったのでした。

 いい機会を与えていただき、Iさん、どうもありがとうございました。


Thanks:ルーラル・ガストロノミー
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