Jamiroquai@日本武道館

 ほぼ2年振り。JKのパフォーマンスへの期待もさることながら、九段下から武道館までの道のりを歩く事自体、ワクワクしてしまう。普段大きいハコで見ることなんてほとんどないのでなおさら。

 アリーナ席A2ブロック。今までで恐らく一番前よりの席だったと思う。見渡せば、明らかに私達よりも上(わずかにだけど)のかつてのヤング達が、これから始まるステージを待ちきれない!といいった具合。

 少し押して始まったステージ。現れたJKは黒ジャージに黒パンツ、そして前回のそれよりも少し軽そうに見える何本も黒いサーベルが刺さっているように見えるかぶりもの(ぱっと見ると兜に見えなくも無い)といった格好で登場。見るからにご機嫌な様子だ。

 前半は、新作『dynamite』からではなく、往年の人気ナンバーが続く。2曲目「space cowboy」で思わず泣きそうになってしまった(苦笑)。後半の新作の曲への流れがとても自然でいい感じだった。オリジナル・メンバーのトビー・スミスが脱退したことで、ついに残るはJKのみ(もともとフロントマンで彼とサポートという印象が強かったので何なんだけど)となってしまったJamiroquai。けれど、JKのテンションは、今まで見たどのステージよりも高く、パフォーマンスも相変わらずだった。得意のダンスやステージ中央に設置されたジャンプ台を使って跳ね回り、フロアは大盛り上がり。かぶりものは相変わらず重そうだったけど。

 何年経っても、いくつになっても、やっぱり彼のステージは楽しい。彼の気分の波に振り回された公演も過去にはあったけど、今回のようなハイ・テンションのステージは、特に曲を聴かせるだけではなくて、自分も十分に楽しみつつ、フロアを大いに沸かせる。それは彼のアーティストとしてのパフォーマンス技術が成せる技なのだ。

 シャイで真面目なくせに、気分やで不器用。ビジュアルやパフォーマンスばかりが目立ってしまい、実力もルーツもスピリットも十分で主張したいことはストレート。それゆえに、そういった点では近年専門誌で取り上げられることがないJamiroquaiの音楽性。フロアで踊り狂う10年前のヤング達は、それでも彼のステージを手放しで楽しんでいた。そんな私も、今まで考えたことがなかったけど、今更ながらJKのルーツを辿ると80年代アシッド・ジャズを戻り、70年代ジャズ・ファンクを抜けて、マイルスに辿りつく。今、自分が興味を持っているものも、10年前から好きだったものも、結局のところ、出所は同じだということ。

 ライヴがラストに近づき、『A funk odyssey』からの1曲をパーカッションをふんだんに用い、キーボードのソロが熱く繰り広げられている時、そのコード進行が、(無理やりくっつけてるみたいだけど)Jukka Eskolaの「1974」を思わせた。70年代ジャズ・ファンク色が強いテッポ・マキネンの音楽的嗜好が前面に出たこの曲とJamiroquaiのステージがシンクロした時、今になって枝分かれしていても、もともとのルーツはただ一つなのだ、と思い、何だか一人とても楽しくなってしまった。

 改めて思う。別々の耳をもってジャンルや音楽を聴く必要などはじめから必要ないのかもしれない。ツインドラムにパーカッション、黒いビートの迫力に圧倒されながらも、グルーヴィーでポップ、ディスコ・ファンクな曲でクルクル回り、まるで子供のように自由奔放にステージを飛び回るJKを見てそう感じた。

 “今頃何いってんだよ。でも、まぁ、楽しんでくれたらOKだよ”

 そんな声が聞こえてきそうだ。
 
 いくつになってもこのままのJKでいてほしいと思った。
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