2/16  空は暁、黄昏れ展 @彫刻の森美術館

2/16  空は暁、黄昏れ展 @彫刻の森美術館


井浦新という俳優さんに興味を持ったのは、数年前に放映されたNHKの連続ドラマ。片手を失った犯人役を演じた彼の姿は、生理的に受け付けない「異様なもの」として、強く印象に残りました。

この生理的に受け付けない「異様な何か」を感じつつも、毎週見ているうちに不思議な魅力に引き込まれてしまった私。
モデルさんでもあり、クリエイティブディレクターとして、ものづくりもしているというのは、もっとずっと後になってから知りました。

この写真活動もまたそう。
21歳からカメラを手にして、旅を通じて被写体となる様々なものを撮りためていたそうです。

今の日本を形作る、歴史の一つとしての城、寺院、お墓、仏像、古美術、そして自然。インスピレーションを受けるための旅とはいえ、そういうものに惹かれてその地を訪れ、写真を撮るということは、彼にとって大きなライフワークの一つだったのでしょう。

この写真展を見ることで、どんなワクワクを感じることが出来るのか。
美術館のゲートを抜け、真っ先にギャラリーに飛び込みました。

会場に入って目に飛び込んできたのは、枝を編んで作られたゲート。その向こうにたくさんの写真が展示されています。階段を降りてみようと足元を見ると、彼が撮影の際に踏みしめたそれとおなじ土や葉がプリントされていて、その先の会場に進む足取りもなんだかワクワクさせられます。
1階会場に敷き詰められたタイルには、黄昏に赤く染まる空と雲と富士山。その場にしゃがみ込んで見入ってしまうほど、ただの写真展にとどまらないユニークな仕掛け。その場から壁を見上げると、そこには大小さまざまなサイズで写真が飾られている。自然や祭事の場面など、静と動が織り交ぜられた展示に思わず背伸びして写真を見てしまいます。
階段を上って、中2階のスペース(いつもだと、ここには3レッグド・シェル・チェアが置かれ、その先の彫刻の森を眺めることの出来るスペース)には、モノクロ写真が刷られた大きな提灯とタペストリーが展示。先ほどまでの自然の躍動感あふれるカラフルな空間から一転、時間が止まったかのような不思議な雰囲気を感じることが出来るスペースでの作品展示を堪能することが出来ました。

さらに階段を上り上の階へ向かうと。登り切ったそこには、美しいステンドグラスを撮影した写真が刷られた大きな小田原提灯。それを横目に部屋に入ると、テントやバンガロー、ハンモックなどが置かれた広い空間。地面やいすに座って、星空映画館よろしく、彼がこの写真展を開催するまでに撮りためた写真やその場面がスライドショーで壁一面に上映されていました。
椅子に座って、1時間ほどその上映を堪能する。箱根の四季を感じながら撮影する様子が強烈に伝わってきます。

気づけば、3時間もこの写真展を楽しんでいたのか、と時計を見て我に返る。
見る、だけじゃない。五感で感じる写真展。
想像していた以上にワクワクさせられたこのイベントを通して、改めてこの人の生き方ってすごく魅力的だなぁと感じました。

「異様なもの」として感じたこの方の雰囲気はきっと、一筋縄ではいかない一つのジャンルにくくることの出来ない豊かな才能の表われだったのだろうと、今は思っています。
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