私的音楽雑記帳
FOLK ETYMOLOGY
3/30,31 PAAL NILSSEN-LOVE @ PIT INN
「白黒はっきりつけやがれー!」
と怒鳴られたのは私。怒鳴ったのは、本日栄養指導に来院した患者さん(フレンチのシェフ)。おまけに「俺はお前みたいな仕事が大っ嫌いなんだよー!」とまで言われ・・・。普段現場でg単位まで指図されるのが相当うっとおしいようですね、シェフという職業は。ちなみに私は大ざっぱなので、そういう細かい指導はしません。ついでに今は献立も立てませんし。カウンセリング&ケアオンリーの仕事になりつつある今日この頃。世の中の栄養士全てが献立だけ立ててるというわけではないのですよ、お父さん。
という話ではなく、Paal Nilssen-Love約一年ぶりの来日。前回は昨年2月にAtomicとして来日した彼ですが、今回はドラマー&パーカッショ二ストとしての単独来日公演。日本の気になるアーティストとバトルを繰り広げ、白黒はっきりつけるためにやって来たのです。
30日は、昨年のコンスベルグ・ジャズで組んだというトリオでのセッション。恰幅のいいお父さん、ペーター・ブロッツマンと、MZN3とのバトルの記憶も新しいハイパー箏奏者の八木美知依。ドラムとサックスと箏。
31日は、日本で演ることを切望したという大友良英とナスノミツルとのトリオ。ドラムとギターとベース。
通しで見た感想は、Atomicでの来日のようなリラックスした雰囲気&演奏は皆無。鼻息も荒くステージに挑む強面の表情からしてそうだったし、両日ともインプロのステージの主導権を握るのは誰だ?と言わんばかりの気迫。無理矢理に比較すれば、初日の方が幾度か同じメンバーでステージを共にしたということもあるのか、(あるいは一番年下ということもあるのか?)まわりの空気を気遣いながらの、バリバリ叩くのもキックも控えめで、細やかな音の表現が多いような印象を受けたのですが。弦止めが弾けてもなお弦を弾く(というか掻き毟る)八木さんと、ブロウし過ぎてリードが壊れるのでは?と思うほどに存在感十分のブロッツマンだったということもあるのでしょう。が、それにしても、彼のとんでもない持久力にただただ驚くばかり。叩けと言われればきっと、一晩中だって叩いているに違いない彼のスタミナに終始びっくり。二日目の大友さんたちとのセッションは、1セットまるまる1曲約1時間!野郎ばっかりということもあってか、手加減無しでバリバリ叩き、リズムを次々に展開させながら、観客をステージに引き込んでしまうほどに強靭なグルーヴを作り出してしまったのです。まわりが心配してしまうほどの気迫に満ちた1セット目が終わった時、よろよろしながら休憩に入る大友さんたちの姿を横目に、それでも元気いっぱいの彼って一体
Paalを軸とした今回のセッション。彼を囲む楽器はホーンだったり弦(箏、ギター、ベース)だったりと様々だったけど、各楽器によって生まれる音が触発し合い、どんどん展開していくインプロの醍醐味を十分堪能できたステージでした。そして、その中心となるのが彼が叩くリズムであり、その一つの曲の流れというか、ステージそのものをスティック(たまに素手、足、顔!)でイメージする力の逞しさにも改めてびっくりしたのでした。びっくりゲストにもびっくりしたけれど、一番びっくりしたのは、やっぱり、彼というドラマーの存在そのものだったわけです。
10月には「The Thing」での来日も実現するそう。レスラー顔負けの強面揃いのThing。マツもフラーテンも見た目も音も相当怖いし、どんなステージになるやら。
「白黒はっきりつけやがれー」
軍配は、やっぱりPaalに・・・、と言いたいところですが、弓で弦を弾く姿が、丸太を鋸で切る姿に見えてしまった、ファイティング・スピリット溢れる八木さんでしょう、今回は。奏でるメロディもリズムもパフォーマンスも全てにおいてかっこよ過ぎました。
10月は勝てるように頑張ってください。
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