feels like home / Norah Jones

　
　先日話の中にふと出たNorah Jones。

　印象に残るのはこの『feels like home』。もう三年前になるのですね。これを私にくれたのは、以前の勤務先に入院していた患者さん。今まで関わってきた中で最長入院日数を記録する方でした。

　毎日ベッドサイドで話をし、普通食が食べられない彼女専用の食事を作るのに四苦八苦していた私。喧嘩したり笑ったり、猫の話で盛り上がったり、長期の入院に凹み気味な様子を何とか和らげようと悪戦苦闘していた記憶があります。

　辞めるんだ、と話してから数日後。外出出来ない彼女の代わりに娘さんが買ってきてくれたのがこのアルバム。

　「ホンダちゃん、ジャズ好きだべー」とちょっと照れながら手渡されたこのアルバムを、今まであまりちゃんと聴く機会がなかったような気がします。それは、その後まもなく彼女が他界してしまったということも、もしかするとあるかもしれません。

　ジャズ、と言い切るには、あまりにも他の要素がつまっていて、とてもポップ・ミュージックな彼女の作品。フォークのようでもあり、カントリーやソウルでもあるような、とても耳なじみのよい柔らかい彼女の声と歌。

　ものすごく売れたファーストや、最近出たアルバムよりも、やっぱりこれが一番いいような気がします。