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朝井まかて・宮部みゆき他『もののけ〈怪異〉時代小説傑作選』あらすじと感想

2021-08-06 16:23:42 | 紙の書籍
PHP文芸文庫 朝井まかて・宮部みゆき他『もののけ〈怪異〉時代小説傑作選』細谷正充編を読了しました。

あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
ぞっこん 朝井まかて
風来屋の猫 小松ノエル
韓藍の庭 三好昌子
椿 森山茂里
虫すだく 加門七海
蜆塚 宮部みゆき
解説 細谷正充


【あらすじ】
ぞっこん 朝井まかて
「御前」と呼ばれる使い古るされた“筆”が、ある文字書きとの半生を語る。

風来屋の猫 小松ノエル
半年前に亡くなった夫が、白猫になって妻のもとに戻ってきた真相とは…。

韓藍の庭 三好昌子
庭師室藤が請け負った仕事先には、“韓藍”が一面に「火の海」のように咲き誇っていた。そこで出会ったのは…。

椿 森山茂里
孫娘のお香に祖母が語る昔話。やんちゃなあやかし“白児”と“犬神”とのこと。

虫すだく 加門七海 
棒手振り商人の男がたまたま見つけた寺で聞いた話。僧侶のおぞましい過去とは…。

蜆塚 宮部みゆき
急死した父の口入屋を継いだ男が、歳をとらない者たちの存在に気付く。やがて…。

 
【感想】
ぞっこん 朝井まかて
落語の人情噺のような話。筆の「御前」と文字書き栄次郎との日々にほろり。。とする。

風来屋の猫 小松ノエル
怖いようで実は愛と友情の話。ちょっと目頭が熱くなる。

韓藍の庭 三好昌子
“韓藍”とは“鶏頭”のこと。「火の海」のような裏庭は、さぞや美しくも不気味な光景だったろう。
丁子屋の多紀が息子市松の命の花として植えた“韓藍”。息子を亡くした悲しみから逃れられない多紀、“韓藍”の庭に閉じ込められた市松、母に愛されず寂しかった岩松。
誰も悪くない…。ただただ哀しい…。

椿 森山茂里
日本昔話のような楽しい話。
“白児”(しろちご)はあやかし。髪を角髪(みずら)に結い、白い水干狩衣をまとった美童だ。ちょこちょこと現れては、魍魎たちと戯れる。
可愛らしく、ふふっ♡となる。

虫すだく 加門七海
気味が悪く後味の悪い話。虫嫌いには無理かもしれない…。
僧侶の話す身の上話がぞっとする。鈴虫が怖くなりそう…。

蜆塚 宮部みゆき
これも薄気味悪い話。最後の展開にぞっとする。
蜆が食べられなくなりそう…。


【余談】
宮部みゆき『蜆塚』は別の文庫で読了済みだった作品。角川文庫の『あやし』に収録されていて、そちらでも最後の載っていた。
アンソロジーはあちらこちらから集めてくるので、作者の短編集と作品が重なることもたびたびある。それはそれで、再読の機会が与えられたと思っている。
やっぱり短編集は読みやすいし、いろいろな作者の作品を一冊で読めるのでよき♪