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前々回(その1)は横浜市内で食べられるバンメンを、前回(その2)は横浜市内で食べることのできた過去のバンメンをご紹介してきた。 いまバンメン、辨麺で検索すると、ヒットするのはほとんど横浜の中華料理店であるが、たまに横浜市外の店もひっかかる。 今回は、そういった店のバンメンを並べてみたい。本来ならばご当地まで出かけて行って、実際に食べて来るべきなのだが、金も暇もないゆえ、地方都市で提供されているものについては、ネット検索でご容赦願いたい。 ということで、私が実食してきたのは小田原で1軒、東京で2軒。 【小田原】 ●日栄楼(小田原市栄町) ![]() 名前:弁麺(バンメン) 具:豚肉・ウズラの玉子(2個)・メンマ・エビ・タケノコ・青菜・ニンジン・玉ネギ・キクラゲ・白菜・イカ・チャ-シュー 器:どんぶり BGM:テレビの音 価格:850円 甘めの醤油系スープを使用。具材をまとめるトロミは弱い。 ウズラの玉子というのは、ありそうで、無かった具材である。おそらく、ここだけの仕様なのかも。 お店の人に聞いた話によると、同店は創業60年になるという老舗。昭和20年代に開業しているのね。 むかし、中国人のコックを使っていて、バンメンはそこから伝わったメニューだそうだ。 これは広東麺とほぼ変わらないという。当時はアワビを入れていたとも。 ![]() メニュー。 バンメンの他に、広東麺、五目ソバもあるじゃん。 おじさんは「バンメンは広東麺と変わらない…」と仰っていたが、どういうこと。 この店ではバンメン、広東麺、五目ソバと、似ている麺類が3つとも揃っている! 「バンメンは広東麺と変わらない」というのに、その広東麺がメニューに載っているってことは、やっぱりバンメン=広東麺とは言い切れないわけだ。 ![]() お店の外観。 異彩を放つ、レトロな風貌がいいね。 ![]() 一応、破風の下に懸魚が付いている。 が、よく見ると本当の屋根は平らになっているように見える。 ということは、この破風、壁に貼りついた装飾なのか… ![]() 2階に上がる階段。 朱塗りの欄干、擬宝珠が和風を感じさせるね。 それが、なんとなく南区の「華楽」(バンメンを出していた超レトロ店)の雰囲気と似ているような…… ![]() 薄暗い店内。 テーブルとイスは学生食堂みたいだ。 ![]() フロアの奥が厨房で、その手前のテーブルはお店の人達が坐っていた。 どこか弘明寺の「廣州亭」を彷彿させる。 ![]() レジの雰囲気も「廣州亭」と似ている。 ![]() メニューの漢字表記。 五目ソバは「揚州蕎麺」。 なぜ、「揚州麺」ではないのか。 「麺」なら小麦粉を使用しているが、「蕎麺」となると蕎麦粉を使っていることになる。 もう一度、これを食べるために行ってみる必要がありそうだ。 神奈川県内には、バンメンを提供してる店がもっとありそうだが、いまのところ、ここまでしか判っていない。 あとは発見したら追加していくことにする。 さて、ここから先は神奈川県を飛び出すことになる。 まずは東京からだ。 【東京】 ●よし町(銀座8丁目) ![]() 名前:辨麺(バンメン・うま煮そば) 具:白菜、タケノコ、長ネギ、キヌサヤ、シイタケ、キクラゲ、豚肉 器:スープ皿のような感じ BGM:なし 価格:1100円!(ひえ~高~い) いままで横浜の古い店で見てきたバンメンとは、明らかに一線を画す麺である。さすが銀座だ。 容器は白磁のいたってシンプルなもの。ちょっと深めの皿といった感じかな。 横浜で体験してきたこのタイプの器だと、「冷やし中華の皿のような」とか、「カレーの皿のような」といった説明になるのであったが、ここ銀座では「スープ皿のような」という形容がピッタリくるのではないだろうか。 だから横に添えられているのは、レンゲではなくスプーンだぜ。 スープは醤油系で旨みタップリである。麺は細いストレートタイプ。 その上に、塩味でトロミを付けた具材がのっている。 長ネギ、シイタケが旨い! ![]() お店はビルの地下にある。 なんとも銀座っぽい入口。 ![]() どこか和風も感じさせる雰囲気。 ![]() 階段の途中に掲げられているメニュー、いや「お品書き」だ。 どうも、バンメンを出す店とは思えない気がするのだが… ![]() 地下へ降りる踊り場の壁に掲げられた案内板。 名前の由来 明治38年創業の日本橋は人形町芳町検番の裏手にあった「大勝軒総本店」。 和服割烹着姿の仲居さんが立ち働く風情あるその店は、近隣の粋人たちに愛され繁盛していた。 そこで27年間働き、20年近く料理長を務めたのが楢山泰男さん。 楢山さんは、昭和61年12月の「大勝軒総本店」閉店後、人形町で「大勝軒」を開き23年間「大勝軒総本店」の味を引き継いできた。 縁あって銀座によみがえる日本橋芳町の味。 平成22年9月 店主敬白 ![]() メニュー。いや、お品書きだ。 だが書き方、振り仮名が謎… サンマーメンが「酸麻麺」となっている。食べログの写真を見ると、冷やし中華用の皿に入っているし、どうも横浜で食べるサンマーメンとは違う雰囲気だ。 ご飯0円というのがいい。 ![]() スブタが古歯肉と書かれ、その振り仮名はクロヨだって…。 そして伊府麺がある! 冷やしワンタンも気になるなぁ… 店内は白木のカウンター(5,6席)とテーブル席12席程度か。 どこか小料理屋を感じさせる内装だ。 この日は早く来すぎてしまったようで、開店まで1時間以上も待つ羽目に。 その間にちょっと呑み過ぎてしまったみたい。 せっかく銀座まできたというのに、酔いが回っていたのか、お店やレシピの歴史などを訊きそびれてしまった。 バカだなぁ…… ●大勝軒(日本橋横山町) ![]() 名前:バン麺(830円) 具:キャベツ、タケノコ、長ネギ、シイタケ、キクラゲ、生姜、豚肉 器:冷やし中華皿 BGM:無し(しいて言えば厨房から漏れ聞こえるラジオの音) 最初に登場した「よし町」と同様に、具材に赤系統の色が使われていない。たとえばニンジン、エビ、赤いカマボコ、赤い叉焼とか、横浜ではすべて、この色がワンポイントで入っているのだが… その具たちは軽~いトロミが付けられている。麺はストレート中細。 スープの味付けは醤油系で、かなり濃~~~い。これは水が必需品である。 ![]() 少し斜めから撮影。 ![]() 真横から見た姿。 ![]() お店の外観。 なんともレトロな姿である。 ![]() ノレンには大正13年創業と書かれている。 90年の歴史か… ![]() 店内の様子。 小上がりがある。こういう光景は呑み屋さんだよね。 ![]() 店は老夫婦二人でやっているようだ。 テーブルを二つ組み合わせている。なぜか、イスの種類が一緒ではない…… ![]() そんなテーブルの上には醤油、酢、胡椒、爪楊枝のみ。 ずいぶんシンプルだよね。 ![]() 銭湯の脱衣所を思わせる格天井。 歴史を物語っているような感じだ。 ![]() 床はもちろん洗い出し仕様。 なんとも懐かしい。 ![]() 入口の戸も素敵だ。 下町の和風的な意匠がいいね。 ![]() 帰り際にご主人から話を聞く。 店は大正13年の創業で、自分は2代目だと。バンメンは戦前から出しているそうだ。 「横浜ではバンメンを出す店がいくつかあるけど、こちらは横浜と何か関係でも?」と聞いてみたら、 「横浜とは関係ないよ」と素っ気ない返事。 独自に発生したのか? それとも都内で引き継がれてきたのか… ![]() メニューの振り仮名が独特だね。 ![]() 「冷やしラーメン」なんてのもある。 冷やし中華ではないようだ。 以上、東京で食べられるバンメンをご紹介してきたが、ここからは関東甲信越で提供されているバンメンだ。 けっこう遠い所なので、他の方の記事をリンクしながら進めていきたい。 ●本郷食堂(長野県松本市) 出典:食べログ 名前:バンメン 具材は蟹身・豚肉・木耳・筍・白菜・干椎茸・錦糸玉子・紅いカマボコなど。特徴的なのは錦糸玉子だ。 醤油ベースの甘めのスープに、たっぷりのアン。 投稿者の感想では「簡単に言うと五目うま煮そば」だと。 (注)しばらくぶりにリンク先を見たら「閉店」となっている!! 絶滅危惧中華麺がまた一つ消えた… ●驪山(長野県松本市) 出典:食べログ 名前:バン麺(五目うま煮のせ) 1230円 具:豚こま肉・紅叉焼・揚げ団子・イカ・キャベツ・シイタケ・タケノコ、幅広く切った錦糸玉子。 スープ:薄味の上湯(シャンタン)風味。いいダシが出ていて、ほんのりと上品な甘み。 器:ラーメンのドンブリみたいだ。 投稿者の感想:面白いのは、普通の中華料理店では「広東麺」で通じるものが、こちらでは「バン麺」と云う呼び名になっていることです。 銀座より高いんだね! そして気になるメニューの表記。 バン麺=五目うま煮ソバであり、さらに英語表記を見ると、 Lomen with Chop Suey となっている。チャプスイを載せた麺なのか? 金と時間があれば、ここに行ってみたいなぁ…… ●きよし(長野県駒ヶ根市) 出典:お店のホームページ 名前:メニューにバンメン(広東麺)788円とある。 ここでは、あきらかにバンメン=広東麺としている。広東麺と書くだけでいいのに、なぜこのような表示になるのか。不思議だ。 出典:NAVITIME口コミ広場の写真 名前:バンメン(広東麺) 具:写真から確認できるのはエビ、ニンジン、キクラゲ、キャベツ、その他といったところか。 ただ、同じ長野県でありながら、松本市の店とは異なり錦糸卵がトッピングされていない。なぜか。 長野県松本市から登場している2軒は、両者とも錦糸卵を使っているところが特徴的だ。 横浜で玉子が参加している場合、それは卵とじのような使い方である。松本市では錦糸玉子が必須アイテムなのか。 横浜から松本に伝わった過程で変化したのだろうか。 玉泉亭のバンメンは卵とじ ![]() 磐来軒のバンメンも卵とじ ![]() バンメンの謎はさらに深まり、玉子の使い方まで問題になってきた…… ●大興飯店(茨城県水戸市) 出典:食べログ 名前:バンメン(五目の具を玉子あんかけで包んだもの)600円 具:写真からしか判断できないが、チャーシュー、ニンジン、長ネギ、ナルト、玉子が確認できる。スープはとろみがありそう。 投稿者の感想:「バンメン」とは何か? 野菜と卵とじのあんかけラーメンでした。ネットで検索してみると、拌麺(バンメン)というのがヒットしますが、ちょっと違うようです。カタカナの「バンメン」で見ると似た様な野菜のあんかけっぽいラーメンが出て来ました。結局分からずじまいでした。 ここも玉子を使ってるが、錦糸玉子ではなくあんかけ。玉泉亭や磐来軒と似たような使用方法だ。 以上、横浜以外で提供されているバンメンを見て、その素性はますます謎に包まれてきた。うーむ。 さて、バンメン探訪の旅を続けておられる街角中華さんは、それを提供しているお店を次々と発見されている(すごいなぁ)。 私は未訪であるが、一応、宿題ということで載せておきたい。 ●鳳月(平塚市錦町) 名前:弁麺(バンメン・五目ウマニソバ) 器: 具:イカ、焼豚、豚肉、椎茸、白菜、玉葱、ブロッコリー、ヤングコーン、練り物団子、うずら ●大勝軒(日本橋本町) 名前:うま煮そば(バンメンと同じ) 器:ドンブリ 具:筍、豚肉、白菜、椎茸、人参、クワイ、キクラゲ ●ジュー文華(厚木市温水) 名前:バンメン 器:ドンブリ 具:キャベツ、白菜、きのこ類、青梗菜、ピーマン、絹さや、玉葱、細切りナルト、豚肉 【前回・前々回の記事はこちらからどうぞ】 謎の中華そば バンメン(1) その姿 謎の中華そば バンメン(2) 過去に食べられたものたち (つづく) ![]() |
ビールから組み立ててみたいなぁ。
広東やゴモクと100円違うということは具が違うのでしょうか??
あのお店、最近「東海道新幹線各駅停車の旅」という旅行本にも掲載されていてビックリしました。
餃子はレジの奥(=入口近く)で焼いてちょっと変わっています。(登録商標らしい)。次回は餃子もぜひ!
すごい建物ですよね。
2階に上がってみたいですよ。
バンメンを出す店って、どこも風格があります。
写真に少しだけ写っていますが、
バンメンの後ろにビールと餃子の皿。。。
登録商標だとか書いてありましたが、
どこがそうなのか、よく判りませんでした。
次回は広東麺をやっつけてみたいです。
えらく悩ましい展開になって来ましたね。
チャプスイ。。結論は出ようが無いのですが、近く文献紹介だけでもしてみます。
九州では、見た事ありません。
食べてみたいものです。
料理の見た目も違いますが、
浅い皿、深い皿、ドンブリ等、いろいろあるのが謎です。
チャプスイといったら旨煮ですよね。
それを乗せたからうま煮そばなんでしょうかね。