ほとんどの人が携帯電話を持つようになって、
公衆電話が街から消えていっています。
今でも公衆電話を置いているところといえば、
駅・古いタバコ屋さん・それからNTTの前ぐらいでしょうか。
私はかつて、公衆電話にものすごくものすごくお世話になった1人です。
特にNTTの前にある車椅子でも入れる電話ボックス。
あれを見ると、今でも胸がキュンとします。
10代半ばの私の恋は、あの電話ボックスに詰まっているような気がする。
携帯電話なんてもちろんなかったあの時代。
家の電話は家族の集まるリビング(というか台所)にあった為、
とてもじゃないけど恋を語り合ったり出来る状況じゃなかった。
だけど寂しがり屋の私は毎日彼の声を聞きたい。
夜な夜なテレホンカードを握りしめ、電話ボックスに向かった。
NTTの前の公衆電話は、ちょっとした椅子がついていて、
長電話にはうってつけだった。
何十枚、何百枚のテレホンカードを消費しただろう。
今となっては何を話していたのか、これっぽっちも覚えてはいないけれど、
電話ボックスのガラスごしに見る夜の景色はキレイだった。
10代半ばの私にとって大人の汚さは耐え難く、
死への甘い憧れと孤独を抱えて、いつもギリギリのところで生きていた。
そんな私も今ではあの頃より倍も年をとって、
ただのドジでおバカな甘えん坊になりさがりました。
素敵なダーリンとも出会えたし、友達もいっぱい出来ました。
今なら、公衆電話で泣いている16歳の私を抱きしめてあげられる。
大丈夫だよって言ってあげられる。
大人が何と言おうと、その恋は正しいよ。