造形作家秀春氏が「浮遊」という名前で、まるで踊っているような、宙返りをする「うさぎ」を作り始めたのは2年前のこと。その後、「浮遊・音楽に舞う」とタイトルされたこの作品は、大気中に鳴り響いている音楽を聴き取れる耳をもった存在=うさぎによって、運動に変換された音楽の意味を持つようになりました。
はじめの一体はまるまる太っていて「かわいいでしょ♡」と満足していたようでした。このうさぎは音楽と一緒に踊るために「飛ぶ練習をしているのだ」ということでした。が、作家本人にはその跳躍の高さがタイトルに対して足りないように感じられるようになってきたそうで。確かに、「練習中」のままではいつまでたっても飛び立つことはできません。次回作には軽快さが求められました。
「浮遊」というタイトルはいつしかシリーズのためのものになり、いまでは相当数の「うさぎ」が音楽をとらえようとして飛んだり跳ねたりしています。今回はその2体目、「浮遊」がシリーズになるきっかけになった作品をご紹介します。
このごろは出かける先も「時間があれば病院」と決まっていることもあって、見る景色が単調というか、同じ景色に季節の移り変わりだけを見ています。たぶんそのせいもあって、空を見上げることが多くなったのかも。
製作現場にお邪魔する時間がなくて、新しい作品を見させてもらっていませんが、夏の空、きれいな雲がふわふわと流れていくのを見ると、僕はまず「浮遊」している「うさぎ」のかたちを空に描いてしまいます。
空飛ぶうさぎ