例年通りなら、少年少女・青年の野球は3月中に始まる。
野球でアメリカの有名大学進学を目指すようなレベルだったら、オフシーズントレーニングも入れて一年中やってる。
でも、今年は新型コロナの感染拡大で3月中旬からロックダウン。
野球を主催する団体と、州政府の機関との間で調整と折衝が続き、さまざまな努力の結果、7月に入ってソーシャルディスタンス野球ができるようになった。
12ページの同意書と免責確認書にサインすることが条件。
使ったボールと用具は、個人所有で他人と共用しないもの以外は、ボランティアが全部消毒とクリーニングをする。
始まる前に、オンライン会議ツールでミーティングをして、親とコーチに新しい野球のあり方とルールを徹底周知。
正規の試合はできない。
対外試合、州大会、全国大会、ワールドシリーズなどすべて中止。
試合形式の練習でもタッチアウトなどは禁止。
スタジアムに入る前に全員手洗いか消毒。
ボランティアはマスク着用。
スタジアムは巨大だし、野外だけど、その場にいられる人数は州の規定により50人まで。
だから、それを数えるボランティアも要る。
初日はドキドキした。
3月中旬以降、こんなにまとまった数の人に会ったことなかった。
大人も子どもも、2mの距離をとれと何度言われてもうれしすぎてちょっと近づいてしまう感じ、ダメなんだけど気持ちはわかる。
いつもならほぼ毎日顔を合わせていた親たちの懐かしい顔ぶれ。
普通なら駆け寄ってハグするところだけど、今年はエアハグだけ。
距離をあけてする変則ルールの野球は見ていて不思議でしかない。
でも、やっぱりいい!
青空の下、同じ年ごろのメンバーと一緒に野球をするって。
その場のみんなが口々に
「ああ、息子が外で野球をしてる! オンラインゲームじゃなくて!!」
そしてみんなが大きくうなずいた。
私にとってこの10年以上、ここの短い夏を満喫させてくれるのが野球。
こうやって外に出て体いっぱいに感じないと、長く暗い雨ばかりの秋冬を越せないんじゃないかと思う。
今や、安全に友達と楽しくつながる重要なツールであることは間違いないオンラインゲーム。
どこの親も悩んで気にしているんだなあとわかって安心した。
私の願いは、これ以上感染拡大せず、8月いっぱいは野球を続けられる状況であってほしいということ。