SHARE THE ROAD（1）

　市街地でも信号の連動さえ良ければそこそこの平均速度が出せることが分りました。この日は日曜日で比較的車の量が少なかったことも幸いして、自宅を出て3.15ｋｍ地点までの平均速度は過去最高の24.2ｋｍ/ｈを記録しました。信号でのSTOP & GOが少なければ2×6程度のギアでもこの程度の速度になるのです。
　ところがひと度街中に入り、歩道を走行しなければならなくなると、平均速度はわずか1.5ｋｍ程の間に21.6ｋｍ/ｈと急激に落ちてしまいました・・・自転車は道路交通法上軽車両に分類されますから、通常路側帯あるいは道路の左側端を走ることが原則とされています。
　ところが、道路交通法第63条の4に「普通自転車は、次に掲げるときは、第17条第１項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。1．道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。2．当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。3．前２号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。」という規定があります。
　この規定が拡大解釈され、平成19年の法改正後も、歩道を我が物顔で走行する自転車が後を絶たない状況にあります。確かに日本は車社会ですから、十分な路側帯があっても自転車の車道の通行は決して安全とはいえない状況にありますから、自転車が歩道の通行を禁止されたら満足に走れなくなる可能性がないわけではありません。ただ、ロードレーサーが歩道を走っている姿を見かけないのも事実なのです。
　日本の道路交通法に定める自転車とは軽快車（ママチャリ）を基準にできているために、このような状況を生んでいるのではないかと私は考えています。走行速度が10ｋｍ/ｈ程度の軽快車なら歩道を走行しても害はないという考え方が根本にあったことは間違いないでしょう。またその速度の自転車が中国や東南アジアの国々のように大手を振って車道を走行されたら、日本の交通状況は益々悪くなると危惧するのも分ります。
　ところが、現実には自転車の性能が高まり、軽快車でもそこそこのスピードが出るようになり、多段ギア付きのシティバイクやMTBなども増え、下りなら30ｋｍ/ｈを超えるスピードがでるようになって、自転車が引き起こす交通事故が多発するようになったわけです。そこで平成19年に道路交通法が改正されることになるのですが、私には改正前の状況とほとんど変わってはいないとしか思えないのです。
　自転車先進国の欧米には"SHARE THE ROAD"という考え方があります。日本では車歩道の別はありますが、前述したように法律上自転車は車両に分類され、自転車に分け（SHARE）与えられている道（ROAD）はありません。
　サイクリングロードがあるじゃないかとおっしゃる方も多いと思いますが、日本のサイクリングロードは自転車専用道ではないことが圧倒的に多いのです。私の住む札幌市にもいくつかのサイクリングロードがありますが、全て歩行者との共用となっています。私がよく利用するサイクリングロードは平行してアンツーカーでできた立派なランニングロードがあるにも関わらず、「自転車通ります」と始終声をかけなければならない状況にあります。また、犬の散歩に利用する人も増え、自転車はどこへ行っても片身の狭い思いを強いられるようです。
　自転車後進国の我国では、自転車といえば軽快車（ママチャリ）という認識ですから、"SHARE THE ROAD"を実現するには自転車に対する認識を改める必要があるのではないでしょうか？少なくてもギア付きとギアなしでは速度がまるで違うのですから、少なくともギア付き自転車は車道走行を義務付ける必要性を感じています。車道を走行する自転車が増えない限り、なかなか"SHARE THE ROAD"という考え方は根付いていかないのではと思っています。
　また、日本のドライバーにも自転車は速度がでない邪魔者といった認識が根強くあるようで、30～40ｋｍ/ｈでも走行可能なスポーツバイクでは交差点で右折する車には十分な注意が必要です。自転車の速度をママチャリ程度と予測して右折する車が圧倒的に多いためです。私もAL700Xに乗ってから何度かひやりとした経験があります。普段ママチャリにしか乗っていないドライバーにはスポーツタイプの自転車の速度が分らないのは当然かもしれませんが・・・