【参加報告】11/18南スーダン「安倍政権は自衛隊を帰国させよ!」元自衛官 泥憲和さんの講演会(その2)
<K.Mより>
【参加報告】11/18南スーダン「安倍政権は自衛隊を帰国させよ!」元自衛官 泥憲和さんの講演会(その1)はこちら
【泥憲和さんの講演「自衛隊は南スーダンから撤退せよ」】
以下、講演の概要です。
1.南スーダンの現状
南スーダンPKOへの「駆けつけ警護任務」の付与が11/15に閣議決定されたが、稲田防衛相の現地調査報告書を情報開示させると真っ黒に塗りつぶされたものしか出てこない状態。南スーダンは、スーダン内戦から2011年に独立し、その建国支援ということでPKOも始まって日本も民主党政権時代に派遣したが、その後に大統領派と副大統領派に分裂し、2013年から激しい内戦状態になっている。両派が宣戦布告して戦っていて先日、PKO南スーダンミッションの代表が辞任するという混乱の中にある。
2.駆けつけ警護任務とは
これまでPKO任務の中で「駆けつけ警護」が実施された例は、1993年のソマリアPK0におけるモガディシュの戦闘のみ。米軍の作戦の中で孤立した特殊部隊を救出に向かったが戦死者19名、負傷者73名、武装ヘリ2機撃墜、車輌多数を喪失、徒歩で脱出した兵士もいた。投入された兵力が160名で半数を超える死傷者を出した。この事件をきっかけに米軍はソマリアPKOから撤退し、国連もまた翌年に撤収。こうした任務を与えるということ。人道支援が必要な状態といっても「駆けつけ警護」の対象に市民は含まれていない。
また、これまで専守防衛を前提にしていた自衛隊の救急医療体制は、負傷者を国内の病院に送ることを想定しており、現場の人材も装備も貧弱なままで自分たちも守れない状態。衛生隊員は準看護師資格者のみで医師は手術経験なし。隊員の装備は米軍の軍用犬以下で、充実させるための13億円の予算措置は難しいと言っている。自衛官の武器使用に関する法的サポートも全くなく、錯誤による殺傷をした場合に窮地に追いやられることは必至。
そもそも日本政府の派遣の根拠は安保理決議1966号「スーダン内戦に関する決議」であり、その後の安保理決議2155号「南スーダン内戦に関する決議」には言及をしていないので、現在の自衛隊駐留にはそもそも法的根拠がない。
3.自衛隊のアフリカ派遣 その背景は「テロとの戦い」
2001年9/11のアルカイダによる同時多発テロから英米で始めた「不朽の自由作戦」が全世界で5ヶ所に展開されたが、アフガニスタンは口実で他は全て油田がらみの地域。アフガニスタンも途中でほうりだしてイラクへ向かった。対テロ戦争の本質は、アメリカの石油権益を守るために各国を借り出しているというもの。南スーダンも「アフリカの角における不朽の自由作戦」展開エリアにつながっている。
4.戦争を終わらせる非武装的アプローチ
●武器の非合法取引をやめさせるための2つの武器貿易条約を作らせたのは日本。当時の外務省国連局の神与隆博氏によると日本は武器輸出に関わっていなかったため、日本の提案は満場一致で通せた。日本の平和ブランドが世界的な役割を果たしたわけで、日本が果たすべきは非武装的アプローチ。
●米国俳優のジョージ・クルーニーは隠された軍事資金の流れを明らかにする団体を作って活動しているが、このように戦争資金を枯渇させる方法も大事。
●アフガニスタンの空港に「日の丸」が翻っているのは中村哲さんのNPOの活動への敬意。江戸時代の水路づくりの技術を現地の人々に移植して自分たちで生きていける農地をつくらせることで争いもなくなっている。(参照:NHKのETV特集「武器ではなく 命の水を」医師・中村哲とアフガニスタン)
5.中国脅威論のまやかし
●中国軍幹部が尖閣問題での武力行使を戒める論文「釣魚島問題から見る中日関係」:中国のリスクが大きすぎるとしている。こういう情報を信じたふりをして外交をすすめればよい。
●「尖閣海域に中国漁船が大挙して進入」と報道されが、日中漁業協定で認められている海域で、しかも毎年やっている禁猟期明けのセレモニー。政治的にねらった年しか報道しない情報操作。
結論 自衛官を死なせるな!
「武力なき国際貢献」をすすめ自衛隊は保険として最後に控えさせればよい。保守の人たちにも納得できる話をしていくことが大事だと思う。
質疑応答より
Q:少年工科学校(現在の陸上自衛隊高等工科学校)に入られた経過は?自衛隊ではどのようだった?
A:父から「ただで高校に行けるから行け」と言われて入った。自衛隊は昔から貧乏と仲良し。社会的格差が拡大して可視化してきた。入った1969年頃はソ連脅威論華やかなりし頃で、労働組合などもソ連の手先だと言われていたが、一方で「一朝、事あらば我々に異論を投げつける市民も守れ」という教育を受けた。また、「民主連合政府ができたらどうする」という議論もあって2派に分かれたが、私は政府に従う派だった。今は民主団体の方とつきあってソ連の手先ではないとわかっている。
(笑いにつつまれて拍手の中を終了)
※自衛隊を活かす会編著『南スーダン、南シナ海、北朝鮮』(かもがわ出版)の泥さんの文章なども参照した。