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マハーバーラタ雑感

2017年12月05日 | 日記
インドの大叙事詩マハーバーラタでは、森林が物語の重要な舞台の一つになっている。森には隠者、行者が庵を結んでいる。ちょっと意外なことに、彼らは必ずしも独居しているのではなく、子がいたりもする。

ところで、物語の登場人物が彼らの仲間入りをするとき、決まり文句のように「木の皮を身にまとう」と言われる。これがどういうことなのか、ピンとこなかった。木の皮をはいで、衣服がわりに体に巻き付けるのか?

あるときたまたまNHKを見ていると、インドネシアの山間部の、失われつつある伝統的衣服の現地レポートが流れていたが、その衣服がまさに、樹皮を材料にしたものであった。木の皮で着物をつくる文化というのが存在する(した)のだ!放送を見ていると、特定の木の皮をはいで、木槌で丹念にたたいて布状にして、おばあさんがスカートを作っていた。独特の質感を思わせる外見で、涼しくて着心地がいいのだそうだ(ただ、なんだか恥ずかしそうだったのは、やはり「古くさい」という意識が今ではあるのかもしれない)。木の皮を着るというのを読んで、着心地悪かろう、苦行の一環か、ぐらいに思っていた自分はとてもあさはかであった。

インドの古い物語というと、ついバラモン教の系統を引く部分に目を奪われがちで、学者も「インドヨーロッパ語族」の伝統ばかりを云々してしまうようだ。けれども「樹皮を着る」文化がインドネシアにもあるのだから、東南アジアにまで広がる、何か質の違う伝統を、マハーバーラタなどの中から掘り起こしていくこともできるのだろう。そういうことをしている人もきっといるのだろうけれど、なかなか一般の読書界まで情報が下りて来ませんな。