居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

曳航

2012-09-19 23:19:54 | ポエム

曳航

 

毎日
ひとは
母港に繋留している
自分という舟にのり
強風注意報の海へこぎだす
転覆するほどの大波を
たくみにのりこえるのがベテラン
こわくてひきかえすのは負け犬とよばれる

波と風をてだまにとって
孤独を澪にしてゆく
航海術と荒海心
へこたれない強力なエンジン
これだけあれば征服できる
世 世 世
界 界 界

でも母港があぶないこともある
自然というリベラリストが
ある日ぶらっとやってきて
行く先もつげずに
母港を曳航して世界をかえる

それは過去の過誤を繰り返すこと
ドアーの開閉のように

キィーはみあたらないままにして

 


うねる

2012-09-10 18:21:16 | ポエム

うねる

 

うねるのは

青い海か

液体だけがうねるのか

歌ごころもずいぶんうねって

そのはてにきえいってしまった深夜

CDをやたらにボリュームあげていたら

寝ている児を起こすから

MAXからMINにしたらきえてしまった

小さな音はうねらないのだ

裏のマンションの建設現場は

朝から夕方まで雑音をうねらせて

鉄とコンクリートのハウスをつみあげる

すると天文学者の言うように

空間がうねったようになって

窓の空はきえる

ドラゴンのように

そらがずっと天のほうにのぼっていって

あん畜生

高低差は

うねりもせず

継続する

 

 

 

 


2012-08-13 11:54:05 | ポエム

 

夏の日の戀か
冬の日の戀か
春か秋かとまよっていたら
ひととせがめくれあがって
おおきな聖衣になり
僕のあたまをすっぽりつつむふくろになって
ふってきて
おちてきて
ふくろのなかには
戀のかけらひとつもなかった

ただひとつかけらのようなものがあった
そう
ひとつはあった
そのひとつは途中できえて
水っぽいゼンザイのようになり
あじがなくなってしまって
それからは演歌のように
河に映る赤や青のネオンのゆらめきを
日がな一日ながめているような
橋の上の住人になり
橋をわたるもわたらぬも
宙にういた橋のうえで
春夏秋冬の戀を夢みてすごした

その映像は
めくられはがされないように
こころにはった

起伏は過客のごとくに
過ぎた
いまでも

                                    

             

                                             * 愛することにかけては、女性こそ専門家で、男性は永遠に素人である。

                                                                                 (三島由紀夫)


モネ

2012-07-05 16:22:44 | ポエム

モネ

 

幸いな惑星だ
太陽のエネルギーで
水と大地の世界が
天然の万華鏡のように
ころがっていた
発見したのは画家のモネ
はじめてのぞいてみて
その狂喜乱舞の世界を発見した

みどりと幾色かの花を
衣にして翔ぶ
男ひとり
ひかる蔭と
かげる反射と
巨大なニワザウルスが
体躯をふるわせると
光と影が
みごとにばらまかれる
100%のバランスで

おおきな地図をかざる
標示のトイたちは
陰陽の光の佇まいだ

なべてひかりのかたちが
目を射る存在だ

かれは魚類
かれは測光器
かれは全ての存在から
カタチをとりあげ
イロにかえる

 


ばらばら

2012-05-08 14:19:23 | ポエム

ばらばら

 

ばらばらに
存在するものたちを
あつめてみると
エックスが
ただよいはじめる

ときには そのなかから
おもいもよらぬものが
すっくとたちあがる

不安げにみえても
コンクリートがかたまるように
うごきがとれなくなって
そのまま このまま あのまま に
いすわると
一人前にみえてくる

奇妙であっても
存在の価値が
不思議とうまれてくる


イリュージョン

2012-02-24 15:46:42 | ポエム

イリュージョン

 

 

あるときぼくは

じぶんがじぶんであることを

わすれた

 

そこでどうしたら

じぶんをとりもどせるかをかんがえた

 

じぶんがじぶんであることが

いちばんわかりやすいのは

じぶんがいちばんよろこぶことと

じぶんがいちばんかなしむことを

じぶんにみせればわかるだろう

 

ところがそうやってみたけれど

じぶんがほんとうにすなおになって

そのことをよくみなければ

じぶんがじぶんであることがわからない

 

はたしてぼくはじぶんにたいして

すなおにじぶんをみることはできなかった

 

そうしてじぶんはイリュージョンであり

そのなかでのせいかつしかできない人間 である

ということがわかった

 

 

 

 

 


2011-04-29 13:23:28 | ポエム

   声

  

  きこえない

  声もある

  いたんだこころから

  その声は

  ほそいほそい

  糸のように

  みえないもののようになるから

   

    だれかが

  イヤーホンで

  きいてくれている、と

  しんじて

  だしつづけよう

  その声を

  

  晴れた空に浮かぶ

  雲がはこんでくれるかもしれないから

 

  おちついて

  鉢植えに

  おいしい水をやろう

  きこえない声が

  みごとにさくように

  

 

  

 


天然物語

2011-03-01 01:46:37 | ポエム

 

空と雲と風と土と火とが

空は からっと

雲は ふんわりと

風は びゅーんと

土は やわらかく

火は かっかっと

しているところへ

水が

 ちょろちょろ、ざざっと

でてきた

いちばんこまったのはなんでしょう

土か火かどちらでしょう

と思っていたら、土がとっさにかたまって

きえそうになった火をかこんで

水の攻撃から土が火をまもった

水はたまりかねて

おおきな森の中から

さらさらながれて

のどのかわいた生き物たちのいるところへゆき

コップ一杯いくらでかうか?と

その身をなげだした

だれのものかわからないので

生き物たちは

だまって水をのみ

かわいたのどをうるおした

水がいちいばんかわいそうで

空、雲、風、土、火、は

どうしたらいいかわからなくなった、とさ

 

でもさ、この星は

水の惑星といわれているんだよ