居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

蝸牛

2012-02-29 23:57:14 | ポエム

蝸牛

 

自分のすきなみちだけを

つののさきでさがして

のたりのたりとあるいていく

 

とおくの

かぐわしい

はなもさいているみちには

いつゆきつけるか

 

つののさきから

おしだすちから

みをひっぱっていく

こころが

こころでないと

もときたみちに

もどってしまう

 

まちがってもいいから

前へ

あるこう

 

つのは

前方オンリ-ワンの

方向探知機だから

 

 

 


化石

2012-02-29 23:01:15 | ポエム

化石

 

エックス線でも

電子顕微鏡でも

発見されなかった

化石は

由来もなく

化石とはよばれない

 

ものいわぬ

それが

ほんとうの

化石なのに

 

化石は

かたちのないもえがら

それは

いたるところで

まいにち

つくられている


ききたいことがある

2012-02-29 22:18:27 | ポエム

ききたいことがある

 

どうして

うつくしくならべた

七色の

オブジェをこわし

椅子なんかおいて

タバコをすうの

 

ア-トにむかんしんな

ロジックをころがしては

うらおもてななめよこたてなんかを

ミリメートルの単位で

測量士みたいに

はかりまわって

 

論と論とを

あとさきにわざとずらして

ム-ドをこわすことで

自己開発したみたいに

よろこぶの

 

テ-ブルのうえの

無色にされた

イチゴでもたべるきか

 

イチゴは赤いほうが

おいしいのだ

 

 


文字

2012-02-28 11:44:19 | ポエム

文字

 

カタカナをかじったら

みかけは

かたそうなのに

西洋菓子のようなあじがした

 

ひらがなをかじったら

みかけは

やわらかそうなのに

ヌ-ドルのようなねばっこいあじがした

 

漢字をかじったら

みかけは

鉄筋コンクリートみたいにかたそうなのに

理屈っぽくてふくざつなあじがした

 

諸外国の文字をかじってみたら

鍵がならんでいるようなあじがした

 

だんだん

文字をかじっていたら

ひどい虫歯にかかって

そのはてには

痛い抜歯の憂き目に遭った

 

文字はかじらないで

かみくだいてのみこむと

やっとおいしいあじがする

 

 

 

 


ケイタイ

2012-02-27 23:56:45 | ポエム

ケイタイ

 

むかしは

ときには

コ-ドから

ブランコしていた

電話の受話器

いまはコ-ドレスとか

ケイタイ

こんなもので

あしたの気分を

リザ-ブしたり

とりけしたりして

ときには

なげすてたり

かわいがったりして

まるであいがんどうぶつみたいに

いつもしたがえたり

じかんもわすれて

にらめっこしている

 

くせになって

てもとになかったら

せいかつ不能みたいになって

朝からオロオロしたり

夕べにはさがしまわったりして

おおそうどうなきぶんになったりして

無言電話みたいなメ-ルでお話したりもする

 

それほどいまのよのなかは

おいそがしいのだろう

それとも

顔みるのもいやなのか

 

やっぱり

おいそがしいことにしておこう

 

 

 


迷路と運命

2012-02-27 19:21:10 | ポエム

迷路と運命

 

 

 

枝を張り出して

迷路をつくっている

その森は

いのちのしきたりで

すべてがつくりあげられていた

 

少年と少女は

おたがいの名前も知らなかった

少年は少女の手をとって

その森のなかへはいっていった

おびただしい湿気が

ふたりをおそった

しばらく霧のような空気がただよい

みとおしはだんだん不透明になっていった

てもとだけはあかるかったので

少年はきれいな字で少女に書いた

「一緒にきてくれるか」と

それをみて少女は口にした

「どこへ」と

 

とうとつに森にひかりがさっとはいってきて

霧は霧散してふたりをスポットライトのように

うきたたせた

迷路の枝はなくなり

ひろいみちができていた

 

そうして年月がたち

草原のようになったその森と

いのちのしきたりは

童話のようにたのしくへんかし

多くの少年少女たちに

まえをむかせた

ふりむくことも少しまじえて

 


夜の鳥

2012-02-26 13:19:44 | ポエム

 

 

「夜の鳥」

 

どこかの深い森

鳥たちは

ききみみをやすませて

脚は自然にしていても

止まり木からは

すべりおちないが

その神経のはたらきは

エレクトロニクスという

電気の回路

 

ひとがねむっていても

呼吸は存続していて

呼吸をわすれないのも

エレクトロニクスという

電気の回路

 

すべてが眠るはずの

エレクトロニクスは

火花を散らしつづける

 

エレクトロのつく言葉は

羅列すれば

おどろくほどある

 

火の次に電気を発見した人類は

たった二つの物質で

世界を制覇したのだろうか

 

そこで問題は

「燃え立つ」と呼ばれるものだ

見えないエレクトロニクスが

そうじゆうしているのだろうか

夜の鳥のS F 物語として

 

 

 

 

 

 

 


もう寝ましょう

2012-02-26 00:15:57 | ポエム

もう寝ましょう

 

 

 

 

きょうも夜がふけて

テレビばかりみている

 

よくかんがえたら

とりとめのないことばかりが

画面でチラチラしているだけだ

 

そのなかで

いちばんだいじなのはなんだろう

かんがえてもまとまらない

 

セイジ ケイザイ ジケン 

ジャーナリズムという文化

輝く世界はなんだろう

 

でも言葉の世界が・・・

 

さて、しばらく暗黒の世界へ


イリュージョン

2012-02-24 15:46:42 | ポエム

イリュージョン

 

 

あるときぼくは

じぶんがじぶんであることを

わすれた

 

そこでどうしたら

じぶんをとりもどせるかをかんがえた

 

じぶんがじぶんであることが

いちばんわかりやすいのは

じぶんがいちばんよろこぶことと

じぶんがいちばんかなしむことを

じぶんにみせればわかるだろう

 

ところがそうやってみたけれど

じぶんがほんとうにすなおになって

そのことをよくみなければ

じぶんがじぶんであることがわからない

 

はたしてぼくはじぶんにたいして

すなおにじぶんをみることはできなかった

 

そうしてじぶんはイリュージョンであり

そのなかでのせいかつしかできない人間 である

ということがわかった

 

 

 

 

 


脳の鼻唄

2012-02-24 13:44:44 | ポエム

脳の鼻唄

 

とんとんとんと

よがあけて

きょうもいちにち

すでをふり

ふゆのくうきにはださらし

 

てんてんてんと

ひがさいて

ちゅんちゅんすずめが

なくみちを

ぶらぶらぶらとおさんぽだ

 

さんさんさんと

てるひかり

よのなかほんじつやすらかか

じぶんのまわりは

もんくなし

 

しんしんしんと

ひもくれて

ベッドのうえでみるゆめは

いごこちのよいことばかり

あってほしいとねがいつつ


セールスマン

2012-02-24 13:09:19 | ポエム

セールスマン

 

いつ

そうなったのか判らないまま

僕は

僕を売りまくる

セールスマンという

仕事に取りつかれていた

 

自分のカタログをつくり

精いっぱいのデザインで

或る一つの事を

格安で安心できる性能で

あなたの為に

何でもする

という売りで

 

ところがある一つの事という

サンプルをもちわすれ

すべてのセイルスは

キャンセルされた

 

そのサンプルこそ

僕そのものなので

僕のコピーが出来ないかぎり

セールスマンとしては

資格がないので

いまは

セールスマンを撃退するという仕事で

やっといきている

 

 

 

 

 

 

 


逢いたいひと

2012-02-23 11:57:46 | ポエム

逢いたいひと

 

 

 

そのひとは

いつも

かさなりあった迷路から

風のように

はなしかける

 

そのひとは

いつも

トッピングのように

とおくの雲の上に

もりつけられて

肉体で

合図をおくる

 

そのひとは

いつも

あたらしくて

もえあがる

美しい意味をつくりだす

ウチデノコズチをもっている

 

そのひとは

いつも

なごりのメロディー

 

 

 

 

 

 

 

 


悲しみの雪

2012-02-22 12:23:27 | ポエム

悲しみの雪

 

 

もしかして

むかし

ふった

はんぶん凍ったような

ざらついた雪が

陽にさらされて

ぽとぽと雫をたらすように

 

冷凍庫から

はみだした

凍った思い出が

もしかして

いま

 

盗聴器に記録されていた秘密のように

あかされながら

とけだしたのか

 

手と足とを

腹部の中心にとりつけたように

這い出して

 

もしかして

よみがえり

リビングルームの床暖房の

ぬくもりで

とけだしたのだろう

 

首筋に

つめたいものが

まきついてきた

 

もしかして

むかしふった

あの雪