居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

家族

2012-10-31 16:21:17 | ポエム

家族

 

一軒の家にすんでいるとはかぎらない
一軒の家からはじまったともいえない
二軒の家からはじまることもある
誰か一人がでていってかえってこない
するとまたもうひとりがもんくをいい
そいつもでていってしまった
それでもまだ家族は居残りして
おマンマをたべるためにはたらいている
クリスチャンは規律があるので
そうかんたんにはでていかないが
佛さんはいっさい平等だからなにもとがめない
だいいちこの世はクウなんだから
みえているものもみえないものも
ふたつもみっつもかさねても
あるけれどもないし
ないけれどもあるし
ゼロよりもおおきくてもちいさくても
すべてはゼロだという
そんなせかいには家族ははじめからいないのだ

家族のひとかずがへるとそのぶんだけ
新しい家が必要
いたるところに
マンションとかアパートとかハウスとか
新種のものがどっさりことできすぎて
空き家がふえる

家族はどこにすんでいるのか
不動産屋さんがよくしっているらしい
お店の前に
ペーパー・ファミリーが
一杯貼りだしてあるよ


人生はお祭ですか

2012-10-30 19:10:37 | ポエム

人生はお祭ですか

 

 

人生はお祭ですか

人生は賑やかですか

人生は酒のんで笑っていたらいいのですか

人生はほがらかに苦しむのですか

人生はなかないでわらっていればいいのですか

人生はどんちゃん騒ぎすればいいのですか

人生は政治家のいうとりにすればいいのですか

人生は希な望みをマフラーにしてさむさを凌ぐのですか

人生は何ごっこですか

人生はママゴトですか

人生はワイワイさわぐものですか

人生は防風林ですか

人生は野ざらしですか

人生はながいのですかみじかいのですか

人生は自分で運転する乗り物ですか

人生は鉄道線路ですか

人生は世界中みんなおなじですか

人生はこわくてやさしいものですか

人生はひとがいきるとかきますがほんとうにそうですか

人生は戦争ですか

人生は平和ですか

人生は死刑にはならないのですか

人生はいつになったらおちつくのですか

人生はさいごになにをしたらいいのですか

 

 

 

 


拾う

2012-10-29 12:10:30 | ポエム

        

拾う

 

 

土地の下から昔をほりだしたら
半分は溶けたような液体だった
泥の匂いがして手ではつかめない
なにかの空洞をさがしてきて
そこへ流しこんだら
ぶくぶく ブクブク おとがして
気体になって逃げて行った
僕の昔なのにもう僕のものではなくなった

昔なんかはほっといて
もっときちょうなものをみつけて
拾えばいい
何年か先の新緑の戀
あしたのエァーが構築する楼閣
ぐずぐずしていると通りこしてしまって
獲物のように見失うから
さきをこして待ち伏せしないと

そうだ
言葉を拾おう
それも辞書になんか載っていない
新種の言葉を

世界をひっくり返すほどの
探し物だから
人類はひとつにならないと
拾えるものも
拾えない

どんな言葉なのか
この世が終わる
きちっとした意味が
爛漫と咲いている言葉です

 


色のおしゃべり

2012-10-27 13:04:02 | ポエム

 

           色のおしゃべり

 

 

 赤色は
 火炎や花のいろ
 パッションをそだてる

青色は
大空や海のいろ
夢幻へいざないつきはなす


黒色は
色彩の裏側のいろ
表側の色彩を想像させる

白色は
嬰児のこころのいろ
生のはじまりを演出する

緑色は
穏やかな荒野のいろ
睡眠と安寧を貸してくれる

黄色は
天体のいろ
無限に輝きをほどこす

いちにち
色たちが
おしゃべりするのを
ききながら
ノートにかいていたら
色んな事が色んな色で
創られてあやしいけれど
賑やかで楽しいので
あたまからあしのさきまで
みんな好きな色になりましょう

 

 

 


薔薇の異変

2012-10-26 14:33:27 | ポエム

薔薇の異変

 

 

その日

異変は

おとずれた

深紅のはなびらが

溶け出したように

こぼれて

したたりながら

あしもとの土を

まっ赤にそめていた

たしかに夜の間は

豪雨だったから

原因は

豪雨か

 

それで

その薔薇は

何色になったとおもう?

ふつうは

真っ白になったと思うだろう

 

それがじつにみごとな

ガラス細工のように

透明になっているのだ

 

よくみると

色をすてたその薔薇は

颯爽として風のなかで

ユーラリ ユーラリ と きもちよさそうに

揺籠の中で読書三昧

 

ときどき薔薇も色をすてて

気軽になりたいのだろう

それでいいのだとおもった

 

 


あの人とこの人

2012-10-25 23:31:04 | ポエム

あの人とこの人

 

 

さっきからあの人のすがたがみえない

さっきからこの人はここにいるのがみえる

あの人はなん時にかえるからと伝言して

もう一時間も前にとことこあるいていったそうだ

この人があの人から聞いたといまごろしらせてくれた

用事があるのはあの人のほうだが

用事のないこの人のほうがめのまえにいる

 

あの人がかえってくるのをまっていたら

この人はいつまでめのまえにいるつもりなのだろう

 

ふんわりとしたかすみがあたりにたちこめてきて

あの人もこの人もみえなくなった

あの人はどこかへいったのだからみえないのは当然

でもこの人はめのまえにいるのが当然

当然がいなくなったのだ

 

すると当然とはなんだろう

ひるまはあかるく

よるはくらいということか

でも洞窟のなかはいつでもくらい

 

当然とはそういうものだ

つじつまがあわないこと

つまりこくこくとかわるすがたが

当然なのだ

だから当然でないのも当然という

そして当然であるのも当然でないという

言語はなんだかややこしいものなので

泥細工みたいにおもしろいものなのだ

 

あとでかならず手をあらってくださいね

泥だらけはよくないからね


じぶんはひとりか

2012-10-23 11:19:01 | ポエム

じぶんはひとりか

 

いつも
みどりいろのシャツをきて
たにまでひるねしている

あたまのなかで
かぜがふき
みずがながれ
でんきがショートし
イソギンチャクのようなしょくしゅが
のびたりちぢんだりして

さっきの結論をすぐひていしたり
すぐこうていしたり
あきもせずにかんねんであそんでいる

そいつはもうひとりのじぶん?
そいつはカメレオン?
そいつはなもない昆虫?

ほんとはじぶんというひとに
であったことがあるのだろうか
都会の繁華街で
すれちがいいきちがいするひとのように
たくさんのじぶんがすどうりしているろじょうで
かくれたりとびだしたりすると
さっきとびだしたのがじぶん?
さっきかくれたのがじぶん?

犬をつれてさんぽしたら
その犬をつれてさんぽしているのが
ひとりだけのじぶんかもしれない

ほんとうのじぶんがしりたければ
犬をつれてさんぽすればいいのだ

 

 

 

 


それでは

2012-10-22 16:09:42 | ポエム

それでは

 

そこのひと
それでは前へすすんでください
おおきな椅子かベンチがあります
半分みどりで
半分しろい
すわるとまんなかがつきあがって
おそろしいことになるから注意!とかいてある
板のうえには數千もの水滴が
かくばったかたちにふちゃくしている
海と山のあいだのひろいくさむらのどまんなか
観衆は旗をもっているが
ブリキ製で風がふいてもはためかない
金槌でかんかんたたくのだ
そのあいだにイナゴがおそってきた

そこのひと
海か山かどちらかへにげてください
風向きからいえば海のほうがゆきやすい
なにもかもてばなしなさい
みがるになりなさい
サンライズ
サンセット
タチマチがヒロインのお芝居だから
セットは電球ひとつでよい
つけてけすをくりかえす
なんにもいみのないいちにちが
ひとつもかわらないいちにちが
どんどんくりかえされるお芝居

そこのひと
たいくつでしかたがなければ
日本語で
アイウエオからンまでを
となえなさい
いろはにほへとのほうが
意味しんちょうにできている
そうおもったら
モンからはいってください
いしのかいだんがなくなるまでのぼってください
たぶんいしのかいだんはなくならないとおもいますが
なくならないようでしたら
あしからずご了承ください

 


つかつか

2012-10-20 15:55:53 | ポエム

つかつか

 

鶴と亀が
つかつかと
僕の部屋にはいってきて

あした
決闘するから
たちあえという

そんなもの勝負はつかない

亀が攻撃したら
鶴はまいあがり
鶴が攻撃したら
亀は甲羅のなかへ引っ込むから

鶴は千年
亀は万年
といえば
亀のほうが
ながいきする
亀の勝ち

これは学問ではない
これは知識でもない
これは想像でもない

だれかが
ふとくちからでたものを
いつのまにか信仰した

言葉はしんじられるのだ
そして
いかにおおくの言葉が
しんじられて しんじられなくて
どうしたの こうしたの そうしたの
とつつきまわされる

鶴と亀の決闘のように
いつもいつも
しんじられるまで
言葉は言葉と決闘している

言葉と人間は共存している
故に
言葉と人間は決闘できない

鶴と亀のように

 

 


あたまのなかに窓があるなら

2012-10-19 14:29:46 | ポエム

あたまのなかに窓があるなら

 

 

あたまのなかの窓は常時開放

あつい空気が逆上して通っても

冷たい空気が厳しさをかざして通っても

なま暖かい風が昏睡をさそって通っても

震えるような冷たい風が冷酷に振舞いながら通っても

あたまのなかの窓という窓をすべて開放しておけば

すべての空気や

すべての思惑を

窓からほうりだして

静寂と黙考を手にすることができる

 

窓を閉ざした部屋で孕む

赤い舌と青ざめた歯牙のそよぐ場所を

あたえてはならない 

 

いつもどんな風も空気も

吹き過ぎるものだから

枝や葉の先々の鳥たちのように

とまどってはならぬ

 

やがて開かれていた窓から

優美ななにかがおくりこまれたら

その場ですべての窓をとじ

酒でものんでいればよい

 

そしてこれがいちばんというもので

シンプルにいきてみたら

松竹梅などと言わずに

結構楽しいよ