居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

連絡船

2011-03-29 12:11:29 | ポエム

 

 

 

 

バダバダン

しい曲線

どうしたら

あらわれるのだろう

その美しさの輪郭のなかか

そとからのながめなのか

人はよくばりだから

その両方を手にしたいと思ってしまう

 

トントントン

叩くおと

そのおとは

気持ちのいいおとだとしたら

その向こう側からやってくるのは

人にとって

最高に幸せなものを

いっぱいつんできてくれる

絶海の孤島にくる

連絡船にちがいない

 

人は人と

連絡することで

生きていけるもの

だから孤島にも生きられる

 

ザザザザザ

連絡船のスクリューがおちついて力強い回転音で

ちかづいてくるのがかすかに聞こえる


一瞬

2011-03-10 14:00:04 | ポエム

あっ と

あっ と

 

時のしゃくとりむしは

どんなまがりや とっき も

しらずしらずのうちに

のっそりと

こえてゆく

 

あなた

回路不明の

ほんとうは

出鱈目か

 

賽をふる なげる 

過去になるのが

ルからタにまたがる回路

瞬間をつくる回路

 

幾世紀もかけて

きずきあげたものも

回路の迷路のなかで

きえる

 

そして

同じ回路のなかで

再生する

 

きえても

いつまでも再生を続けよう

いくばくかの

前進のファッションで

 

 

 


ノイズ

2011-03-10 01:31:24 | ポエム

しずかに
ノイズをきいている
なんだろう
このふしぎなおもさのある
確かな音
ヘビーな夜の
隠された意味を
しらせている

このまま続く夜のノイズが
めくれあがっていくとき
静寂が支配するのは
世界が交錯する瞬間

めくれたあとのひどい傷を
なんとかして
へいたんなものにしないと
おちつけないという
贅沢

それができたら最高の贅沢だ

問題は
月が静かに消えてくれないと
人は眠りから覚めないだろう

そして永遠がちらっと通り過ぎるのだ


2011-03-08 16:17:23 | ポエム

竹が生えている

大量の辞書の

意味の世界のように

地下茎をべったりと張り巡らせて

繁殖している

 

地上にのびていくのは

言葉の記憶

それとも

言葉の混乱

いや、みためには混乱はない

 

断絶を寸時も許されないもの

たとえば

心臓の鼓動

自分という手づくりの標本

風にふかれてもたおれない芯

ひときわ背の高い目的

 

いうならば

高さの弱点をカバーする意志

時々

風雪でたおれそうになっても

しなやかに

まがるだけで決して折れないもの

(ふし)(ふし)とをその気にさせるあざやかな愛着

竹はそういう世界の生き物にちがいない

 

 


天然物語

2011-03-01 01:46:37 | ポエム

 

空と雲と風と土と火とが

空は からっと

雲は ふんわりと

風は びゅーんと

土は やわらかく

火は かっかっと

しているところへ

水が

 ちょろちょろ、ざざっと

でてきた

いちばんこまったのはなんでしょう

土か火かどちらでしょう

と思っていたら、土がとっさにかたまって

きえそうになった火をかこんで

水の攻撃から土が火をまもった

水はたまりかねて

おおきな森の中から

さらさらながれて

のどのかわいた生き物たちのいるところへゆき

コップ一杯いくらでかうか?と

その身をなげだした

だれのものかわからないので

生き物たちは

だまって水をのみ

かわいたのどをうるおした

水がいちいばんかわいそうで

空、雲、風、土、火、は

どうしたらいいかわからなくなった、とさ

 

でもさ、この星は

水の惑星といわれているんだよ