想念
想いが
どこかから
やってくる
それは
自分のこころが
いつのまにか
よびよせているから
やってくるのだ
そして
こころが
そまってゆく
色彩は
その想いによって
さまざまに変幻する
自分の世界でおこることは
現実とマッチするとはかぎらない
真っ赤なホノオか
真っ白なホノオか
真っ黒なホノオか
真っ青なホノオか
えんえんとつづく
マッチしない色彩に似ている
なにとなにが
マッチしないのか
静止した鉱物のようになる
地下にもぐるモグラになる
いずれにしても眼球の
免疫力をたかめないと
さりながら
時間は
わすれるための
もっともこころづよい道具だ
と、おもわないかい?
あゝ
そんなこともあったんだ
と
思い出が
うまれかえってきても
それはもともとの姿をしていても
果物のように
熟れているとはかぎらない
ガラスのケースのなかの
お人形のように
泣いたりも笑ったりもしないものになっているから
そう思うと
時間がない 時間がない
と
さわぐほど
つまらないことはない
時間は魔法の杖にはならない
おおくのものを
しっかりと
つれてゆく
それって
掃除機ににているね!
デジブック 『コラージュ』
一枚の絵を九枚、コラージュすると
絵から感じるものがどうなるのかと、思い、
作ってみました。
名前をつけないで保存
―液体の糸の流れる音―
子供は「今」を歓んでいる
大人は「今」をお願いしている
子供と大人の間は幾つもの迷路になっている
歓待されている「今」と
疎まれている「今」は
連結して
列車となってレールの上を
果たして走ることができるのか
前も後ろも左も右も
あるはずの
結びの糸は見つからない
見つけようとする人と
あっけにとられている人と
「今」をまんなかにすえて
子供と大人を
結びつけるものが一つある
その糸は
赤い液体の糸
人の身中をとうとうと
音を立てて流れている
この赤い液体
いきものの
いのちの泉か噴水か
時々この液体の糸の流れる音が
耳に聞こえることがある
ザッザッザッザッ と
聞こえる聞こえる
ザッザッザッザッ
ザッザッザッザッ
エッ!
耳鳴りでは断じてない
耳鳴りではないから ネ!
朗読のための詩 「ドレミの音階で朗読」
どこえいったの ド
蓮根の穴を捜してみて レ
みれども見れどもみあたらない ミ
ふあふあの布団のうえでおどってるみたい ファ
空はあおてんじょうに漉きとおっているよ ソ
ららら ららら 乱高下 ラ
辛辣な忠告ありがとう シ
どこからか大きな音がするだけで ド
信じていたものがなくなって シ
楽になっても始まらない ラ
そしたらも一度最初から ソ
普段の仕方でやり直し ファ
皆んなで一緒に輪になって ミ
レースの思想をおっぴろげ レ
土砂降りの雨にさらそうよ ド
ある抽象的な虹彩
円錐形の光が
つきささった痛い都市で
すべての邂逅が
キャンパスの芝生のように
ひろがっている
重い想いが
子供のように散らばる
アスファルトは波をうち
エレクトロニクスは
長距離運転をめざし
森や池や鳥たちは
アリスのような世界の中へ
たちさってゆく
夢幻の白光よ
もういちど
キャンパスから出発したいな
書物を両腕にかかえて
階段の蔭で
人の足音を目にしたいな
ボディーのチャックが故障して
なおらないのに
鳥は平気でさえずる